長時間のデスクワークで、ガチガチになったお尻まわり。
「ストレッチをしても、うまくほぐれない」そんなときは、ピンポイントでほぐすことができる筋膜リリースがおすすめです。
ガチガチのお尻を放っておくことは、骨盤の歪みや姿勢の悪さを引き起こすだけでなく、実は腰痛にもつながってしまいます。
お尻の筋肉と腰は密接に関連しており、お尻が硬くなることで腰に負担がかかり、だるさや疲れ、痛みが出てしまうのです。
この記事では全国に100店舗ちかく店舗展開する筋膜整体の専門家が、ガチガチに硬くなったお尻の筋膜をほぐす「筋膜リリース」の具体的なやり方まで、わかりやすく解説します。
誰でもできる簡単な方法を中心に紹介するため、自宅でのセルフケアにぜひ、取り入れてみましょう。
目次
長時間の座り仕事が原因?お尻の筋肉が硬くなる理由
デスクワークなどで長時間座り続けると、お尻の筋肉、特に大臀筋や中臀筋が常に圧迫された状態になります。
この圧迫により血行が悪化し、筋肉に必要な酸素や栄養が届きにくくなるのです。
また、座ったままの姿勢では筋肉がほとんど動かないため、お尻周りの柔軟性が失われていきます。
こうした状態が続くと、筋肉を覆う「筋膜」が癒着したり、縮んで分厚くなったりしてしまいます。
これが「お尻の筋肉が硬くなる」メカニズムです。
硬くなったお尻の筋肉は、繋がっている腰の筋肉を引っ張り、骨盤の歪みを引き起こすことで、不良姿勢につながったり、腰痛の直接的な原因ともなります。
お尻の筋膜リリースで期待できる嬉しい効果
お尻の筋膜リリースは、腰痛の緩和だけでなく、身体に様々な良い影響をもたらします。
お尻の筋肉は上半身と下半身をつなぐ重要な役割を担っており、ここをほぐすことで姿勢の改善や血行促進など、幅広い効果が期待できます。
日常生活の質を高めるためにも、お尻のケアは非常に重要です。ここでは、腰痛改善以外に得られる具体的なメリットを3つ紹介します。
つらい腰痛や坐骨神経痛の緩和につながる
お尻の奥深くにある梨状筋という筋肉が硬くなると、そのすぐ下を通っている坐骨神経を圧迫してしまうことがあります。
この圧迫が、お尻から足にかけてのしびれや痛みを引き起こす坐骨神経痛の原因の一つです。
筋膜リリースによって梨状筋をはじめとするお尻周りの筋肉の緊張を和らげることで、神経への圧迫が軽減されます。
その結果、腰痛だけでなく、坐骨神経痛のつらい症状の緩和も期待できます。
腰の痛みがお尻から来ているケースは少なくないため、お尻をほぐすことは根本的なケアになります。
骨盤の歪みを整えて正しい姿勢をサポートする
お尻の筋肉は骨盤に付着しており、骨盤を安定させる重要な役割を持っています。
しかし、左右のお尻の筋肉の硬さに差があったり、全体的に凝り固まったりすると、骨盤が前後や左右に傾く「歪み」の原因となります。
骨盤が歪むと、その上に乗っている背骨のバランスも崩れ、猫背や反り腰といった不良姿勢につながりかねません。
お尻の筋膜リリースで筋肉の柔軟性を取り戻し、左右のバランスを整えることは、骨盤を正しい位置へと導き、美しい姿勢を維持するためのサポートになります。
血行促進による冷えやむくみの解消
硬くなったお尻の筋肉は、その周辺にある血管を圧迫し、下半身への血流を滞らせる原因となります。
血行不良は、足先の冷えや夕方になると気になる足のむくみを引き起こします。
お尻の筋膜リリースを行うと、筋肉の緊張がほぐれて血管への圧迫が取り除かれるため、血流がスムーズになります。
また、血液循環とともにリンパの流れも改善されるため、老廃物の排出が促進されます。
これにより、下半身の冷えやむくみが解消されやすくなる効果が期待できます。
誰でも簡単!お尻の筋膜リリースのやり方【実践編】
ここからは、自宅で簡単に行えるお尻の筋膜リリースの具体的な方法を紹介します。
