お風呂上がりのストレッチは、実際、痩せるの?ダイエット効果はあるの?と気になる方も多いかもしれません。
実は、入浴後の温まった体で行うストレッチは、筋肉の柔軟性を高め、血行を促進する絶好の機会です。
また、つらい肩こりや腰の痛みが和らぐだけでなく、体の代謝をサポートする効果も期待できます。
この記事では、理学療法士の視点から、お風呂上がりストレッチがもたらす具体的なメリットと、悩みに合わせた正しいやり方を、科学的根拠に基づいて解説します。
目次
お風呂上がりのストレッチで期待できる4つの効果
お風呂上がりのストレッチは体に多くのメリットをもたらします。
ポカポカと体が温まっているため、筋肉が心地よい程度に伸びやすく、効果的に柔軟性を高めることができます。
特に、多くのデスクワーカー・女性が抱える、冷えやむくみといった悩みにもアプローチできます。
ここでは入浴後のストレッチがもたらす具体的な4つの効果について体のメカニズムと共に詳しく見ていきましょう。
血行が促進され肩こりや腰痛が和らぐ
デスクワークなど、長時間同じ姿勢を続けることで生じる首や肩周り、骨盤周りの筋肉の過度な緊張は、首・肩こり、腰痛の主な原因です。
入浴で温められた筋肉に、ストレッチをすることで、緊張が緩和され、痛みが和らぎます。
また、筋肉の柔軟性が確保されると、ポンプ作用により血の巡りがよくなり、酸素や栄養素が体の隅々まで行き渡りやすくなります。
首・肩・骨盤・股関節まわりの筋肉をほぐすことで、姿勢が整いやすくなり、首・肩や腰への負担軽減も期待できます。
筋肉の柔軟性がアップして痩せやすい体になる
ストレッチを継続すると、筋肉や筋肉を包む筋膜の柔軟性が高まります。
体を柔らかくすることは、関節の可動域を広げることにつながります。
関節がスムーズに動くようになると、日常生活における一つひとつの動作が大きくなり、無意識のうちにエネルギー消費量が増加します。
これにより、基礎代謝が向上し、結果として痩せやすい体質へと変化していく可能性があります。
硬くなった筋肉や筋膜は、体の動きを制限し、エネルギー効率を下げてしまいます。
お風呂上がりのストレッチで筋肉を柔らかく保つことは、効率的な体づくりと美しいボディラインつくりに役立ちます。
副交感神経が優位になり、睡眠の質が高まる
ゆっくりとした深い呼吸を伴うストレッチは、日中の活動で活発になった交感神経から、心身をリラックスさせる副交感神経へと切り替えるスイッチの役割を果たします。
特に寝る前の時間帯に行うことで、心拍数が落ち着き、心身の興奮が徐々に静まります。
体温が一度上昇し、そのあと緩やかに下がっていくため、自然な眠りを誘導することができます。
なかなか時間が取れない人におすすめなのが、ベッドに入ってからでも行える簡単なストレッチを取り入れることです。
忙しいビジネスパーソンでは特に、質の高い睡眠が、翌日の疲労回復や集中力向上に不可欠です。
心身がリラックスして一日の疲れが取れやすくなる
ストレッチは、筋肉の緊張をほぐすだけでなく、精神的なストレスを軽減する効果も期待できます。
筋肉の硬直と精神的な緊張は密接に関連しており、体を緩めることで心もリラックスしやすくなります。
ストレッチによって血行が促進されると、筋肉に溜まった疲労物質の排出が促され、疲労回復が早まります。
また、女性の場合、生理周期に伴うイライラや過食、むくみなど、誰しも不調に悩まされてしまいます。
そんな時には、骨盤・股関節まわりのストレッチを取り入れると、生理中の腰の重さや不快感を和らげるだけでなく、心身のリラックスにもつながります。
入浴後のストレッチが効果的な理由
1日の中で、なぜ特にお風呂上がりにストレッチをすることが推奨されるのでしょうか。
その理由は、単に気持ちが良いという感覚的なものだけではありません。風呂上がりにストレッチを行うことには、科学的な根拠に基づいた明確なメリットが存在します。
ここでは、その効果が最大化される2つの主要な理由を解説します。
筋肉が伸びやすい、絶好のチャンス
