『股関節が痛い』
『股関節の付け根がつまる』
『股関節が硬くて動かしづらい』
このような悩み股関節の痛みや硬さの原因の一つは、筋肉・筋膜の硬さにあると言われています。
その硬い筋肉・筋膜をほぐす方法として最近話題になっているのが”筋膜リリース”です。
今では、テレビやネットの記事で話題になっており、テニスボールやローラーなどを使って自己流でやってしまう人がほとんどです。
しかし、間違った方法では本来の効果が出ないどころか、返って痛みを増強してしまう場合があります。
本記事では、筋膜リリースの腰痛への効果や具体的なやり方について、全国に100店舗以上展開する筋膜リリースの専門家である理学療法士がわかりやすく解説します。
後半では実際にセルフ筋膜リリースの方法を動画付きで解説しています。
※先に方法が知りたい人は、こちらから読み進めてください。
目次
筋膜リリースで股関節の硬さや痛みは取れる?
長時間のデスクワークや運動不足など、日々の生活習慣によって股関節周りの筋膜が硬くなると、股関節の硬さや痛み、さらには腰痛や膝の痛みにもつながることがあります。
筋膜リリースは、股関節の硬くなった筋膜をほぐし、筋肉や筋膜の癒着を解消させることができるため、上記のような不調に効果的と言われています。
ただし、まれに筋膜が原因でない症状もあります。
たとえば、すでに股関節の骨が変形している場合(変形性股関節症)や血流障害の場合(大体骨頭骨壊死)もあります。
これらはまず医療機関(整形外科)で医師の診断を仰いでください。
関節が変形していると、それに応じて筋膜も歪んでいることが多いです。
不調の原因が筋膜由来と関節由来の両方、という場合もあります。
このような場合は、医師と相談のもと専門家と一緒に筋膜リリースを行ってみると良いでしょう。
そもそも筋膜とは?癒着が引き起こす股関節の不調
筋肉を包み込んでいる薄い膜のことを筋膜と呼びます。
この筋膜は、本来みずみずしく、ある程度の柔軟性を持っており、筋肉の動きを滑らかにする役割を担っています。
しかし、長時間同じ姿勢を取り続けたり、運動不足、あるいは強い衝撃が加わったりすると、筋膜の水分が失われ、硬く縮んでしまうことがあります。
これが「筋膜の癒着」と呼ばれる状態です。
筋膜の癒着が起こると、周囲の筋肉や血管、神経を圧迫し、血行不良、筋肉のコリや痛み、疲労感、筋収縮力の低下、関節の可動域制限など、さまざまな不調を引き起こします。
特に股関節周辺の筋膜が癒着すると、股関節の動きが制限され、腰や膝に余計な負担がかかり、腰痛や膝の痛みといった問題に発展する可能性が高まります。
股関節の筋膜リリース 期待できる3つの効果
股関節の筋膜リリースを行うことで、ストレッチやマッサージでは得られない効果が期待できます。
第一に、関節の動きやすさ(可動域)が向上し、股関節をスムーズに動かせるようになります。
なんらかの原因で筋膜に問題が生じると、筋肉がしっかりと伸び縮みしなくなります。すると、股関節を曲げた時に詰まるような感覚や痛みが出やすくなります。
筋膜リリースにより、癒着した筋膜が剥がると、筋肉本来の柔軟性が回復するため上記の症状の改善につながります。
第二に、血行が促進される効果があります。筋膜が硬くなると血行やリンパ液の流れを阻害することがあります。
筋膜リリースによってこれらの流れがスムーズになると、むくみの改善や疲労物質の排出が促されます。
第三に、姿勢の改善が期待できます。
股関節の柔軟性が高まることで、骨盤の傾きや歪みの改善にもつながり、結果として体全体のバランスが整い、美しい姿勢の維持につながります。
股関節の筋膜リリースの具体的なやり方【部位別】
股関節のセルフ筋膜リリースとして、最近では筋膜ローラーなどを利用する方法が主流となっています。
しかし、筋膜の専門家の視点からいうと、実は道具を使った方法は効果的とは言えません。(後半で詳しく説明しています。)
筋膜をほぐすにはトリガーポイントという筋膜が硬くなったポイントをほぐす必要があるためです。
