「肩を回すとゴリゴリなる」「最近、肩こりがひどくなってきた…」
デスクワーカーに特に多い、肩まわりの不調。動かすたびに「ゴリゴリ…」と変な音が鳴ると不安になってしまう人も多いはず。
その原因の多くは筋肉の硬さですが、知らずに放置することで、さらなる痛みや肩の怪我に繋がることがあるので要注意です。
この記事では、理学療法士の視点から、音の正体とその原因、危険な症状の見分け方、自分でできる対処法や簡単なストレッチまで詳しく紹介します。
目次
肩を回すとゴリゴリ鳴る音の正体とは?
肩を回した時の「ゴリゴリ」「ポキッ」という音。
音の種類によって原因は、次の2つに分かれます。
- 硬くなった筋肉や腱がこすれる音(滑走不全とインピンジメント)
- 関節内の気泡が弾ける音(クラッキング音)
自分の症状と照らし合わせて、原因を確認してみましょう。
「ゴリゴリ」音の正体は?
「ゴリゴリ」音が鳴るのは、滑走不全とインピンジメントが原因です。
硬くなった筋肉や腱(けん)がスムーズに動かなくなる「滑走不全(かっそうふぜん)」が原因で起こります。
デスクワークなどで肩甲骨が外側に広がったまま固まると、肩甲骨と肋骨の間にある「前鋸筋(ぜんきょきん)」や「肩甲下筋(けんこうかきん)」などの筋肉が癒着を起こします。
この状態で無理に動かすと、硬くなった組織同士がこすれ、「ゴリゴリ」「ジャリジャリ」という音が生じます。
これは、骨の並び(アライメント)の崩れが根本にあるケースが多いです。
肩甲骨が正しい位置にないため、腕を上げる際に肩のインナーマッスルが肩の上の骨(=肩峰)に衝突する「肩峰下インピンジメント」を引き起こしている可能性もあります。
この状態は慢性的な肩こりのサインでもあり、筋肉の柔軟性を取り戻すケアが必要です。
「ポキッ」音の正体は?
「ポキッ」と単発で鳴る音は、関節内の気泡が弾けるクラッキング音と呼ばれる現象です。
関節は関節包という袋に包まれており、その中は関節液で満たされています。
肩を急に動かすなどして関節内の圧力が変化すると、関節液の中に一時的に気泡が発生し、それが弾けることで音が出ます。
これ自体に過度に心配する必要はありませんが、頻繁に鳴らそうとするのは関節包や靭帯を緩ませ、「関節の不安定性」を招く恐れがあります。
無理に鳴らす習慣はなるべく避けましょう。
肩のゴリゴリ音を引き起こす、4つの原因
肩からゴリゴリと音が鳴る原因の多くが、筋肉の硬さや血行不良であるケースが多いです。
しかし、ゴリゴリ音が鳴る人とならない人の違いは、一体なんなのでしょうか?
