- 物を取ろうと手を伸ばすと、肘の外側が痛い
- 何か持ち上げようとすると、肘の外側が痛くて持ち上げられない
- 肘の外側が痛くて、曲げ伸ばしができない
ちょっとした動きで現れる、こんな痛みに悩まされていませんか?
肘の外側の痛みは、テニスなどのスポーツをする人だけのものではありません。
実際、上腕骨外側上顆炎(いわゆるテニス肘)でテニスが原因となるのは1割弱といわれ、パソコン作業や家事、育児、重い物の持ち運びなど、日常の動作をきっかけに起こる方が大半です(参照2)。
そして、同じように腕を使っていても、痛くなる人と痛くならない人がいます。その差を分けているのが、肘そのものではなく肘の周りや、肩・胸まわりの状態です。
本記事では、肘の外側の痛みで考えられる症状と、痛みを長引かせる5つの原因、そして今日からできる対処法までを、理学療法士の視点で順に整理していきます。
- 肘の外側が痛いときに考えられる症状と、見分けるためのセルフチェック
- 「使いすぎ」だけでは説明できない、痛みを長引かせる5つの原因
- ストレッチ・運動療法・装具・注射それぞれで、今わかっていること
- 整形外科を受診したほうがよいサイン
肘の外側が痛む!2つの疾患と見分け方
肘の外側が痛い時、考えられる原因疾患には以下の2つがあります。
- 上腕骨外側上顆炎
- 変形性肘関節症
どちらかに当てはまると、場合によっては病院を受診された方が良いこともあります。
ご自身の症状と照らし合わせつつ読み、自分は当てはまるのかどうかチェックしてみましょう。
上腕骨外側上顆炎(テニス肘)
肘の外側にある骨の出っ張り(外側上顆)に付着する腱が傷んで、肘の外側から前腕にかけて痛みが出る状態です。
タオルを絞る、キーボードのタイピング、重い物を持ち上げる、ビール瓶を持って注ぐ、といった動作で痛みが出現しやすく、逆に手や腕を使わなければ痛みが出ないことが多いのが特徴です(参照1・参照2)。
テニスでの発症が多いことから別名「テニス肘」とも呼ばれますが、実際にテニスが原因となるのは1割弱で、青壮年期の利き手側に起こりやすいとされています(参照2)。
海外の報告でも、テニス肘と診断される人のうちテニスプレーヤーは約1割にとどまり、40歳以上に多いことが示されています(参照5)。
「炎症」というより、腱が傷んで弱っている状態
名前に「炎」がつくため、単純な炎症だと思われがちですが、実際に組織を調べると、炎症細胞は乏しく、コラーゲンの配列の乱れや血管の増生といった変性の変化が中心であることが報告されています(参照5)。
日本整形外科学会も、原因を「年齢とともに肘の腱がいたんで起こります」と説明しており、主に短橈側手根伸筋(たんとうそくしゅこんしんきん)という、手首を反らす筋肉の付け根が障害されると考えられています(参照1)。
ここは、対処法を考えるうえでとても大切なポイントです。
単なる炎症であれば「冷やして安静にしていれば治る」で済みますが、腱が傷んで弱っている状態であれば、負担を減らしながら、少しずつ腱を使える状態に戻していくという視点が必要になります。
冷やして休むだけでは戻りきらない理由が、ここにあります。
自分でできる3つのテスト
以下のテストで肘の外側に痛みが出る場合、上腕骨外側上顆炎の可能性があります。いずれも日本整形外科学会が診断に用いられる検査として挙げているものです(参照1)。
Chairテスト- 4kg程度の椅子を用意する
