膝が痛い時や違和感を感じるとき、やってはいけないことを知らずに症状が悪化してしまう人は意外にも多いです。
「病院に行くほどではないけれど、どうすればいいの?」と動かしていいのかどうか、疑問や不安を抱えている人もいます。
じつは、膝の痛みが出てきた時にやってはいけないことは大きく5つあります。
本記事では理学療法士の視点から、変形性膝関節症をはじめとする膝の痛みがある場合に「避けるべき動作」をわかりやすく解説します。
また、危険なケースの見分け方や、痛みが強い時のセルフケアの方法までお伝えしていきます。ぜひ参考にしてみてください。
※ 歩くと膝が痛い、しゃがむと膝が痛いなど、特定の動きで痛みが出る場合は、それぞれ注意すべきことがあります。そちらもぜひ参考にしてみてください。
膝が痛いとき、やってはいけないこととは?
膝の痛みを抱えているとき、日常の何気ない習慣が症状を悪化させているケースは少なくありません。
特に「痛めた覚えもないのに、膝が痛くなってきた」という人に多いのがこのケースです。
また、中高年に多い変形性膝関節症では、関節軟骨への負担を最小限に抑えることが悪化を防ぐ鍵となります。まずは、今すぐ見直すべき5つのNG行動を確認しましょう。
- 痛みを我慢して行うウォーキングや筋トレ
- 正座やしゃがみ込みなど膝を深く曲げる動作
- 急な方向転換などの膝をねじる動き
- クッション性の低い靴での長時間歩行
- 炎症を悪化させる自己流の強いマッサージ
特に、床から立ち上がるときに膝を深く曲げたまま体重をかける動きは、関節に強い圧迫力を加えるため注意が必要です。
これらの動作は、膝の炎症を強めたり、軟骨の摩耗を早めたりする恐れがあります。自分の動きを一度振り返り、膝を労わる生活習慣を整えていきましょう。
1. 無理なウォーキングや筋力トレーニング
膝に痛みがあるにもかかわらず、無理にウォーキングや筋力トレーニングを続けることは、症状を悪化させる最も大きな原因の一つです。
膝を支えるための筋力をつけることは大切ですが、そもそも痛みは体からの危険信号です。
このサインを無視して運動を続けると、膝関節内の炎症が強まったり、膝の関節軟骨の摩耗をさらに悪化させてしまう可能性があります。
特に注意したいのが、スクワットやウォーキングなど、膝に直接的な負荷がかかる運動です。
痛みで膝まわりが不安定な状態では、無意識に膝をねじってしまったり、痛みのない方向ばかりに体重をかけてしまうなど、痛みを増強させるリスクが高くなります。
痛みがある場合には、低負荷で行えるトレーニングで、無理なく力をつけていくことが重要です。(後半で詳しくお伝えします。)
(※ランニングで膝が痛む人については「ランニングの膝の痛みと対処法」で詳しく紹介しています。)
2. 膝を深く曲げる動き(正座・しゃがむ動き)
正座やあぐら、和式トイレでのしゃがむ姿勢など、膝を深く曲げ込む動作は、膝関節に過度の圧力をかけ、痛みを誘発・悪化させる原因の一つです。
これらの姿勢では、膝の皿(膝蓋骨)と太ももの骨(大腿骨)の接触圧が高まりやすく、関節軟骨に大きな負担がかかります。
痛みがある時は、なるべく洋式の生活スタイルにするのがおすすめです。
また、床から立ち上がるときには、膝をねじりながら大きな力を加えることになり、関節への負担はさらに増大します。
布団を利用している人はベッドにする、椅子が低い場合は40cm以上のものに置き換えるなど、日常生活でも、なるべく膝を深く曲げる機会を減らすことが重要です。
※ なぜ、しゃがむと膝が痛むのかについては「しゃがむと膝が痛い原因と対処法」で詳しく紹介しています。
3. 急な方向転換や、膝をねじる動き(スポーツなど)
スポーツの切り返し動作や日常生活における急な方向転換、床に落ちたものを拾う際の不意なひねり動作は、膝関節に大きな負担をかけます。
そもそも膝の関節は、主に曲げ伸ばしの動きは得意ですが、ねじりの動きには非常に弱い構造です。
痛みがあるような不安定な状態で急なねじりが加わると、関節内のクッションの役割を果たす半月板や、関節を安定させる靭帯を損傷するリスクが高まります。
変形性膝関節症などで関節が不安定になっている場合は、わずかなねじり動作でも強い痛みを引き起こすことがあります。
動作を開始する際は、つま先と膝の向きを同じ方向に保ち、体全体で向きを変えるように意識することが大切です。
4. サイズが合っていない靴や、長時間の歩行
足に合わない靴や、クッション性の低い靴、かかとが不安定な靴を履いて長時間歩くことは、膝の痛みを悪化させる原因となります。