ここでは、理学療法士の視点から、肩のゴリゴリ音を引き起こす代表的な4つの原因を解説します。
筋肉の硬さ、蓄積した老廃物
長時間のデスクワークやスマートフォンの操作は、肩のゴリゴリ音を引き起こす大きな原因です。
同じ姿勢を続けることで、首から肩、背中にかけての筋肉が持続的に緊張した状態になります。
この緊張は、筋肉内の血管を圧迫し、血行不良を招きます。
血流が滞ると、酸素や栄養素が十分に行き渡らず、疲労物質や老廃物が排出されにくくなります。
その結果、筋肉は柔軟性を失って硬くなり、肩を動かした際に骨や他の筋肉とこすれて音が発生しやすくなるのです。
猫背や巻き肩といった、日常的な姿勢の乱れ
猫背や巻き肩といった姿勢の乱れは、肩甲骨や鎖骨、上腕骨の位置関係を崩し、肩関節の正常な動きを妨げます。
例えば、猫背になると肩甲骨が本来の位置から外側にずれてしまい、腕を上げる際に肩のインナーマッスルなどが骨に挟まれやすくなります。
このような状態で肩を回し続けると、筋肉や腱がスムーズに動かず、骨とぶつかったりこすれたりしてゴリゴリという音が生じます。
次第に、筋肉や腱の摩耗や損傷につながることもあるので要注意です。
運動不足による、血行不良と筋力の低下
日常生活では、手を前に動かす動作は多いですが、手を後ろに引いたり、肩甲骨まわりを動かす機会は意外と少ないものです。
特に肩甲骨の土台となる筋肉(前鋸筋や肩甲下筋、広背筋や菱形筋など)は動かさないことで硬くなるだけでなく、筋力の低下につながってしまいます。
その結果、姿勢が崩れやすくなり、肩関節の動きが不安定になります。
この状態で肩を動かすたびに関節や周辺組織に余計な摩擦が生じ、ゴリゴリという音の原因となるのです。
しっかり腕を振って歩くウォーキングなどの適度な運動は、肩甲骨まわりの血行促進と筋力維持の両面から必要です。
体の冷えが引き起こす、筋肉の過度な緊張
体の冷えは、筋肉を過度に緊張させ、肩のゴリゴリ音を悪化させる一因です。
体が冷えると、体温を逃さないように血管が収縮し、血行が悪くなります。
また、寒さから身を守ろうと無意識に体に力が入り、肩をすくめるような姿勢になりがちです。
これにより、首や肩周りの筋肉は常に緊張した状態となり、硬くなってしまいます。
硬くなった筋肉は血行不良をさらに助長するという悪循環に陥り、肩を動かした際の摩擦音を生み出しやすくなります。
夏場の冷房や冬の寒さ対策は、意外と重要です。
放置は危険?病院へ行くべき症状の見分け方
肩から音が鳴ること自体は珍しくありません。そのまま放置していいのか、見極めのポイントは「痛みの有無」です。
- 過度に心配しなくてもよいケース:痛みや動きに制限がない
- 医療機関の受診を検討すべき症状:痛みがある、動きに支障が出ている
音が鳴る原因によっては病気が隠れている可能性もあるので、症状を正しく見極め判断することが重要です。
心配しなくていい症状は?
肩を回したときにゴリゴリと音が鳴るだけで、特に痛みがなく、腕の可動域にも制限がない場合は、過度に心配する必要はありません。
多くの場合、その音は関節内の気泡が弾ける生理的な現象か、一時的な筋肉の硬さによるものです。
痛くないからといって放置するのではなく、姿勢の改善やストレッチといったセルフケアを日頃から心がけることで、将来的な肩のトラブルを予防できます。
音が鳴るのは、体が発している注意信号と捉え、生活習慣を見直す良い機会としましょう。
こんな時は要注意!整形外科の受診が必要なケース
ゴリゴリ音とともに、肩を動かしたときに鋭い痛みを感じる、腕が上がらない、じっとしていても痛む、夜間に痛みで目が覚めるなどの症状がある場合は、何らかの病気が隠れている可能性があります。
考えられる疾患には、
- 四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)
- 腱板損傷
- 石灰沈着性腱板炎
などがあります。これらは自己判断で放置すると悪化する恐れがあります。
このような症状がある場合は、安易にマッサージや整体、整骨院に行くのではなく、まずは正確な診断を受けるために整形外科を受診してください。
医師による検査で原因を特定することが、適切な治療への第一歩です。
自宅で実践!肩のゴリゴリ音を解消する【セルフケア4選】
痛みを伴わない肩のゴリゴリ音は、日々のセルフケアで解消できる可能性があります。原因となる筋肉の硬さや血行不良を改善することがポイントです。
ここでは、理学療法士が推奨する、自宅で簡単に実践できる4つの解消法を紹介します。