そのポイントを見つけるのが大変なのですが、ここではそのポイントをお伝えしつつ、道具なしで行える方法をわかりやすくご紹介していきます。
セルフ筋膜リリースの手順【3 STEP】
まずは、全てのセルフ筋膜リリースの手順を確認しましょう。
- 筋膜の硬い部分(コリ)を見つける
- コリの場所を3〜10分間前後刺激する
- コリが複数箇所ある場合は、他の部分で①②を繰り返す
注意点したいポイントは刺激の強さです。セルフ筋膜リリースにはゴリゴリとした強さは必要ありません。強すぎる刺激は正常な筋膜まで壊してしまいます。
また、コリの部分は痛みセンサーが過敏になっているため、軽い圧でもかなり痛みを伴います。
刺激の強さは、気持ち良いと感じる圧で行うようにしましょう。
ではさっそく、股関節の前側・横側・内側・外側と部位別に説明していきます。
ご自身の症状に合わせて行ってみてください。
股関節の筋膜リリースのやり方:股関節の前側(太もも前)
股関節の前側は腸腰筋や大腿四頭筋など、大きな筋肉があります。
これらの筋肉は、下半身をよく使うスポーツや猫背などの悪い姿勢により硬くなりがちです。
股関節の前側が硬くなると、股関節がつまったり、深く曲げた時に痛みが出やすくなります。
スポーツ活動や仕事の合間にケアしたい部位です。
以下の手順で行います。
太ももの前側のセルフ筋膜リリース
- 太ももの正面でコリコリとした筋肉を見つける
- 指を少し外側にずらす
- 股関節と膝の丁度真ん中あたりの高さにずらす
- 上下・左右・斜めなどいろんな方向にマッサージする
股関節の筋膜リリースのやり方:後ろ側(お尻まわり)
股関節の後ろ側は大臀筋などおしりを覆う筋肉があります。
おしり周りが硬くなると、坐骨神経痛や梨状筋症候群の症状が出やすくなります。
そのため、デスクワークで長時間座りっぱなしの方や坐骨神経痛に悩む方は積極的にケアしたい部位です。
それぞれ、以下の手順で行います。
おしりのセルフ筋膜リリース
- 手の付け根を骨盤のてっぺんに当てる
- 指をおろしたときに指先で硬い骨を触る
- 硬い骨の3cmくらい後ろを上下にマッサージする
坐骨(おしりの骨の出っ張り)周りの筋膜リリース
- 坐骨(座ったときに体重が乗る骨)の場所を確認する
- おしりの外側から坐骨に向けてマッサージする
股関節の筋膜リリースのやり方:股関節の内側(内もも)
股関節の内側は足を閉じる内転筋があります。
内転筋が硬くなると、歩いているときにそけい部が痛くなったり、股関節のつまりが気になったりします。
そけい部の痛みや関節のつまりが気になる方は積極的にケアしたい部位です。
内もものセルフ筋膜リリース
- 太ももを持ち上げる
- 太ももの内側で浮き出る筋肉を見つける
- 太ももの真ん中あたりを触り上下にマッサージする
また、膝の内側にも股関節に関係する筋肉・筋膜が多く存在します。
膝の内側のリリースも行ってみましょう。
膝の内側のセルフ筋膜リリース
- 手の付け根を膝のお皿の上に当てる
- 太ももを掴んだときに指4本分のエリアをマッサージする
股関節の筋膜リリースのやり方:股関節の外側(外もも)
股関節の外側は足を開く外転筋があります。
外転筋が硬くなると、片足立ちのバランスが悪くなったり、おしり周りの痛みに繋がったりします。
これらの症状が気になる方は積極的にケアしたい部位です。
外もものセルフ筋膜リリース
- 太ももの半分より膝より手の付け根を膝のお皿の上に当てる
- もも裏の筋と真横の筋の間に指を入れる
- 指を入れた場所をマッサージする
股関節の筋膜リリース【意外な2つの注意点】
最近ではよく書籍やネットの記事で”セルフ筋膜リリース”が紹介されています。
ご自身で筋膜リリースができたら、日頃のケアが出来てとても良いですね。
でも、気をつけなければならない注意点があります。
意外かもしれませんが、ゴリゴリほぐすのはNGです。
むやみにゴリゴリほぐすのはNG?