特別な道具がなくてもすぐに始められる方法から、テニスボールやフォームローラーといった器具を使ってより効果的にほぐす方法まで、3つのアプローチを解説します。
自分の体の状態や、手元にあるものに合わせて、無理なく取り組めるものから試してみてください。
道具なしが一番効果的!専門家おすすめの方法
本記事の中で、皆さんにぜひ知ってもらいたいのが、ローラーやボールなどを使用せずに手で行う方法です。
実際に筋膜リリースを手技として扱うプロの療法士は、道具を使わずに施術を行います。手を使うことで、自分で硬さを自分で感じることができて、効果も手から感じることができます。
①お尻の後面:大殿筋の筋膜リリース
大殿筋は、大きな筋肉のため姿勢を保つのにもとても関与しています。大殿筋が硬くなっていると腰痛を起こす場合もあるので、念入りなケアが大切となります。
開始姿勢:リリースする足を伸ばして座った姿勢
手の付け根を骨盤のてっぺんに当てる
指先で足の横の骨に触れる
骨の3cm後ろ辺りを指で上下に動かす
②坐骨まわり:梨状筋の筋膜リリース
梨状筋は、足と骨盤をつなぐとても重要な筋肉で、硬くなると梨状筋証拠群を起こす可能性もあります。
太もも後面のあたりに痛みがある、しびれを感じるという方は、坐骨回りの筋膜リリースを試してみてください。
開始姿勢:リリースする足を曲げて座った姿勢
座った時におしりの下側にある骨の突出部を触る
坐骨周辺を軽く回すように指でほぐす
太もも後面のあたりに痛みがある、しびれを感じるという方は、坐骨回りの筋膜リリースを試してみてください。
テニスボールで硬い部分をピンポイントでほぐす方法
テニスボールを一つ用意し、床に置きます。
仰向けになり、ほぐしたい方のお尻の下にテニスボールを当てましょう。
両膝は軽く立てて、体を支えます。
ゆっくりと体重をかけていき、「痛気持ちいい」と感じる部分を探してください。
特に硬いと感じるポイントが見つかったら、その場で動きを止め、体重をかけて圧を20〜30秒ほどかけ続けます。
さらに効果を高めたい場合は、ボールを当てたまま少しだけ体を揺らしたり、膝を左右に小さく倒したりすると、深層部の筋膜まで刺激が届きやすくなります。
強すぎる痛みは逆効果なので、圧のかけ具合は自分で調整してください。
フォームローラーで広範囲を効率よくリリースする手順
フォームローラーを床に横向きに置き、その上にお尻を乗せます。
両手は体の後ろにつき、体を支えましょう。両膝は軽く曲げ、足裏は床につけます。
その姿勢から、両手と足を使って体を前後にゆっくりと動かし、フォームローラーをお尻全体で転がします。
これにより、大臀筋などの大きな筋肉を広範囲にわたって効率的にほぐすことが可能です。
お尻の側面にある中臀筋にアプローチしたい場合は、体を少し傾けて、ほぐしたい側のお尻に体重を乗せながら転がします。
これも痛みが出ない範囲で、30秒から1分程度を目安に行ってください。
お尻の筋膜リリースの効果を最大化する3つのポイント
お尻の筋膜リリースをただ行うだけでなく、いくつかのポイントを意識することで、その効果をより一層高めることができます。
これから紹介する3つのポイントは、安全性と効果の両面から非常に重要です。
正しい方法を理解し、日々のセルフケアに取り入れることで、筋肉の柔軟性を効率的に取り戻し、腰痛などの不調を根本から改善することを目指せます。
呼吸を止めずにリラックスして行う
筋膜リリースを行っている最中は、無意識に呼吸が浅くなったり、止まってしまったりすることがあります。
しかし、呼吸を止めると体に力が入り、筋肉が緊張してしまうため、リリースの効果が半減しかねません。
ストレッチや圧をかけている間は、鼻から深く息を吸い、口からゆっくりと長く吐き出すような深い呼吸を意識してください。