無理のない範囲で、毎日の習慣に取り入れてみましょう。特に肩甲骨周りを意識したストレッチは効果的です。
【ストレッチ・マッサージ】専門家おすすめ3選
硬くなった肩甲骨周りの筋肉をほぐし、柔軟性を取り戻すための簡単なストレッチを2つ紹介します。
肩甲骨の動きを引き出すストレッチです。
- 壁に向かって立ち、両方の前腕(肘から先)を壁につける。
- 小指側を壁に滑らせながら、ゆっくりと腕をV字に上げていく。
- 肩甲骨が外側に広がりながら上がっていくのを感じ、一番高いところで5秒キープ。
- これを5回繰り返す。
特に硬くなりやすい肩甲骨の裏側の筋肉(肩甲下筋)をほぐす方法です。
- 右腕を肩の硬さに上げ、左手の親指を脇の下に入れる
- 左手の親指で肩甲骨の前面を軽く押さえる(痛気持ちいいと感じるところ)
- そのまま腕を優しく内側・外側にひねる
- 痛気持ちいい範囲で30秒間、筋肉をほぐす
- 反対も同じように行う
【生活習慣】体を温めて血行を促進させる入浴法
体を温めて血行を促進することは、筋肉の緊張を和らげ、ゴリゴリ音の解消につながります。シャワーだけで済ませず、毎日湯船に浸かる習慣をつけましょう。
おすすめは、38〜40℃程度のぬるめのお湯に15分ほどゆっくり浸かることです。
体が芯から温まることで血管が広がり、全身の血流が改善されます。
また、浮力によって筋肉や関節への負担が軽減され、心身ともにリラックスできます。
入浴中に肩までしっかり浸かり、ゆっくりと肩を回したり、首をストレッチしたりすると、より効果的に筋肉をほぐせます。
【姿勢改善】肩に負担をかけない正しい座り方のポイント
日常的な姿勢の乱れは、肩への負担を増やし、ゴリゴリ音の原因となります。
特にデスクワーク中は、正しい座り方を意識することが根本的な解消につながります。
- 足が地面にしっかりつく位置に腰を掛け、骨盤を立てる
- 左右の坐骨(お尻の下の硬い骨)に均等に体重が乗るように座る
- 息を吐き、お腹がすこし硬くなったところで、背筋を伸ばす
- 最後に、頭が体の真上に来るよう合わせる
パソコンのモニターは目線の高さに合わせ、肘が90度になるように机や椅子の高さを調整します。
※どんなにいい姿勢で座っていていも、30分〜1時間に一度は立ち上がり、軽く体を動かすことも大切です。
【水分補給】こまめに水を飲み老廃物を排出しやすくする
体内の水分が不足すると、血液の粘度が高まり、血行が悪化しやすくなります。
血流が滞ると、筋肉に溜まった疲労物質や老廃物がスムーズに排出されず、筋肉が硬くなる原因になります。
肩のゴリゴリ音の解消を目指すなら、意識的に水分を摂取することも重要です。
喉が渇いたと感じる前に、こまめに水を飲む習慣をつけましょう。
1日に1.5リットルを目安に、コーヒーやお茶などのカフェイン飲料ではなく、水や白湯を飲むのがおすすめです。
適切な水分補給は、体内の循環を整え、筋肉の柔軟性を保つために不可欠です。
つらい肩の痛みを、今すぐどうにかしたい人へ
ここまで紹介したセルフケアを行なっても、なかなか不調が改善しない人も多いです。
特に、すでに肩の痛みが長引いている人は、セルフケアでは限界があります。
「今すぐ肩の痛みやだるさをどうにかしたい」という人は一度専門家に相談するのがおすすめです。
実は、なかなか治らない肩まわりの痛みは「筋膜」に問題が出ているケースが意外と多く見られています。
当院は、筋膜の施術に特化した整体で、スタッフ全員が体のプロである理学療法士の国家資格を取得しています。
さらに、当院の施術は医師と理学療法士にしか学ぶことのできない、イタリア式の筋膜リリース(正式名称は、筋膜マニピュレーション)として人気を集めています。
イタリア式の筋膜リリースは特別な技術が必要になる分、普通の筋膜リリースよりも圧倒的に筋膜がほぐれるため、痛みなどの不調を改善できる可能性も高くなります。
去年辺りから左肩に違和感を覚え、他社の整骨院に通っていましたが、一向に改善されず、お試しで予約してみました。 初回、施術して頂いてからすぐに体感がありました。 ずっと抱えていた違和感がすぐに無くなり3回目の時にはほぼ完治に近い状態で、非常に感謝しております。 自身で行えるストレッチ等もご教授頂けるので安心です。 お値段はリーズナブルでは無いですが、そのくらいの価値があります。 引き続き、通わせて頂きたいと思います。
最近ではありがたいことに来院される方が急増し、毎月予約が取りづらい状態です。
店舗によっては、来月の予約もいっぱいの状況です…!