- 肘を伸ばし、手の平を下に向ける
- 椅子をつかみ、持ち上げる
- この時、肘の外側に痛みがあれば外側上顆炎が疑われる
Thomsenテスト
- 肘を伸ばして手首を反らす
- 反対の手で反らした手首を倒すように力を入れる
- 倒す力に負けないように手首を反らしたまま保つ
- この時、肘の外側に痛みがあれば外側上顆炎が疑われる
筋肉の力を入れた時の痛みを見るテスト(中指伸展テスト)
- 肘を伸ばし、手の平を下に向ける
- 手首を真っ直ぐ保ち、指を真っ直ぐ伸ばす
- 反対の手で中指を曲げる方向に力を加え、負けないように指を伸ばす
- この時、肘の外側に痛みがあれば外側上顆炎が疑われる
変形性肘関節症
骨の一部が変形したり、軟骨のすり減りによって、痛みに加えて動きが制限される状態を指します。
原因としては、スポーツや手を使う重労働、肘の骨折、関節炎などが挙げられます。
進行すると、手を口まで持ってこれなかったり、肘を真っ直ぐに伸ばせなくなる場合もあります。
以下の項目に当てはまる場合、変形性肘関節症の可能性が高くなります。
- 肘が伸ばしにくい
- 肘が曲げにくい
- じっとしていれば痛くないが、肘を動かすと痛みを伴う
- ある角度で急激に肘が動かなくなり、少しでも動かそうとすると激痛を伴う
【見落としやすい】肘の外側の痛みで、他に考えられる症状
肘の外側の痛みは、上の2つ以外の原因で起こることもあります。特に以下のような症状を伴う場合は、自己判断でのセルフケアを続けないでください。
橈骨神経管症候群(とうこつしんけいかんしょうこうぐん)
前腕を通る神経(橈骨神経)が締めつけられることで、肘の外側からやや下あたりに痛みが出る状態です。
上腕骨外側上顆炎と症状が似ており、外側上顆炎の約15%に併存すると報告されています(参照5)。
ストレッチや安静でどうしても改善しない、痛む場所が外側上顆より少し前腕寄りにある、という場合は、医療機関で確認してもらうと安心です。
肘部管症候群(ちゅうぶかんしょうこうぐん)
肘の内側で尺骨神経が圧迫・牽引されて起こる症状で、初期は小指と薬指の一部にしびれた感じが出ます。進行すると手の筋肉がやせてきたり、指の変形が起きてくることもあります(参照4)。
変形性肘関節症が進行して、二次的に肘部管症候群を合併することもあります(参照3)。
痛みだけでなく「しびれ」がある場合は、整形外科の受診をおすすめします。
頸椎(首)からくる痛み
首の神経の出口が圧迫されることでも、腕から肘にかけて痛みやしびれが出ることがあり、外側上顆炎と鑑別すべき症状として挙げられています(参照5)。
首を動かすと腕の症状が変わる場合は、肘だけを見ていても答えが出ません。
成長期のスポーツによる、肘の外側の痛み
成長期に野球など投球動作を繰り返している場合、肘の外側の痛みは上腕骨小頭離断性骨軟骨炎いわゆる野球肘(外側型)の可能性があります。
これも外側上顆炎と区別すべき症状のひとつです(参照5・参照10)。
初期は痛みが軽く、見過ごされやすい一方で、進行すると治療が難しくなることがあります。
成長期のお子さんが肘の外側を痛がる場合は、様子を見るより先に整形外科を受診してください。
まずは整形外科へ!セルフケアの前に専門医の診断を
肘の外側が痛くなる 5つの原因とは?
上記の2つは使いすぎが原因となりますが、同じように使いすぎでも痛くなる方と痛くならない方がいます。
その違いは何でしょうか?