入浴によって体温、特に筋肉の温度である筋温が上昇すると、筋肉や腱、筋膜といった結合組織の粘弾性が変化します。
温められることで、筋肉はスムーズに伸びやすい状態となるんです。
これは、温められたゴムがしなやかに伸びるのと同じ原理です。
このタイミングでストレッチを行うと、冷えている時に比べてより痛みなく効果的に筋肉の柔軟性を高めることができます。
勢いや無理な力を加えなくても筋肉がスムーズに伸びるため、筋線維を傷つけるなどの怪我のリスクを低減しながら、ストレッチの効果を最大限に引き出すことができるのです。
就寝前のリラックスタイムで、習慣化しやすい
新しいことを始めても、三日坊主で終わってしまうことは少なくありません。
しかし、お風呂上がりのストレッチは、日々の生活リズムの中に組み込みやすいため、習慣化しやすいという大きな利点があります。
「入浴」という毎日の行動の直後に「ストレッチ」をセットで行うと、それが一連のルーティンとなり、意識しなくても自然と続けられるようになります。
また、就寝前のリラックスした時間帯は、一日の終わりを締めくくるのに最適なタイミングです。
心地よいと感じることで継続につながり、心身のセルフケアとしても定着させやすくなります。
【悩み別】今日からできるお風呂上がりのおすすめストレッチ
ここでは、多くの方が抱える体の悩みに合わせて、今日からすぐに実践できるおすすめのストレッチを紹介します。
特別な器具は必要なく、誰でも簡単に行えるやり方を選びました。
お風呂上がりの温まった体で、自分の気になる部分にアプローチしてみましょう。
無理のない範囲で、ゆっくりと気持ちよく体を伸ばすことがポイントです。
ぽっこりお腹の引き締めを目指す:腹筋のストレッチ
ぽっこりお腹の原因は、腹筋の衰えだけでなく、姿勢の乱れやインナーマッスルの機能低下も関係しています。
仰向けに寝て両膝を立て、ゆっくりと息を吐きながら両膝をそろえて左右に倒すストレッチは、お腹の側面にある腹斜筋を伸ばし、くびれ作りをサポートします。
また、四つん這いになり、息を吸いながら背中を反らせ、吐きながら背中を丸める「キャットアンドカウ」の動きも効果的です。
この動きは、お腹の深層部にある腹横筋を刺激し、背骨の柔軟性を高めます。
これにより、内臓が正しい位置に収まりやすくなり、お腹周りの引き締めにつながります。
太ももとお尻のラインを整える:下半身ストレッチ
太ももやおしりの筋肉が硬くなると、骨盤の歪みや血行不良を招き、下半身のラインが崩れる原因となります。
足痩せを目指すには、まずこれらの大きな筋肉をしっかり伸ばすことが重要です。
仰向けに寝て片方の膝を胸に引き寄せるストレッチは、お尻の大殿筋を効果的に伸ばします。

さらに、その状態から膝を反対側の手で持ち、体をひねるようにすると、お尻の深層部までアプローチできます。
太ももの前側を伸ばすには、横向きに寝て上側の足首を持ち、かかとをお尻に近づけます。
太ももの裏側は、椅子に座って片足を前に伸ばし、体を前に倒すことで簡単に伸ばせます。
ガチガチの肩甲骨まわりをほぐす:上半身ストレッチ
長時間同じ姿勢でいることが多い現代人にとって、肩甲骨まわりの硬さは深刻な問題です。
肩甲骨の動きが悪いと、上半身全体の血行が悪化し、慢性的な肩こりや背中の張りを引き起こします。
両手を体の前で組み、息を吐きながら腕を遠くに伸ばし、背中を丸めるストレッチは、肩甲骨の間にある菱形筋を効果的に伸ばします。
逆に、体の後ろで手を組み、胸を張るように腕を引くと、肩甲骨が中央に寄り、胸の筋肉がストレッチされます。
これらの動きを交互に行うことで、肩甲骨の可動域が広がり、上半身の緊張が和らぎます。
つらい腰の痛みを緩和する:骨盤まわりのストレッチ
腰痛の多くは、腰自体よりも、骨盤や股関節周りの筋肉の硬さが原因で発生します。
特に、足を組む癖がある人や長時間座っている人は、股関節周りの筋肉が硬直しがちです。
仰向けに寝て両膝を抱え、胸に引き寄せるストレッチは、腰からお尻にかけての筋肉を優しく伸ばし、腰への負担を軽減します。
