筋トレの効果を最大限に引き出すためには、トレーニングそのものだけでなく、体のケアも非常に重要です。
特にフォームローラーなどを使った筋膜リリースは、多くの方が取り入れていますが、どのタイミングで行うのが最適か迷ってしまう人が多いのではないでしょうか。
実は、筋膜リリースのタイミングは目的によって異なり、筋トレの前後で得られる効果が変わります。
パフォーマンス向上や疲労回復といった目的別に、最適なタイミングと効果的な方法を理解することが、コンディション管理の鍵となります。
この記事では全国に100店舗ちかく店舗展開する筋膜整体の専門家が、適切なタイミングや注意点について、わかりやすく解説します。
目次
そもそも筋膜リリースとは?期待できる4つの効果
筋膜リリースとは、筋肉を覆っている薄い膜である「筋膜」のねじれや癒着を解放し、筋肉の正常な動きを取り戻すための手法です。
筋膜は全身に張り巡らされたボディスーツのようなもので、長時間同じ姿勢でいたり、特定の筋肉を使いすぎたりすると硬くなり、動きの制限や痛みの原因となります。
自分の手やフォームローラーなどの道具を使って適切な圧をかけることで、この筋膜の緊張を和らげ、身体に多くの良い影響をもたらすことが可能です。
筋肉の柔軟性を高める
筋膜が硬くなると、その中にある筋肉の動きが制限され、柔軟性が低下します。
この状態では、筋肉のパフォーマンス低下や怪我のリスクを高める原因にもなり得ます。
筋膜リリースによって筋膜の癒着を剥がし、しなやかな状態に戻すことで、筋肉が本来持つ伸縮性を回復させることが可能です。
筋肉がスムーズに動くようになると、体のこりや張りが軽減されるだけでなく、運動時の肉離れといった怪我の予防にもつながります。
定期的なケアで筋肉の柔軟性を維持することは、快適なコンディションを保つ上で欠かせません。
関節の可動域を広げる
筋肉の柔軟性が向上すると、関節の動き(=可動域)も広がります。
関節の動きは、周囲の筋肉の状態に大きく影響されるため、筋膜リリースで筋肉の緊張が和らぐと、関節をよりスムーズに、より大きく動かせるようになります。
例えば、スクワットで深くしゃがめない原因が股関節周りの筋肉の硬さにある場合、その部分をリリースすることでフォームの改善が期待できます。
パフォーマンスの向上が求められるアスリートにとっても、関節可動域の拡大は、より効率的でパワフルな動きを実現するために不可欠な要素です。
血行を促進して疲労回復をサポートする
筋肉や筋膜の硬くなった部分に、自分の手やフォームローラーなどで適度に圧をかけると、一時的に血管が圧迫され、その圧を解放した際に血液が勢いよく流れるようになります。
このポンプのような作用が血行を促進し、筋肉に溜まった乳酸などの疲労物質の排出を助けてくれます。
同時に、必要な酸素や栄養素が筋肉細胞に行き渡りやすくなるため、筋肉の修復が促され、疲労回復のスピードを高める効果が期待できます。
トレーニング後の筋肉痛や全身のだるさを軽減し、次のトレーニングに向けて体を良い状態に整えるために有効なアプローチです。
身体の歪みを整えて姿勢を改善する
日常生活の癖や特定のスポーツ動作の繰り返しにより、一部の筋肉が過度に緊張し、筋膜が癒着することがあります。
このアンバランスな状態が続くと、体の歪みが生じたり、猫背や反り腰といった不良姿勢の原因になります。
筋膜リリースで全身の筋肉の緊張を均等に整えることで、骨格を正しい位置へと導き、姿勢の改善が期待されます。
美しい姿勢は見た目の印象を良くするだけでなく、肩こりや腰痛といった慢性的な不調の予防や改善にも役立ちます。
筋膜リリースの最適なタイミングは、目的別に使い分けよう
筋膜リリースは、いつ行っても一定の効果はありますが、実施するタイミングによってその主たる効果が異なります。
例えば、トレーニングのパフォーマンスを向上させたい場合と、疲労回復を早めたい場合とでは、最適なタイミングが変わってきます。
自分の目的を明確にし、運動前、運動後、あるいは就寝前といった生活のサイクルの中に戦略的に組み込むことで、筋膜リリースの効果を最大限に引き出すことが可能になります。
筋トレ前:ウォーミングアップとして行いパフォーマンスを向上
運動前に筋膜リリースを行うことは、効果的なウォーミングアップの一部となります。
手軽に行う方法としては、筋膜ローラー(フォームローラー)を使って筋肉を刺激することで血流が促進され、筋肉の温度が上昇し、柔軟性が高まります。これにより、トレーニング中の怪我のリスクを低減させることが可能です。
また、関節の可動域が広がることで、スクワットやデッドリフトなどの種目でより正しいフォームを維持しやすくなり、ターゲットとなる筋肉へ的確に負荷をかけることにつながります。
ただし、運動前のリリースは時間をかけすぎず、各部位30秒〜長くても90秒程度で軽めに行うのが、筋肉を過度にリラックスさせずにパフォーマンスを高めるコツです。
筋トレ後:クールダウンとして行い筋肉の回復を促す
筋トレ後のクールダウンとして筋膜リリースを取り入れると、筋肉の回復を効果的にサポートできます。
トレーニングによって興奮状態にある交感神経から、心身をリラックスさせる副交感神経へと切り替えるのを助けます。
ローラーによる圧迫と解放は血行を促進し、運動によって生じた疲労物質の排出を促すとともに、筋肉の修復に必要な栄養素を届けやすくします。