そこには以下の肘の外側が痛くなる5つの原因があります。
- 肘の内側の硬さ
- 肘の外側の筋肉の硬さ
- 肘の外側の筋力の弱さ
- 肩の後ろ側の硬さ
- 胸周りの硬さ
肘の内側の硬さ
肘の内側が硬いと、手のひらを上に向けたり指を伸ばす動きがしにくくなります。
何故なら、肘の内側には手のひらを下に向けたり指を曲げる筋肉がついているからです。
なので、肘の内側の筋肉の硬さは、肘の外側の筋肉の働きを邪魔します。
その状態で肘の外側の筋肉を使うと必要以上に大きな力が加わり、痛みにつながります。
肘の外側の筋肉の硬さ
肘の外側の筋肉が硬いと、少し手首や指を動かすだけでも強く筋肉が引っ張られます。
例えるなら、筋肉が硬い状態というのはピーンと張ったゴムのようなものと思ってください。
適度に張ったゴムは引っ張ってもそこまで大きな力は加わりませんが、ピーンと張った状態のゴムを引っ張ると強く引っ張る必要がありますし、伸ばすのを止めるとすごい勢いで元に戻ることが想像できますよね。
なので、肘の外側の筋肉の硬さは肘の外側の痛みにつながるのです。
肘の外側の筋力の弱さ
肘の外側の筋肉が弱くなると、反対に内側の筋肉が強く働きます。
両者は一方の筋肉が縮むともう一方は伸びるような、互いに関係しあうという特徴があります。
内側の筋肉が強く働いて縮むと、外側の筋肉は反対に伸ばされます。
筋肉は縮んでも硬くなりますが、伸ばされても硬くなります。
上で説明したゴムの例えのように、少しの動きでも大きな力が肘の外側に加わるので痛みにつながります。
肩の後ろ側の硬さ
肩の後ろ側が硬くなると、肩を内側へひねる動きが制限されます。
たとえば、キーボードのタイピングをする時、手のひらを下へ向けますが、この時肘の外側の筋肉は伸ばされています。
手のひらを下へ向ける時、肘を内側へひねるのと一緒に肩も内側へひねっています。
ですが、肩の内側へのひねりが制限されていると、肩を補って肘で大きく内側へひねる必要があります。
なので、本来より強く肘の外側の筋肉が伸ばされることになります。
それが肘の外側の痛みにつながります。
胸まわりの硬さ
胸があまり開けない、猫背のような姿勢だと、肩や肘に負担がかかります。
たとえば、胸が開かず猫背の状態では、肩は内側に入って巻き肩のような姿勢になります。
これでは脇が開いてしまい、重い物を持ち上げたりタイピングをするには脇を閉める必要があるので、肘を過度に外側へひねらなくてはいけません。
それが肘にとって過度なストレスとなり痛みを起こすことがあります。
【セルフチェック】あなたの肘の痛みは、今どの段階?
対処法を選ぶ前に、今の痛みがどの段階にあるかを確認しておきましょう。段階によって、優先すべきことが変わります。
1段階目:使った「あと」に痛む
作業中は気にならず、終わってからじわじわ痛む。休むと落ち着く。
2段階目:使っている「最中」も痛む
タオルを絞る、物を持ち上げるなど特定の動作で痛みが出る。休めば軽くなる。
3段階目:安静にしていても痛む
何もしていなくても痛い、夜間や朝に痛みが強い、しびれを伴う。
1〜2段階目であれば、負担のかかる動作を見直しながら、この記事で紹介するストレッチや運動療法を試す価値があります。
3段階目に当てはまる場合は、セルフケアより先に整形外科の受診を優先してください。
上腕骨外側上顆炎は、腕を使わなければ痛みが出ないことが多い症状です(参照1)。安静時にも痛む場合は、別の原因が隠れている可能性を考える必要があります。
肘の外側が痛いときの対処法は?
日常生活に支障をきたすほど痛みが強い場合などは、まずは整形外科を受診して医師の判断を仰ぎましょう。
具体的には以下のような症状に当てはまる場合は受診を検討しましょう。
- じっとしていても痛みがある
- 腕から手にしびれがある
- 眠れないくらい痛みがある
- 肘を動かすと強い痛みがあって動かすのも難しい
- 腕から手が熱い感じがする
- 痛みが次第に強くなって経過している
- 以前に原因となる疾患の診断を受けている場合
これに当てはまらない場合は、肘や肩の硬さを解消することで痛みを解消できる可能性があります。
それぞれの動きを出すためのストレッチを紹介しますので、痛みが起こらない範囲で試してみてください。
まずは日常動作の見直しから