深い呼吸は副交感神経を優位にし、心身をリラックスさせる効果があります。
体がリラックスした状態にあると、筋肉の緊張も緩みやすくなり、筋膜がより効果的に伸びてほぐれます。
「痛気持ちいい」と感じる強さでキープする
筋膜リリースでは、刺激が強ければ強いほど効果があるというわけではありません。
我慢できないほどの強い痛みを感じる場合、体は防御反応として筋肉をさらに硬直させてしまいます。
これでは逆効果です。最適な強さは、「痛いけれど、気持ちよさも感じる」というレベルです。
この「痛気持ちいい」と感じる圧で刺激を続けると、硬くなった筋膜や筋肉が最も効果的に緩んでいきます。
自分の体の声に耳を傾け、決して無理をしないこと。
強すぎる圧は組織を傷つける可能性もあるため、常に心地よい範囲で調整しましょう。
毎日コツコツ続けるのが効果UPの秘訣
硬くなった筋肉や筋膜の癒着は、長年の生活習慣の積み重ねによって形成されたものです。
そのため、一度のケアで完全に元の状態に戻るわけではありません。大切なのは、短時間でも良いので毎日継続することです。
習慣化することで、筋肉が硬くなりにくい状態を維持し、腰痛が再発しにくい体を作っていけます。
特におすすめなのは、体が温まって筋肉が緩みやすいお風呂上がりのタイミングです。
テレビを見ながら、あるいは就寝前のリラックスタイムなど、生活の中に無理なく組み込める時間を見つけて、コツコツと続けてみてください。
セルフケアでは効果が出ない時は?
ここまで自分でおしりを柔らかくする筋膜リリースの方法についてご紹介してきました。
実際に試してみても、上手く聞いている感じがしない、またすぐに硬さが戻ってしまうという方もいらっしゃると思います。
セルフケアでの効果は保証されるものではなく、硬さの原因は人によって異なります。そのため最も大切なのは、どこが硬さや痛みを起こす原因であるかを見つける力です。
セルフケアではなかなか効かない、という方は、ぜひ専門家に相談することをおすすめします。
実は、本来、筋膜の施術はイタリアの医師が開発したものであり、医師と理学療法士しか学ぶことができない技術なのです。
その専門家にしかできない筋膜の施術を、一度体験してみるのも、おすすめです。
お尻の筋膜リリースのやり方|まとめ
長時間の座位姿勢によって引き起こされる腰痛は、お尻の筋肉の硬直が原因である場合があります。
この硬直を解消するためには、筋膜リリースが有効なセルフケア手法です。
本記事で紹介したように、道具を使わない方法や、テニスボール、フォームローラーを用いた方法は、自宅でも手軽に実践できます。
筋膜リリースを行う際は、「呼吸を止めない」「痛気持ちいい強さで行う」「毎日継続する」という3つのポイントを意識することが、効果を最大化する鍵となります。
日々のケアを通じて、腰痛の緩和だけでなく、姿勢改善や冷えの解消といった効果も期待できます。
投稿者プロフィール

- 【青山筋膜整体 理学BODY WEB編集長】理学療法士歴10年以上 総合病院⇨介護・予防分野⇨様々な経験を経て独立。臨床で得た知識をもとに、書籍の執筆・WEB発信・セミナー講師など分野問わず活動中。
最新の投稿
首・肩の痛み、こり2025年12月10日枕なしで寝るとどうなる?理学療法士がメリット・デメリットを徹底解説!
ストレッチ2025年11月28日お風呂上がりのストレッチは痩せる?ダイエット・肩こり・腰痛への効果と専門家おすすめの方法
整体について2025年11月19日北九州(福岡)でゴッドハンドと言われる整体・整骨院(接骨院)は?
腕・肘・手首・指の痛み2025年11月10日へバーデン結節でやってはいけないこと5選|症状悪化を防ぐ注意点を専門家が解説!


木城先生


