また、仰向けのまま片方の足首を反対側の膝の上に乗せ、下の足を持ち上げるストレッチは、お尻の深層筋である梨状筋を伸ばすのに効果的です。
股関節の柔軟性を高めることで、骨盤のバランスが整い、腰痛の根本的な原因にアプローチできます。
全身の疲労回復におすすめストレッチ
全身の疲れを取るには、体の中心である背中から足先まで、広範囲にアプローチすることが効果的です。
正座の状態から上半身を前に倒し、両腕を遠くに伸ばす「チャイルドポーズ」は、背中全体をリラックスさせ、腰の緊張を和らげます。
さらに、「第二の心臓」と呼ばれるふくらはぎのストレッチも重要です。
壁に手をついて立ち、片足を後ろに引いてかかとを床につけることで、アキレス腱からふくらはぎ全体が伸び、足のむくみ解消につながります。
最後に足首をゆっくりと内外に回すことで、末端の血流を促し、全身の疲労回復を助けます。
これら一連の動きで、体のつながりを意識しながら全身をほぐしましょう。
ストレッチ効果を最大限に引き出す【4つのポイント】
せっかくストレッチを行うなら、その効果を最大限に引き出したいものです。
しかし、自己流で間違った方法を続けると、効果が得られないばかりか、かえって体を痛めてしまう可能性もあります。
ここでは、ストレッチの効果を高めるために特に重要な4つのポイントを解説します。
「痛気持ちいい」と感じる強さで、無理なく伸ばす
ストレッチにおいて「痛みを感じるほど効果が高い」というのは誤解です。
強い痛みを感じるまで筋肉を伸ばすと、体は危険を察知して筋肉を守ろうとします。(=防御性収縮:筋肉が逆に収縮して硬くなってしまうこと)
これではストレッチの効果が得られないだけでなく、筋線維や腱を損傷するリスクも高まります。
筋トレのように筋肉を追い込むのではなく、あくまで「痛気持ちいい」と感じる程度の強度で、じっくりと筋肉が伸びる感覚を味わうことが重要です。
自分の体の状態に耳を傾け、決して無理をしない範囲で行いましょう。
反動をつけず、ゆっくりと行う
体を揺すったり、勢いをつけたりして反動を使うストレッチは、動的ストレッチと呼ばれ、運動前のウォーミングアップに適しています。
一方、お風呂上がりのリラックスタイムに行う場合は、一つのポーズをじっくりと維持する静的ストレッチ(スタティックストレッチ)が推奨されます。
反動をつけると、筋肉が急激に引き伸ばされることで伸張反射が起こりやすくなり、柔軟性を高める上では逆効果になることがあります。
伸ばしたい筋肉に意識を集中させ、ゆっくりと筋肉がじわじわと伸びるのを感じながら、20〜30秒程度キープする方法が最も効果的です。
呼吸を止めずに深くゆったりと息をする
ストレッチの効果は呼吸と深く関係しています。
痛みを感じたり動きに集中したりすると無意識のうちに呼吸を止めてしまいがちです。
呼吸を止めると全身に力が入り筋肉が緊張状態になるためストレッチの効果が大きく損なわれます。
意識的に「鼻からゆっくり息を吸い口から長く吐く」という深い呼吸を繰り返しましょう。
特に息を吐くときに体から力が抜け筋肉が緩みます。
このタイミングに合わせて体を伸ばしていくとよりスムーズに可動域を広げることができます。
深い呼吸は副交感神経を優位にし心身のリラックスを促進する効果もあります。
ストレッチ後は、体を冷やさないように
お風呂上がりは体が温まり、血行が良い状態ですが、そのままにしておくと湯冷めをしてしまいます。
体が冷えると筋肉は再び硬直し、せっかくのストレッチ効果が薄れてしまいます。
ストレッチ中〜後は、吸湿性や保温性の高いパジャマなどを着用し、必要であれば靴下を履くなどして体温を保ちましょう。
また、水分補給は冷たい飲み物ではなく、常温の水や白湯を選ぶと、内側から体を冷やすのを防ぐことができます。
お風呂上がりストレッチに関するQ&A
お風呂上がりのストレッチを始めるにあたり、多くの方が持ちやすき疑問や不安について、専門的な視点からお答えします。
ストレッチのダイエット効果や、続ける頻度、適切な時間など、よくある質問をまとめたので、ぜひ参考にしてみてください。
ストレッチをするだけで体重は落ちますか?