意外に思われるかもしれませんが、上腕骨外側上顆炎の治療で最も大切とされているのは「手の安静」、つまり痛みが発生する動作を避けることです(参照2)。
とはいえ、仕事も家事もある中で「腕を使わない」は現実的ではありません。ポイントは、完全にやめることではなく、同じ動作を、肘に負担の少ないやり方に置き換えることです。
- 重い物は、体から離さず、肘を軽く曲げて体に近づけて持つ(参照6)
- 片手で持ち上げるものは、両手で持つ・反対の手を使う(参照2)
- 物を持ち上げるとき、手のひらを下に向けたまま持たない
- タオルを絞る、雑巾がけなど、手首をひねる動作を一時的に減らす
- デスクワークでは、前腕の下にタオルを敷いて手首を反らせ続けない工夫をする(参照9)
- 作業中はこまめに休憩を入れ、握り続ける時間を短くする(参照6)
「痛いのに我慢して使い続ける」ことが、いちばん回復を遠ざけます。痛みが強い時期は、無理をしないことも立派な対処法です。
なお、熱感や腫れがある急性期は、アイシング(15分程度が目安)が用いられます(参照9)。
肘が痛いときのストレッチ|基本の4つ
肘まわりの筋肉を効果的に伸ばす基本の4つのストレッチを解説します。それぞれ伸びている部位を意識しながら、深呼吸をしながらおこないましょう。
肘内側のストレッチ
- 肘を伸ばし、手のひらを上へ向ける
- 指を伸ばし、手首を反らす
- 10〜20秒キープする
肘外側のストレッチ
- 肘を伸ばし、手のひらを下へ向ける
- 指を曲げ、手首を曲げる
- 10〜20秒キープする
肩後ろ側のストレッチ
- 四つん這いになる
- 肘が痛い側の手を反対の手と膝の間に入れる
- 肩が床につくくらいまで伸ばし、体は反対側へひねる
- 10〜20秒キープする
胸を伸ばすストレッチ
- 横向きに寝る
- 下側の足は伸ばし、上側の足は曲げる
- 後ろを振り向くように体をひねる
- ひねったまま10〜20秒ストレッチする
ストレッチは、翌日に痛みが強くなっていないかを目安にしてください。強くなっているようであれば、伸ばしすぎのサインです。
運動療法
痛みが落ち着いてきたら、腱を少しずつ使える状態に戻していきます。
肘の内側・外側の筋肉の運動療法
- 肘を伸ばし、手のひらを下へ向ける
- 指を曲げ、手首を曲げる
- 手のひらを上へ向け、指を伸ばし、手首を反らす
- 2〜3を繰り返す
エキセントリック(遠心性)トレーニング
上腕骨外側上顆炎に対しては、筋肉が引き伸ばされながら力を出す「エキセントリック(遠心性)収縮」を使った運動が用いられます。
複数の研究をまとめた報告では、通常の治療にエキセントリック運動を加えることで、痛みの軽減と筋力の改善が得られたとされています。ただし、含まれた研究数が少なく、最適な回数や強度までは定まっていない「限定的なエビデンス」であることも、あわせて示されています(参照7)。
研究で用いられていた目安は、2〜3セット×10〜15回、週3回〜1日2回の頻度で、2〜12週間というものでした(参照7)。
やり方(手首を反らす筋肉のエキセントリック運動)
- 肘を軽く曲げてテーブルに前腕を乗せ、手のひらを下に向けて手首を外に出す
- 反対の手を使って、痛い側の手首を反らせた位置まで持ち上げる
- 反対の手を離し、ゆっくり(3〜5秒かけて)手首を下ろしていく
- これを10〜15回、痛みが強く出ない範囲で繰り返す
ポイントは「上げるとき」ではなく「下ろすとき」にゆっくり時間をかけること。負荷は、ペットボトルなど軽いものから始めてください。
翌日に痛みや腫れが増えるようであれば、回数や重さを減らします。「やった分だけ良くなる」ではなく、「痛みを増やさない範囲で続ける」が安全線です。
あわせて、5つの原因で挙げた肩の後ろ側・胸周りのストレッチも続けてください。肘だけを鍛えても、負担をかけている大元が変わらなければ、また同じことが起こります。
装具(テニス肘用バンド・エルボーバンド)
日本整形外科学会は保存療法のひとつとして「テニス肘用バンドの装着」を挙げており(参照1)、日本臨床整形外科学会も「エルボーバンドで前腕を肘の少し先に締め付けると効果があります」としています(参照2)。
