膝に水が溜まってしまい、痛みや動かしにくさで困っている人へ。
膝関節は、歩いたり座ったりといった日常動作をスムーズに行うために欠かせない部位です。
しかし、膝の水(=関節液)が通常より多く溜まると、腫れや痛み、動かしにくさといった症状があらわれ、放っておくと変形性膝関節症などに繋がってしまうこともあります。
この主な原因は、膝関節内で起きている関節液の炎症です。
本記事では、理学療法士の目線から、「膝に水が溜まる」メカニズムや主な原因をわかりやすく解説し、日常生活で注意したいポイントや適切な対処法についてもご紹介します。
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膝の水とは何のこと?
膝の水とは、膝関節にある「関節液」のことをいいます。
膝関節は、お皿の骨・下腿の骨・大腿の骨の3つの骨で構成されています。
この3つの骨は筋肉の下でむき出しになっているわけではなく、関節包と呼ばれる袋で覆われています。

※お皿の骨はその袋の外にあります。
この関節包の内側には滑膜とよばれる膜があり、その内側を満たすように関節液とよばれる液体が存在します。
この液体が膝の水の正体です。
膝の関節液の4つの役割と炎症
膝関節にある関節液は、膝が正常に働くための重要な役割を担っています。具体的には、
- 関節の動きをスムーズにする
- 地面からうける衝撃をやわらげる
- 軟骨へ栄養分を送る
- 炎症を抑える
の4つの役割です。
この中で、膝に水がたまるのは、4の炎症を抑える作用が原因で起こります。
滑膜になんらかのストレスが加わり炎症が起きると、その炎症を抑えようと関節液の分泌が通常よりも過剰になります。
そしてこの過剰に分泌された関節液が一定量を越えると、吸収しきれなくなり関節内にたまってしまいます。
これが膝に水がたまるメカニズムと考えられています。
膝に水が溜まる(=滑膜の炎症)原因5つ
膝に水が溜まる原因は、大きく言うと滑膜の炎症です。
滑膜の炎症を引き起こす原因をさらに分解すると下記の5つがあります。
- スポーツや事故による靭帯や半月板の損傷
- 加齢に伴う軟骨の変性
- 体重の増加
- 使い過ぎ
- 膝関節の歪み(3つの骨の位置が捻じれていたりずれていたり、筋肉のバランスが崩れていたり)
この中のどれか1つが原因となっているケースもありますが、実際には複数の項目が重なっているケースが多くみられます。
1と2に関しては仕方がない部分もありますが、3と4は自己管理をしっかりすることで改善することができます。
※2の軟骨の変性に関して、グルコサミンやコンドロイチンのサプリメントを摂取することで修復できるとCMなどで言われていたりします。
しかし、サプリメントで軟骨の変性を改善することはできません。
また2の軟骨の変性が単独で膝に炎症を引き起こすこともほとんどないと私は考えています。
そして私はこの5番目の膝の歪みが、膝に水がたまってしまうもっとも大きな原因であると考えています。
膝に水が溜まった人の症状と危険なケース
膝に水がたまった人の症状は、経過ともに変化します。
放っておくと変形性膝関節症などの危険なケースに繋がってしまうこともあるため早めに気づくことがなによりも大切です。
初期症状
- 膝にこわばりや違和感を感じる
- 階段の昇降時や、歩行時に痛みを感じる
放置するとどうなる?
- 膝の曲げ伸ばしがやりずらくなり、可動域が狭くなる
- 素人目でも腫れがわかるようになり、触ると熱い
変形性膝関節症になる危険なケースも
- 膝の曲げ伸ばしをすると「ゴリゴリ」や「ギコギコ」っという音が聞こえる
- 関節が変形してくる(O脚になることが多い)
ここまでくると『変形性膝関節症』という診断名がつきます。
水が溜まったときの4つの対処法【専門家おすすめ】
水が溜まったときにやるべき対処法を4つご紹介します。
(※すでに重症化しているケースでは、セルフケアに頼らず早めに整形外科を受診しましょう。)
アイシング
スポーツや事故が原因で膝に水がたまっている方、膝の使い過ぎで膝に水がたまっている方は、まずアイシングをしてください。
スポーツや事故の直後で痛みがあったり、腫れや熱感がある場合は特にこのアイシングは重要になります。
体重を減らす
体重が重すぎる方は、膝にかかるストレスを減らすために、減量する必要があります。
まずは、食生活を見直し、栄養バランスを見ながら、摂取カロリー<消費カロリーとなるようにコントロールしていきましょう。
体重を減らすことを考えると、急に無理な運動をしてしまう人も多いですが、膝に痛みが出ている場合は、激しい運動は痛みを悪化させてしまいます。
軽めのウォーキングや座ってできる筋力トレーニング(足踏み運動や踵上げなど)を少しずつ取り入れましょう。
膝の水を抜く
整形外科などで必要と診断された場合は、膝の水を抜いてもらえることがあります。
実際に水を抜いてもらうと、しばらくかなり楽になります。
しかし、ほとんどの場合は根本的な原因が改善していないので、しばらくするとまた繰り返してしまいます。
そのまま放置してしまうと、どんどん膝の可動域も狭くなってしまうので、腫れがひどい場合は抜くことも必要かと思います。
ただし、その場合は合わせて根本原因を改善する取り組みをおこなう必要があります。
膝の歪みや筋力の改善
膝の骨のねじれやずれが原因で水がたまっているケースは、それらを改善する必要があります。
そしてその膝の骨のねじれやずれは、膝の骨についている筋肉や筋膜のバランスが悪くなって起きていることがほとんどです。
そのため、変形が重症化する前であれば、筋肉や筋膜のストレッチやトレーニングを行うことで改善が可能です。
ただしこれらのねじれやずれ方は、人によって1人ひとり違います。
具体的に言うと、太ももの骨に対して下腿の骨が内側にねじれて炎症を起こしている人もいれば、逆に太ももの骨に対して下腿の骨が外側にねじれている人もいます。
これを同じトレーニングやストレッチで改善しようとすることはできません。
よくテレビでやっていた体操をやったら余計に痛くなったという方がいますが、これはそういうことです。
自分の膝の状態にあったトレーニングやストレッチを行うためにも、私は1度専門の方にみてもらうことをおすすめします。
専門家でできる対処・予防法は?

体の歪みやずれというのは自分自身ではわからないことがほとんどです。
この記事を読んでくれている方は、テレビや雑誌に書いてある体操やストレッチをやってみたけどあまり改善しないという方が多いのではないでしょうか。
全国に80店舗以上展開する青山筋膜整体理学ボディでは、理学療法士であるスタッフが、実際に関節の歪みや動きのクセをみた上で、炎症の原因を特定し、筋肉や筋膜のバランスを調整することで、根本的な原因を改善していきます。
筋膜の調整に関する記事は▼をご覧ください。
膝に水がたまってしまい、病院で何度抜いても戻ってしまうという方
階段を昇り降りで膝が痛いという方
病院や接骨院に行ってもなかなか膝の症状が改善しないという方
力になれるかもしれません。
1度気軽にご相談ください。
投稿者プロフィール

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理学療法士の国家資格を取得後、都内のスポーツ整形外科クリニックで医師と連携しつつプロスポーツ選手や箱根駅伝選手などを担当し、技術を磨いてきました。
その過程でイタリアの医師が考案した国際コースである『Fascial manipulation(筋膜マニピュレーション)』のコースを修了しています。
筋膜を通じて痛みに悩まされている人を救いたいです。