靴は、歩行時の地面からの衝撃を吸収する重要な役割を担っています。
サイズが合っていなかったり、靴底がすり減っていたりすると、衝撃を吸収する能力が低下し、その負担が直接膝関節に伝わっりやすくなります。
特に、変形性膝関節症の方は、O脚やX脚を伴っていることが多く、普段から足の内側・外側のどちらかに体重がよりやすくなるクセがあります。
これは自分がよく履く靴の靴底のすり減り方をみるとわかります。
足元の不安定さは、膝の内側や外側への偏った負担につながります。
自分の足に合った靴の選び方をもう一度見直し、特に膝が痛いときは、かかとが安定し、適度なクッション性のある靴を選ぶようにしましょう。
5. 自己流のマッサージ
膝が痛いとき、良かれと思って痛い部分を強く揉んだり、押したりする自己流のマッサージは、かえって症状を悪化させる可能性があります。
特に、注意すべきは膝に熱感や腫れがある急性炎症期のマッサージです。この時期に強い刺激を加えると、炎症が悪化し、痛みを増強させてしまいます。
慢性的な痛みがある場合でも、関節周辺の組織を強く圧迫することで、微細な損傷を引き起こすことも少なくありません。
マッサージを行う場合は、専門家の指導のもと、筋肉の緊張をほぐす目的で、膝の周りの太ももやふくらはぎの筋肉を優しくさする程度に留めてきましょう。
膝が痛い時のウォーキングはOK?中止すべきケースは?
膝の痛みがあっても、筋力の低下を防ぐための適度な運動は推奨されます。その代表がウォーキングです。
手軽に始められる反面、痛みの種類によっては中止すべき場合があります。ご自身で膝の状態を見極め、歩いていい状態かどうかを判断できるようになることが重要です。
ここではその見極め方と歩く場合の注意点についてお伝えしていきます。
(※ 歩くと膝が痛む原因については「歩くと膝が痛い原因と対処法」で詳しく紹介しています。気になる方はぜひこちらも参考にしてみてください。)
ウォーキングを中止すべき危険な痛みのサイン
ウォーキングを直ちに中止すべき危険な痛みのサインは、
- 安静にしていてもズキズキ痛む
- 膝に水が溜まってきた
- 膝が明らかに腫れて熱を持っている
- 歩いていると膝がガクッと崩れる(膝折れ)
という症状がみられるときです。
これらの症状は、膝関節内で強い炎症が起きている、または靭帯の損傷など不安定な状態のときにみられます。
また、変形性膝関節症が悪化している場合でも、このような症状が現れやすくなります。
痛みを我慢して歩き続けると、関節の摩耗を進行させる可能性があるため、速やかに運動を中止し、場合によっては整形外科の受診を検討する必要があります。
歩いていいかどうかの見分け方は?
一方で、運動を続けても比較的安全と考えられる痛みは、歩き始めや立ち上がり時に少し痛むものの、動いているうちに痛みが和らぐ、または消える場合です。
このような痛みは、長時間同じ姿勢でいた後に関節がこわばることによって生じることが多く、変形性膝関節症の初期段階でよく見られます。
また、運動後に軽いだるさや疲労感を感じる程度であれば、多くの場合、運動を続けて問題ありません。
ただし、運動の翌日に強い痛みが残るようであれば、運動の強度や時間が長すぎる可能性があるため、内容を見直す必要があります。
膝に負担をかけない正しい歩き方のポイント
膝に負担をかけない正しい歩き方は、股関節、膝関節、足関節と足指を正しく使う歩き方です。
そのためには、
- 足のつき方と体重の掛け方
- つま先と膝の向きの確認
に注意する必要があります。
着地の際は、かかとから静かに地面につき、足裏全体で体重を支えるように意識しましょう。
また、つま先と膝がまっすぐ正面を向くように注意し、膝が内側や外側に入らないようにすることが大切です。
画像のように膝が内側に入ると、ねじれの力が加わり痛みが強くなる危険性があります。歩いている時や、階段の上り下りなど、意識することが重要です。
また、クッション性の高いウォーキングシューズを選び、平坦な道を歩くことも重要です。
安静にしすぎも禁物!膝を守りながらできるおすすめセルフケア
膝が痛いからといって、全く動かさずに安静にしすぎることもおすすめできません。
膝を支える重要な太ももの筋肉(大腿四頭筋や内転筋)の衰えや関節の動き(可動域)の低下を招き、かえって膝を不安定にさせてしまうことがあります。
大切なのは、膝に過度な負担をかけない正しいセルフケアを行うことです。ここでは理学療法士の視点から、ぜひ取り入れてほしいセルフケアをご紹介します。