一方で、装具の効果を検証した国際的なレビューでは、研究数が少なく質もばらついているため「効果について明確な結論は出せない」とされています(参照8)。
つまり、装具は「使ってみる価値はあるが、それだけで治すものではない」という位置づけです。負担を減らす補助として使いながら、体の側の原因に取り組んでいくのが現実的でしょう。
ステロイド注射
ステロイド注射は、短期的には高い効果が示されています。一方で、長期的にみると評価が変わります。
質の高い臨床試験をまとめた報告では、6週時点ではステロイド注射がもっとも痛みを和らげたものの、1年後には理学療法のほうが良い結果となり、注射群では再発が多く、有害事象も約17%に生じたとされています(参照6)。
ですので、痛みがあまりに強い場合には、注射で短期的に痛みを和らげ、痛みが和らいでいるうちにリハビリなどで根本的な対策を進めていくという使い方が現実的です。
ただ、自分で打てるものではありませんので、整形外科を受診し医師に相談の上で実施してください。
肘が痛い時にやってはいけないこと
- 痛みを我慢して同じ動作を続ける:痛みの出る動作を避けることが治療の基本です(参照2)
- 痛いところを強く揉む・強く伸ばす:傷んでいる腱にさらに負担をかけます。ストレッチは「痛気持ちいい」手前まで
- 完全に動かさないまま放置する:筋力低下と硬さが進み、また同じ負担がかかります
- ステロイド注射を繰り返す:繰り返しの注射は成績が悪く、腱の断裂リスクも指摘されています(参照5・参照6)
- しびれがあるのにセルフケアで様子を見る:神経の症状が隠れている可能性があります(参照4・参照5)
肘の外側の痛みは、どれくらいで治る?
上腕骨外側上顆炎は、基本的には時間とともに落ち着いていく症状で、おおよそ6〜24ヶ月の経過をたどるとされ、80〜90%の人が1〜2年以内に自然に回復すると報告されています(参照5・参照6)。
一方で、約20%の人は1年を超えて症状が続くともされています(参照6)。
「そのうち治る」と言われても、その期間ずっと痛いまま過ごすのはつらいものです。
だからこそ、待つあいだに負担のかかる使い方を見直し、肘の外側に集まっているストレスを、肩や胸に分散できる状態をつくっておくことに意味があります。
なお、保存療法を6〜12ヶ月続けても改善しない場合に、手術が検討されることがあります(参照5)。
肘の外側の痛みを、一刻も早くどうにかしたい人へ
ここまで紹介したセルフケアで、肘の外側の痛みが軽くなる人もいれば、なかなか変わらない人もいると思います。
その場合、痛みの原因となっている場所や、体の使い方のクセが、自分では特定しきれていない可能性があります。
肘の外側が痛いからといって、原因が肘にあるとは限りません。
実際に、肩甲骨のあたりや手首、前腕の筋膜が硬くなっていることで、肘の外側に強い伸張ストレスが集まっているケースがあります。
ご自身の体のどこに原因があるのかは、実際に体を見てみないと判断できないのが正直なところです。
今すぐどうにかしたい痛みでお悩みの方は、理学療法士など体の専門家に相談することをおすすめします。
※ちなみに当院では、国際的に認知されている筋膜リリースという技法を用いて痛みを即時的に解消する施術を行っております。
肘の外側の痛み|まとめ
もし、日常生活に支障が出るくらい痛みが強い場合、また、しびれや安静時の痛みがある場合は、我慢せずにすぐ整形外科を受診することをおすすめします。
ですが、痛みが軽く、日常生活に支障が出るほどでもないのであれば、次の3つで変わる可能性があります。
- 負担のかかる使い方を見直す(持ち方・休憩・手首を反らせ続けない)
- 肘の内側・外側、肩の後ろ、胸まわりの硬さをとる
- 痛みが落ち着いたら、ゆっくり下ろす運動で腱を使える状態に戻す
肘の外側の痛みは、「肘を使いすぎたから」だけでは説明がつきません。肩や胸が動かない分を、肘がずっと肩代わりしてきた結果であることが少なくないからです。
本記事を参考に、まずはご自身の症状がどういう状態なのかを理解し、適切な対策をしていただければと思います。
よくあるご質問
ここでは、お客様から実際に寄せられる「よくあるご質問」について回答していきます。ぜひご参考にしてみてください。
Q1. 肘の外側が痛いのですが、テニスをしていなくてもテニス肘になりますか?
