「肩甲骨はがし」という言葉を、整体院やSNS、YouTubeなどで見聞きしたことがある方は多いのではないでしょうか。
肩こりや首の重さ、背中の張りを改善する方法として注目されていますが、
「本当に効果があるの?」「自分でやっても大丈夫?」「医学的に問題はないの?」
と疑問を感じている方も少なくありません。
また、最近では肩甲骨はがしに加えて、筋膜リリースも効果があると話題になっており、両者の違いやどちらがより効果的かが注目されています。
本記事では、医療系国家資格者である理学療法士の視点から、肩甲骨はがしの効果とセルフでのやり方、そして筋膜リリースとの違いについてわかりやすく解説します。
記事の後半では、自分でできるセルフケアのポイントや動画もご紹介していますので、ぜひ日常のケアに役立ててみてください。
目次
肩甲骨はがしとは?|医学的に正しく言い換えると
結論から言うと、「肩甲骨はがし」という正式な医学用語は存在しません。
一般的に使われている「肩甲骨はがし」とは、肩甲骨まわりの筋肉や筋膜の動きを改善し、肩甲骨が肋骨の上をスムーズに動く状態をつくるケアを指す俗称です。
肩甲骨は本来、背中に張り付いている骨ではなく、肋骨の上を滑るように動く構造をしています。
その働きを助けているのが、肩甲骨周りに存在するたくさんの筋肉です。
しかし、デスクワークやスマートフォン操作が続くと、
- 肩甲骨の動きが小さくなる
- 周囲の筋肉が硬くなる
- 動かそうとすると重だるさや痛みが出る
といった状態になります。
この「動きの悪さ」を改善することが、一般に言われる「肩甲骨はがし」の本質です。
肩甲骨の可動域が広がり動きが良くなると、背中から肩甲骨が「はがれた」ように見えることがあり、そこから「肩甲骨はがし」という名称が広まりました。
なぜ、肩甲骨の動きが悪くなると不調が起こるのか
肩甲骨は、腕の骨(上腕骨)と体幹をつなぐハブのような役割を担っています。
この肩甲骨の動きが悪くなると、
- 首や肩の筋肉が過剰に頑張る
- 肩こり・首こりが慢性化する
- 猫背や巻き肩が強くなる
といった悪循環が起こります。肩甲骨がうまく動いてくれないことで、首や肩こり、姿勢不良まで影響が及んでしまうのです。
「肩甲骨はがし」は、この連動を妨げている硬さを減らし、本来の動きを思い出させる作業だと考えると理解しやすいでしょう。
肩甲骨はがしで期待できる、3つの効果
「肩甲骨はがし」で肩甲骨まわりの筋肉をほぐし、動きがスムーズになることで主に3つの効果が期待できます。
① 肩こり・首こりの軽減
肩甲骨の動きが小さくなると、本来は背中側の筋肉が担うはずの動きを、首や肩のまわりの筋肉(僧帽筋上部など)が過剰に頑張る状態になります。
これが、首〜肩こりにつながってしまいます。
肩甲骨まわりの筋肉がほぐれ、肋骨の上でスムーズに動くようになると、首・肩への負担が分散され、筋肉の異常な緊張が緩和されます。
その結果、「重だるさ」「張り感」といった慢性的な肩こりが和らぎやすくなります。
② 姿勢の改善(猫背・巻き肩)
猫背や巻き肩では、肩甲骨が外側・前方に引っ張られた位置で固まりやすくなります。
肩甲骨まわりの筋肉の動きが改善すると、肩甲骨が背中の中央に近づき、胸郭(胸まわり)が広がりやすくなります。
無理に胸を張らなくても、自然と背すじが伸びた姿勢を保ちやすくなるのです。
③ 呼吸がしやすくなる
肩甲骨は肋骨の上に位置しており、呼吸による胸郭の動きと密接に関係しています。
肩甲骨まわりの筋肉や筋膜が硬くなると、肋骨の動きも制限され、呼吸が浅くなりやすくなります。