膝の痛みにおすすめ!筋膜マッサージ
ここでは、痛みがでやすい「膝の内側」に対する2つのマッサージをご紹介します。動画を見ながら実践してみてください。
専門家に一度みてもらいたいという方は、全国100店舗以上展開する理学ボディのお近くの店舗をご確認ください。
膝の痛みにおすすめのストレッチ方法
膝まわりの筋肉が硬くなると関節がスムーズに動かなくなり、痛みにつながってしまいます。特に、膝のお皿まわりの痛みやこわばりを感じている人は痛みのない範囲で動かすことがおすすめです。
- 椅子に浅く座り、片方の足を前に伸ばしかかとを床につけます。
- 背筋を伸ばしたまま、骨盤から体を前に倒し、太ももの裏が伸びるのを感じる位置で20〜30秒キープします。
- 左右交互に行います。
- 壁や椅子に手をついて立ち、片方の足首を持ちます。
- かかとをお尻に近づけるようにして、太ももの前側を伸ばします。
- 腰が反らないように注意し、20〜30秒キープします。
- 左右交互に行います。
- 壁の前に立ち、両手を壁につけます。
- 片足を大きく後ろに引き、かかとを床につけたまま、前の膝をゆっくり曲げていきます。
- 後ろの足のふくらはぎが伸びるのを感じながら20〜30秒キープします。
- 左右交互に行います。
息を止めずに、深呼吸をしながら行いましょう。
膝への負担が少ない筋力トレーニング3選
膝に痛みがあるときでも安全に行える、負担の少ない筋力トレーニングを紹介します。太ももの前・横の筋肉を効果的に鍛えるトレーニングです。
体重をかけずに行えるので、変形性膝関節症を抱える方にもおすすめです。
- 椅子に深く座り、背筋を伸ばします。
- 片方の足をゆっくりと床と平行になるまで持ち上げ、太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)に力が入るのを感じながら5秒間キープします。
- ゆっくりと下ろし、これを左右10回ずつ繰り返します。
- 仰向けに寝て、片方の膝を立てます。
- もう片方の足を、立てた膝の高さまでゆっくりと上げ、5秒間キープします。このとき、つま先を天井に向けるのがポイントです。
- ゆっくり下ろし、左右10回ずつ行います。
- 横向きに寝て、下側の脚は軽く曲げます。
- 上側の脚を伸ばしたまま、ゆっくりと真上に持ち上げ、お尻の横の筋肉(中殿筋)の収縮を意識します。
- 5秒キープしてからゆっくり下ろし、左右10回ずつ繰り返します。
痛みのない範囲で、無理なく行いましょう。
膝サポーターや杖を上手に活用する方法
膝の痛みが強い場合や、歩行に不安がある場合は、サポーターや杖といった補助具を上手に活用することも有効なセルフケアです。
膝のサポーターには、
- 関節を保温するタイプ
- 軽く圧迫して安定感を高めるタイプ
- 支柱が入っていて横ブレを防ぐタイプ
など様々な種類があります。自分の症状や目的に合ったものを選びましょう。
変形性膝関節症などで歩行が不安定な場合は、杖の使用が推奨されます。ただし、杖に頼ってしまうと足の力が衰えてしまうこともあるので、そのバランスが重要です。
杖の使用に悩む際は、主治医や通っているリハビリのスタッフに相談してみるのがおすすめです。
杖にも様々なタイプ(一本杖、4点杖、多点杖など)があるので、自分に合ったものを選ぶことが重要です。
杖をつく際は、痛い方の脚とは反対側の手で持つのが基本です。杖と痛い方の脚を同時に前に出すことで、膝への負担を約20〜30%軽減できるとも言われています。
投稿者プロフィール

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理学療法士の国家資格を取得後、都内のスポーツ整形外科クリニックで医師と連携しつつプロスポーツ選手や箱根駅伝選手などを担当し、技術を磨いてきました。
その過程でイタリアの医師が考案した国際コースである『Fascial manipulation(筋膜マニピュレーション)』のコースを修了しています。
筋膜を通じて痛みに悩まされている人を救いたいです。
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木城先生


















・ ウォーキングを続けて良い痛みと中止すべきサインの見極め方
・ 症状の段階に合わせた温冷ケアなど正しい対処法
・ 放置は危険な症状と整形外科を受診するべき目安