当院にて早めに「施術」を検討される方は、ぜひ、お近くの店舗を覗いていただき、予約があるかを確認頂けると幸いです。
肩のゴリゴリ音に関するよくある質問
ここまで肩のゴリゴリ音の原因や対策について解説してきましたが、まだいくつか疑問が残っているかもしれません。
ここでは、皆様からよく寄せられる質問について、Q&A形式でお答えします。
Q1. 肩のゴリゴリ音は、わざと鳴らしても問題ありませんか?
痛くない場合でも、ゴリゴリなる音をわざと鳴らすのはおすすめしません。
意図的に関節を鳴らす行為は、関節の軟骨や周辺の靭帯、筋肉に余計な負担をかけ、かえって組織を傷つけたり炎症を引き起こしたりする可能性があります。
音が鳴ることで一時的にすっきり感じるかもしれませんが、根本的な解決にはならず、長期的に見れば症状を悪化させるリスクがあります。
Q2. 解消ストレッチは1日に何回くらい行うのが効果的ですか?
ストレッチの回数に厳密な決まりはありませんが、一度にたくさん行うより、毎日継続することが解消への近道です。
1日2〜3回、例えば朝起きた時やデスクワークの合間、血行が良くなっている入浴後などに行うのが効果的です。
1回あたりは数分程度で構いません。痛みを感じない範囲で、気持ちよく伸びていると感じる程度に実践しましょう。
Q3. 整骨院や整体では、どのような施術を受けられますか?
整骨院や整体では、主に手技による施術が行われます。
硬くなった筋肉を緩めるマッサージや、動きが悪くなった肩甲骨や鎖骨周りの関節の動きを改善する調整、骨盤や背骨の歪みを整える矯正などが一般的です。
施設によっては電気治療や温熱療法を併用することもあります。
原因となっている部位を見極め、筋肉や骨格にアプローチして症状の改善を目指します。
肩のゴリゴリ音の原因と対処法【まとめ】
肩を回した際のゴリゴリ音は、主に筋肉の硬直や血行不良、姿勢の乱れが原因で生じます。
痛みを伴わない場合は、過度に心配する必要はなく、今回紹介したストレッチや生活習慣の改善で解消が期待できます。
特に、肩甲骨周りの柔軟性を保つことは重要です。
しかし、強い痛みや腕が上がらないといった症状がある場合は、自己判断せず整形外科を受診してください。
ゴリゴリ音は、体からのサインと捉え、ご自身の体と向き合うきっかけにすることが大切です。
投稿者プロフィール

- 【青山筋膜整体 理学BODY WEB編集長】理学療法士歴10年以上 総合病院⇨介護・予防分野⇨様々な経験を経て独立。臨床で得た知識をもとに、書籍の執筆・WEB発信・東京都の高齢福祉事業など分野問わず活動中。


木城先生

















肩甲骨の可動域を広げ、血行を促進する効果が期待できます。
(※肩甲骨を大きく動かす意識で行うのが、ポイント。)