肩甲骨の可動性が高まることで胸郭が広がりやすくなり、深く息を吸いやすい状態につながると考えられます。
自分でできる肩甲骨はがし【安全なやり方】
整体院や整骨院で行う「肩甲骨はがし」は、スタッフが肩甲骨周囲の筋肉をストレッチしたり、マッサージでほぐす施術を行います。
筋肉の走行に沿って、ほぐれやすいポイントや方向を狙うため、短時間でも肩まわりのこりが一気に軽くなると人気です。
実はこの肩甲骨はがし、正しい方法を知れば自宅でもセルフケアとして行うことが可能です。
ここからは、理学療法士も推奨するセルフ肩甲骨はがしの具体的な方法をご紹介します。
セルフ肩甲骨はがし①:簡単ストレッチ
肩甲骨周囲の筋肉を全体的にほぐすストレッチです。朝起きた後や、デスクワークの合間に取り入れるだけで、首こりや肩こりがグッと楽になります。
- 両手を背中側で組み、胸を張る
- そのまま後ろに腕を伸ばし、背中から離す
- 肩甲骨周りの筋肉の収縮が感じられるところで10〜20秒キープ
セルフ肩甲骨はがし②:肩周りのエクササイズ2つ
硬くなりやすい肩甲骨の内側を伸ばしたり縮めたりするエクササイズです。
長時間のデスクワークで、背中まわりがバキバキになりやすい人におすすめの方法です。
- 両肩の上に手を乗せ、両肘を肩の高さまで上げる
- 両肘を広げ胸を開き、肩甲骨の内側の筋肉を縮める
- 両肘を前で合わせるようにし、肩甲骨の内側を広げる
- 交互に10回行う
- 両手でタオルを持ち、頭の上に上げる
- 頭の後ろを通し、脇を締めるようにタオルを下げる
- 10回繰り返す
- ※タオルを下げる際に、首が前に倒れないように注意する
仕事や家事の合間に取り入れ、肩甲骨周りをほぐす習慣をつけていきましょう。
やってはいけない人・注意が必要なケース
理学療法士の視点で注意して欲しいのは、すべての人に肩甲骨はがしが適しているわけではないという点です。
下記の3つの内、一つでも当てはまる場合は注意が必要です。
- 強い肩の痛みが続いている
- 腕を動かすと鋭い痛みが出る
- 過去に肩の手術や脱臼の既往がある
これらの場合、無理に動かすことで、症状が悪化する可能性があります。
「気持ちいい」を超える痛みが出る場合は、セルフケアを中止し、整形外科などの専門家へ相談してください。
整体院や整骨院の【肩甲骨はがしと筋膜リリース】の違いは?
筋膜リリースと肩甲骨はがしの違いを詳しく知らない人は多いです。
筋膜リリースと肩甲骨はがしは明確に違うものなので、ここでしっかりと理解しておきましょう!
筋膜リリースとは?
人間の筋肉は筋膜に包まれていることもあり、今まで筋肉の不調が原因と考えられていた痛みや不調の本当の原因が筋膜であることが多いことがわかってきています。
筋肉は筋膜に包まれているため、筋肉の状態に問題がなくても筋膜が固くなることで筋肉にも悪影響が出やすくなります。
ですので、今までは痛みや不調があると筋肉が原因と考えられることが多く、筋肉に対してマッサージやストレッチなどのアプローチをすることが多かったです。
しかし近年では筋膜にアプローチをした方が症状が改善することが多いため、筋膜に対してアプローチをする筋膜リリースという方法が注目されています。
実際に私たちも筋肉にアプローチしていた時は改善しなかった症状の人が、筋膜に対してアプローチしたら劇的に症状が改善したケースを多く経験してきました。
ですので、筋肉を包む筋膜をほぐすことによって症状を改善させる方法が筋膜リリースです。
整体で受けるなら、肩甲骨はがし・筋膜リリースどっち?