ストレッチ自体が直接的に体脂肪を燃焼させ、体重を落とす効果は極めて低いです。
ストレッチの主な消費カロリーは少なく、それだけで体重を減らすのは難しいでしょう。
しかし、ストレッチには痩せやすい体質作りをサポートする間接的な効果があります。
継続することで筋肉の柔軟性が高まり、関節の可動域が広がると、日常の動作が大きくなり、結果的にエネルギー消費量が増加する可能性があります。
また、姿勢が改善されることで、プロポーションが良く見えたり、基礎代謝が向上したりすることも期待できます。
体重減少を目的とする場合は、食事管理や有酸素運動などと組み合わせることが不可欠です。
毎日続けないと意味がないのでしょうか?
毎日続けることが理想的ではありますが、義務感からストレスを感じて挫折してしまうよりは、無理のないペースで継続することの方がはるかに重要です。
体の柔軟性は、ストレッチを中断すると徐々に元に戻ってしまうため、週に3〜4回でも定期的に行うことで、効果を維持・向上させることが可能です。
「毎日やらなければ」と気負わず、まずは週に数日から始めてみましょう。もし数日空いてしまっても、気にせずに再開することが大切です。
疲れている日は、気になる部分を軽く伸ばすだけにするなど、その日の体調に合わせて内容を調整する柔軟な姿勢が、長く続けるための秘訣です。
1回のストレッチ時間は何分くらいが目安ですか?
ストレッチに充てる時間は、目的や個人のスケジュールによって調整して問題ありません。
全身をバランス良くほぐしたい場合、10分から20分程度の時間を確保できると理想的です。
しかし、時間が取れない日でも諦める必要はありません。5分程度の短い時間でも、特に凝りを感じる肩や腰など、部位を絞って集中的に行えば十分に効果はあります。
お風呂上がりのストレッチ:まとめ
お風呂上がりのストレッチは、温まった体で効果的に行えるセルフケアであり、誰でも取り入れやすい方法の一つです。
血行を促進し、筋肉の柔軟性を高めることで、肩こりや腰痛の緩和、睡眠の質の向上、そしてリラックス効果など、心身に多くの良い影響をもたらします。
直接的な体重減少効果は限定的ですが、代謝が上がりやすい体質作りや、姿勢改善によるボディラインの変化は期待できます。
本記事で紹介した悩み別のストレッチや、効果を高めるためのポイントを参考に、まずは「痛気持ちいい」と感じる範囲で始めてみてください。
また、ストレッチと合わせておすすめなのが筋膜リリースです。筋肉や筋膜の硬さに悩んでいる方は、ぜひ筋膜リリースのやり方をチェックして、合わせて行ってみてください。
重要なのは完璧を目指すことではなく、自分の体と向き合いながら、無理なく継続していくことです。
投稿者プロフィール

- 【青山筋膜整体 理学BODY WEB編集長】理学療法士歴10年以上 総合病院⇨介護・予防分野⇨様々な経験を経て独立。臨床で得た知識をもとに、書籍の執筆・WEB発信・セミナー講師など分野問わず活動中。
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