こんばんは、ランナーの痛みの改善と筋膜の専門家、木城拓也です。
いきなりですがランナーの皆さん!アキレス腱が痛い方の病名をなんて言うか知っていますか?
アキレス腱炎ですね!
現場さん
いやいや、現場さん!甘いですよ!正式には『アキレス腱周囲炎』ですから!そんなんで現場が勤まると思ってるんですか?
麦わらさん
麦わらさん、そうなんですか??すいませんでした。もう現場失格ですね。
現場さん
いやいや現場さん、そんなに自分を責めないでください。実はアキレス腱の痛みと言われれば、どちらも正解なんです。そして麦わらさん、実はアキレス腱炎も正式名称です。混同されがちですが、『アキレス腱周囲炎』と『アキレス腱炎』は全くの別物なんです。
木城
なななんですとー!!!。
麦わらさん
ということで、今回はアキレス腱炎とアキレス腱周囲炎の違いについて解説していきたいと思います。
アキレス腱炎とアキレス腱周囲炎の違いその①
アキレス腱炎とアキレス腱周囲炎の最も大きな違いは、炎症を起こしている位置の違いになります。
▼の画像をご覧ください。
▲の図を見ていただいた通りですが、もう一度ざっくりと説明すると、
アキレス腱がカカトの骨に付いて、そこから
・2cm上までの位置がアキレス腱周囲炎
・2cmより上の位置での炎症がアキレス腱炎
になります。
アキレス腱炎とアキレス腱周囲炎の違いその2
アキレス腱炎とアキレス腱周囲炎では、炎症を起こす組織が違います。
炎症の組織が違うということは、治りやすさや、自然治癒にかかる時間も違ってきます。
これについてもう少し詳しく書いていきます。
アキレス腱炎の特徴
アキレス腱炎は、アキレス腱自体の炎症であり、アキレス腱周囲炎よりも発症する人の数が多いです。
※割合的には、60〜70%ほど多いと言われています。
アキレス腱は、カカトの骨の付着部周囲に比べると血管が豊富にあるため、アキレス腱周囲炎よりも学術的には治りやすいと言われています。
ただし、アキレス腱の細かい損傷が繰り返しおき、血流の不足により不十分な修復が蓄積すると、組織を守るために血管や細胞が増殖してしまい、肥えて厚いアキレス腱となってしまいます。
これを医学的には、アキレス腱の肥厚と呼んでいます。
この肥厚という状態になると、増えた血管や細胞を減らすにはものすごく時間がかかるので、なかなか治りません。
しかも痛みだけでなく、筋力の低下や可動域の制限でてきてしまいます。
ですのでこうなる前に早めに対処する必要があります。
▼に肥厚してしまったアキレス腱に対して有効なストレッチの記事を書いているので、興味のある方はそちらも合わせてご覧ください。
アキレス腱炎に効くストレッチ!間違ったストレッチは逆効果です
アキレス腱周囲炎の特徴
アキレス腱周囲炎は、上にも書いた通り、カカトの骨にアキレス腱が付いている位置から上2cmまでの位置で起きた炎症のことです。
この位置は、アキレス腱がカカトの骨に付くために、繊維軟骨と呼ばれる軟骨に移り変わっていく部位になります。
軟骨というのは、基本的に血管や神経を持っていません。
普通組織が炎症すると、血液が栄養を運んできてくれるので、炎症で壊れたものも回復しやすくなるのですが、このカカトの骨付近は血管がないため、それが非常に難しいです。
つまり、治りが悪いです。
あなたはアキレス腱炎?それともアキレス腱周囲炎?
ちなみに、このアキレス腱炎なのか?アキレス腱周囲炎なのか?の診断名問題。
実はそれほど神経質になる必要はありません。
なぜなら、私は長年整形外科に勤めて、何人もの整形外科医の先生と仕事をしてきましたが、この辺をしっかり厳密に鑑別してつけている先生は少ないです。
いつも『アキレス腱炎』と診断が付く病院もあれば、いつも『アキレス腱周囲炎』という診断が付く病院もあります。
事実、私もこのHPの中で書いているアキレス腱の痛みの記事では、読者さんにわかりづらくなってしまうため、あまり『アキレス腱炎』と『アキレス腱周囲炎』を分けては書いておらず、アキレス腱炎で統一しています。
私の過去の筋膜調整の記事が『アキレス腱炎』になっているから『アキレス腱周囲炎』は治せないとか、そういうことはありません。
『アキレス腱炎』だろうと『アキレス腱周囲炎』だろうと、アキレス腱を引っ張る方向に負荷がかかっていることには変わりがないので、どちらにも筋膜調整は有効です。
どちらの方が時間がかかるということもありません。
ただし上で説明した、アキレス腱の肥厚が起きてしまっていると、筋膜調整をしてもそれなりに時間がかかってしまうと思ってください。
ということですので、診断名自体をそれほど気にする必要はないかもしれません。
おいおい先生!ここまで長々と語ってきて最後にそりゃないぜー。
麦わらさん
すいません麦わらさん・・・。
木城
ただ、診断名はあてにならなくても、自分のアキレス腱のどの位置が痛いかである程度、自分がアキレス腱炎なのか、アキレス腱周囲炎なのか、確認することができます。
そして、アキレス腱炎であれば、アキレス腱自体をマッサージして、血行をよくすることが有効ですし、
アキレス腱周囲炎でしたら、血管が通っていないので、アキレス腱が付く場所にかかる負荷を減らすようなことを考えた方が有効かもしれません。
関連記事:アキレス腱の痛みを治した事例多数!3回以内の改善にこだわる整体院『理学ボディ』とは?
まとめ
『アキレス腱炎』と『アキレス腱周囲炎』は別物。
アキレス腱炎は、カカトの骨から数えて2cmより上で、アキレス腱自体の炎症。
血管があるため、修復がやや早いと言われているが、ここが微細な炎症を繰り返し起こすことで、血管や細胞が増殖して、アキレス腱が肥厚してしまうことがある。
こうなるとすごく時間がかかる。
アキレス腱周囲炎は、カカトにアキレス腱が付く位置付近(カカトから上2cm以内)での炎症。
この位置に当たるのが繊維軟骨と呼ばれ、血管が通っていないため、アキレス腱炎よりも治るのに時間がかかると言われている。
ただし、『アキレス腱炎』と『アキレス腱周囲炎』を厳密に鑑別して診断をしている整形外科医の先生は少ないため、診断名はそれほど気にしなくても良い。
筋膜調整はどちらにも有効。
最後に、アキレス腱の痛みに関して過去に書いた記事をご紹介して、終わりにしたいと思います。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
投稿者プロフィール
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理学療法士の国家資格を取得後、都内のスポーツ整形外科クリニックで医師と連携しつつプロスポーツ選手や箱根駅伝選手などを担当し、技術を磨いてきました。
その過程でイタリアの医師が考案した国際コースである『Fascial manipulation(筋膜マニピュレーション)』のコースを修了しています。
筋膜を通じて痛みに悩まされている人を救いたいです。