A. なります。上腕骨外側上顆炎(テニス肘)で、テニスが原因となるのは1割弱とされています(参照2)。
パソコン作業、タオルを絞る、重い物を持つといった日常動作の繰り返しでも起こり、青壮年期の利き手側に多いとされています。
Q2. 肘の外側の痛みは、どれくらいで治りますか?
A. 上腕骨外側上顆炎はおおよそ6〜24ヶ月の経過をたどり、80〜90%の人が1〜2年以内に自然回復するとされています(参照5・参照6)。
一方で約20%は1年を超えて続くとの報告もあります(参照6)。
痛みの出る動作を見直しながらケアを続けることが、経過を左右します。
Q3. 冷やすべきですか、温めるべきですか?
A. 熱感や腫れがある時期は、アイシング(15分程度が目安)が用いられます(参照9)。熱感が引いて、動かした時の痛みが中心になってきたら、痛みのない範囲でのストレッチや運動へ移行していきます。判断に迷う場合は医療機関で確認してください。
Q4. テニス肘用のバンド(エルボーバンド)は効果がありますか?
A. 日本整形外科学会・日本臨床整形外科学会はいずれも保存療法の選択肢として挙げています(参照1・参照2)。
一方、国際的なレビューでは効果について明確な結論は出せないとされています(参照8)。
負担を減らす補助として使いながら、体の側の原因にも取り組むのが現実的です。
Q5. マッサージやストレッチを続けているのに、肘の外側の痛みが治りません。
A. 痛む場所と原因の場所が違う可能性があります。
肘の外側の痛みには、肩の後ろ側や胸まわりの硬さが関わっていることが多く、リハビリテーションでも肩甲骨周囲のストレッチが合わせて行われます(参照9)。
また、しびれを伴う場合や、痛む場所が前腕寄りの場合は、神経が関わる症状の可能性もあるため、整形外科での確認をおすすめします(参照4・参照5)。
Q6. 痛くても、仕事や運動は続けていいですか?
A. 使ったあとだけ痛む段階であれば、負担のかかる動作を減らしながら続けられることが多いです。
ただし、治療の基本は「痛みが発生する動作を避けること」とされています(参照2)。使っている最中も痛む、安静時も痛む段階では、無理に続けず受診を優先してください。
参照情報一覧
- 参照1:テニス肘(上腕骨外側上顆炎)/日本整形外科学会/https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/lateral_epicondylitis.html
- 参照2:上腕骨外側上顆炎(いわゆるテニス肘)/日本臨床整形外科学会/https://jcoa.gr.jp/上腕骨外側上顆炎(いわゆるテニス肘)/
- 参照3:変形性肘関節症/日本整形外科学会/https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/elbow_osteoarthritis.html
- 参照4:肘部管症候群/日本整形外科学会/https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/cubital_tunnel_syndrome.html
- 参照5:Lateral Epicondylitis (Tennis Elbow)/StatPearls, NCBI Bookshelf/https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK431092/
- 参照6:Management of tennis elbow/PMC(NIH)/https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3781883/
- 参照7:The Beneficial Effects of Eccentric Exercise in the Management of Lateral Elbow Tendinopathy: A Systematic Review and Meta-Analysis/Journal of Clinical Medicine/https://www.mdpi.com/2077-0383/10/17/3968
- 参照8:Orthotic devices for the treatment of tennis elbow/Cochrane/https://www.cochrane.org/evidence/CD001821_orthotic-devices-treatment-tennis-elbow
- 参照9:上腕骨外側上顆炎(テニス肘)のリハビリテーションについて/船橋整形外科病院/https://www.fff.or.jp/hospital/ftopics.php?i=r35
- 参照10:スポーツ損傷シリーズ 18.成長期の肘障害/日本スポーツ整形外科学会/https://jsoa.or.jp/pamphlet/sports-injury/
投稿者プロフィール

- 理学療法士/WEBメディア編集長
- 10年以上の医療・介護の現場経験を経て独立。著書に6刷を達成した『高齢者のからだ図鑑』など(Gakken出版)。現在は、東京都の高齢福祉事業にも従事。さまざまな現場経験をもとに、執筆・WEB発信・大学での講師業など分野問わず活動中。


木城先生
