筋膜リリースがときに「筋膜はがし」と呼ばれることがあります。
この言葉のせいなのか、筋膜リリースは”強い力でゴリゴリほぐすもの”というイメージをもたれていることがあります。
ですが、やみくもに強い力ではがそうとしても、筋膜はリリースされません。
筋膜は体の中で何層にも重なっていますが、一番浅い層は皮膚の真下にあります。
そのため、ときには弱い力でも十分に筋膜リリースができます。
このときゴリゴリしてしまうと、効果がないだけではなく、逆に正常な筋膜を壊してしまいます。
無理に筋膜をはがす(壊す)と、その時は気持ちよさを感じたり動きが良くなったように感じます。
ですが、壊れた筋膜が修復される過程で、再び筋膜がくっついてしまいます。
これを何度も繰り返すと、なめらかな筋膜が硬くなってしまい、より一層体が動かしにくくなります。
また、痛みのある場所だけをむやみにゴリゴリし続けるのも良くはありません。
筋膜は全身に張り巡らされており、ある部位の痛みの原因が別の場所の筋膜にあることもあります。
股関節の硬さの原因がふくらはぎの筋膜にある、ということもあるのです。
ですので、股関節が痛いからと言ってその周りだけをゴリゴリし続けると、正常な筋膜を壊してしまうかもしれません。
筋膜リリースは症状と体の状態を評価し、不調の根本を見極める必要があるのです。
力任せにゴリゴリほぐすのは絶対にやめましょう。
筋膜ローラーは実はNG?
最近では、筋膜リリースのための器具も販売されています。
中でもこのようなローラー状のものが有名です。

パンパンに張った筋膜をこれでゴロゴロすると、痛気持ち良いです。
ツボを押されたような感じがして、硬い筋膜もほぐれそうですよね。
しかし、実際にはこれで筋膜がものすごくほぐれることはありません。
なぜなら、筋膜をほぐすには器具が大きすぎるからです。
筋膜が硬くなる時は、数ミリ〜数センチ程度のツボのような場所が硬くなります。
ですので、筋膜をほぐす時にはそのツボ(トリガーポイント)をピンポイントでほぐす必要があります。
ですが、ローラーでは接触面積が大きすぎるため、刺激が分散されてしまいます。これでは、十分に筋膜をほぐすことは難しいです。
ご自身で筋膜リリースをするときは、ローラーよりも接触面積の小さいな物を選びましょう。
身近なものだと、手やテニスボールの使用をオススメします。
股関節の痛みを今すぐ改善するなら専門家へ
今回紹介した筋膜リリースで、股関節の痛みが改善する人もいればしない人もいると思います。
痛みが改善する場合はセルフケアを継続していただけたらいいですが、痛みが改善しない場合はセルフケアには限界があるかもしれません。
筋膜はいくつもの層になって全身を覆っており、時に互いに影響を及ぼします。
そのため、股関節の硬さや痛みの原因がふくらはぎの筋膜にある、ということもあります。
自己判断で正確に原因を特定することは難しいです。
また、むやみに強い力でリリースを行おうとすると、かえって筋膜の損傷に繋がってしまいます。
専門家であれば、全身の筋膜の状態をみながら、時には症状がある部位から離れた筋膜にアプローチすることができます。
ご自身でのケアに限界を感じたら、私たちプロを頼ってください。
股関節の筋膜リリース専門店なら理学ボディ
症状が軽くならない場合は、ぜひ私たち理学ボディにご相談ください。
理学ボディは全員が理学療法士という国家資格を取得しており、医学的知識をもとに施術します。
私たちは筋膜に特化した施術(筋膜リリース)を行います。
そして3回以内に卒業できることにこだわっています。
もちろん、全員が1〜3回の施術で改善するわけではありませんが、他の整体や病院に行くよりは少ない回数で改善できる自信があります。
ですので、なかなか股関節の痛みが改善しない人は、1度ご相談いただければと思います。
理学ボディは北海道から九州まで店舗を展開しています。
症状にお困りの方は、一度お近くの店舗にご相談ください。
股関節の筋膜リリース【まとめ】
今回は、筋膜リリースで股関節の硬さや痛みは取れるのかについて、その理由や注意点を解説しました。ご自身のケアは逆効果にならないよう、ゴリゴリを避けて行うようにしましょう。
また、症状の根本治療を望むときは、是非私達専門家を頼ってください。
投稿者プロフィール

- 【青山筋膜整体 理学BODY WEB編集長】理学療法士歴10年以上 総合病院⇨介護・予防分野⇨様々な経験を経て独立。臨床で得た知識をもとに、書籍の執筆・WEB発信・セミナー講師など分野問わず活動中。
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