結論から述べますと、筋膜リリースの方がオススメだと私たちは感じています。それには、筋膜リリースと肩甲骨はがしの2つの決定的な違いが関係しています。
①整体の肩甲骨はがしは肩甲骨周りしかアプローチできない
肩甲骨はがしは肩甲骨にアプローチするため、肩甲骨周りの筋肉がほぐれたり肩甲骨の動きが良くなったりします。
しかし、肩甲骨周りがほぐれても体の疲労や不調が改善するか?と言われると、改善しない時の方が多いです。
なぜなら、肩甲骨はがしでは肩甲骨周りしかほぐれないからです。
そもそも人間の体全体には筋肉がついており、その筋肉は筋膜に包まれています。わかりやすく言いますと、これが筋膜を取り除いた後の図です。
しかし、実際には筋肉は筋膜に包まれているので、このようなイメージになります。
もちろん、ここまで綺麗に1枚の膜で包まれているわけではありませんが、このように筋膜で体全体が包まれて繋がっているイメージです。
肩こりや肩の痛みなど肩甲骨周りに不調がある場合でも、本当の原因が痛みの場所の近くにあるとは限らず、痛みの場所から離れた場所にある可能性も十分に考えられます。
これを見るとわかりやすいかもしれませんが、背中の筋肉は筋膜で色々な場所に繋がっています。
そのため、臀部の筋膜が原因で肩甲骨や首に痛みや不調が出ることも考えられます。これが筋膜の治療の考え方です。
しかし、肩甲骨はがしでは肩甲骨周辺にしかアプローチをしないため、本当の原因が肩甲骨の周辺にない場合は根本的な改善を目指せません。
それだけでなく、肩甲骨はがしで筋肉はほぐれても筋膜はほとんどほぐれません。
②整体の肩甲骨はがしは、「筋膜」はほとんどほぐれない
肩甲骨はがしでは、肩甲骨の周辺の筋肉をほぐすことをします。なので、筋肉の緊張がほぐれたりはします。
しかし、筋肉がほぐれるのと筋膜がほぐれるのは別です。筋肉には筋肉のほぐし方があり、筋膜には筋膜のほぐし方があります。
肩甲骨はがしでは筋膜はほとんどほぐれないため、原因が筋膜だった場合の効果は薄いです。これらを含めて私たちは筋膜リリースが肩甲骨はがしより効果的だと考えています
理学療法士おすすめ!筋膜マッサージのやり方【動画で解説】
肩甲骨周りには、いくつか筋膜が硬くなりやすい場所があります。(※下記の画像の赤丸の部分)
自分で肩甲骨周りの筋膜リリースをするには、その場所をほぐすと効果的です。
筋膜リリースマッサージ①:肩甲骨の内側
この場所を左右指やテニスボールなどで、ほぐすことがオススメです。
特に筋膜が硬い場所は押すと強い痛みがでたりしますので、押すと痛い場所を探しながらできると効果的です。
大体1箇所につき3〜5分程度解せると、筋膜がほぐれやすくなります。
筋膜リリースマッサージ②:胸の前側
肩甲骨の筋膜は正反対にある胸側の筋膜とも関係しているため、胸周りも一緒に行うとバランスよく筋膜をほぐすことができます。
肩甲骨と一緒に以下の部位の筋膜も一緒にほぐしてみてください。
今すぐつらい首・肩こりを、どうにかしたい人へ
今回は筋膜リリースと肩甲骨はがしの違いや効果について解説をしていきました。
特に肩甲骨や肩甲骨と繋がっている筋膜が固くなることで、首や肩の痛み、腕の痺れ、背中の痛み、腰痛などさまざまな症状が引き起こされる可能性があります。
実際に当店にも様々な不調を持った人が来られますが、多くの人が筋膜をほぐすことで3回程度で改善しています。
もちろん100%全員を改善できるわけではありませんが、他の整体よりはあなたの症状を改善できる自信があります。
ですので、なかなか治らない痛みでお困りの場合は、私たちにお任せください。
よくある質問(FAQ)
Q:肩甲骨はがしは、毎日やってもいいですか?
A:痛みがなければ、基本的には問題ありません。ただし、やりすぎより「継続」が大切です。今回ご紹介したストレッチなどを習慣にしていきましょう。
Q:ゴリゴリ音がしますが、これは大丈夫ですか?
A:痛みがなければ問題ないことが多いですが、違和感が強い場合は控えましょう。
違和感や痛みが強くなる場合は、整形外科に相談しましょう。
Q:肩甲骨はがしは、即効性はありますか?
A:一時的に楽になることはありますが、根本改善には継続が必要です。また、日々の姿勢や使い方も重要です。
即効性を求める場合は、専門家に相談するのがおすすめです。
投稿者プロフィール

- 【青山筋膜整体 理学BODY WEB編集長】理学療法士歴10年以上 総合病院⇨介護・予防分野⇨様々な経験を経て独立。臨床で得た知識をもとに、書籍の執筆・WEB発信・東京都の高齢福祉事業など分野問わず活動中。
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