激しいトレーニングで硬くなった筋肉をほぐすことで、翌日に残る筋肉痛を和らげる効果も期待できるため、次のトレーニングへのコンディションを整える上で非常に有効です。
就寝前:リラックス効果で睡眠の質を高める
一日の終わりに、寝る前の習慣として筋膜リリースを行うことも推奨されます。
日中のデスクワークや立ち仕事で凝り固まった筋肉をゆっくりとほぐすことで、身体的な緊張が和らぎます。
このリラックス効果は、心身を休息モードに切り替える副交感神経を優位にし、スムーズな入眠を促します。
深い睡眠は、成長ホルモンの分泌を活発にし、筋肉の修復や成長を促進するために不可欠です。
したがって、就寝前の筋膜リリースは、直接的な疲労回復だけでなく、睡眠の質を高めることを通じて、翌日のコンディション向上にも貢献します。
筋膜リリースの効果を最大化する4つのポイント
筋膜リリースはただやみくもに行うのではなく、いくつかのポイントを押さえることで、その効果を格段に高めることができます。
適切な時間や強度、呼吸法などを意識することは、安全性を確保し、筋肉や筋膜へ効果的にアプローチするために非常に重要です。
これから紹介する4つのポイントを実践し、セルフケアの質を向上させましょう。
1つの部位につき30秒から90秒を目安にする
筋膜リリースを行う際、1つの部位にかける時間は長ければ長いほど良いというわけではありません。
効果を出すための適切な時間があり、一般的には30秒から90秒が目安とされています。
時間が短すぎると筋膜が十分にほぐれず、逆に長すぎると筋肉や神経に過度な負担をかけてしまい、場合によっては組織を傷つけるリスクもあります。
特に凝り固まっていると感じる部分は少し長めに、90秒程度を目安に行い、それ以外の部分は30秒程度で十分です。
自分の体の状態を感じながら、時間を調整することが大切です。
呼吸を止めずにゆっくりと圧をかける
痛みを感じると、無意識に息を止めて体に力が入ってしまうことがあります。
しかし、呼吸を止めると筋肉が緊張し、筋膜リリースの効果が半減してしまいます。
効果を最大化するためには、深くゆっくりとした呼吸を続けることが重要です。
息を吐くタイミングで筋肉が最もリラックスするため、その時にローラーで圧をかけるように意識します。
ローラーを転がす動作も、呼吸に合わせてゆっくりと行いましょう。
これにより副交感神経が優位になり、心身ともにリラックスした状態でケアができます。
「痛気持ちいい」と感じる強さで調整する
筋膜リリースでは、強い痛みを感じるほど効果が高いと誤解されがちですが、それは間違いです。
強すぎる刺激は、体が防御反応として筋肉を硬直させてしまったり、あざができてしまったりと逆効果になりかねません。
最適な強度は、「痛いけれど気持ちいい」と感じる程度です。自分の体重のかけ方を調整して、この「痛気持ちいい」圧を探りましょう。
初めて行う部位や、特に硬くなっている部位は痛みを感じやすいので、最初は軽めの圧から始め、徐々に体重を乗せていくようにすると安全に実施できます。
骨や関節にローラーが直接当たらないように注意する
フォームローラーは、筋肉やそれを包む筋膜にアプローチするためのツールです。
そのため、膝やくるぶし、腰骨といった骨が突き出ている部分や、関節そのものに直接ローラーを当てて強い圧をかけるのは避けるべきです。
これらの硬い部分に圧をかけると、骨や靭帯、関節包といった組織を傷つける危険性があります。
ローラーを使用する際は、筋肉のふくらんでいる部分をターゲットにし、関節の近くを行う場合は特に慎重に、骨に当たらないよう位置を微調整しながら動かす必要があります。
筋膜リリースのタイミングに関するよくある質問
筋膜リリースを日々の習慣に取り入れようとする中で、さまざまな疑問が浮かぶことがあります。
毎日行っても良いのか、痛みがある時はどうすべきか、あるいはダイエットにも効果があるのかといった点は、多くの人が気になるところです。
ここでは、筋膜リリースのタイミングや実践方法に関するよくある質問に答え、より安全で効果的なセルフケアのための知識を深めます。
Q. 筋膜リリースは毎日やっても問題ない?
筋膜リリースは、毎日行っても問題ありません。
特に慢性的な体の硬さや疲労を感じている場合、日々のコンディショニングとして継続することで、柔軟性の維持や疲労回復の促進に繋がります。
ただし、強い筋肉痛や炎症を起こしている部位への実施は避けるべきです。
また、1回のケアで長時間やりすぎることは、かえって筋肉や筋膜を傷める原因にもなりかねません。
1部位あたり30秒から90秒程度を目安に、全身を短時間でケアする習慣をつけるのがおすすめです。
Q. 痛みを感じる場合は中止したほうがいい?
筋膜リリース中に感じる痛みの種類によって対応が異なります。
「痛気持ちいい」と感じる程度の圧迫感であれば、筋膜がほぐれているサインなので問題ありません。
しかし、鋭い痛みやしびれ、我慢できないほどの激痛を感じる場合は、無理をせず直ちに中止してください。
そのような強い痛みは、筋肉の損傷や神経の圧迫など、体にダメージを与えている可能性があります。
体重のかけ方を軽くしたり、ローラーを当てる位置を少しずらしたりしても痛みが改善しない場合は、その部位のケアは休み、必要であれば専門家に相談しましょう。
Q. 筋膜リリースにダイエット効果はある?
筋膜リリース自体が直接的に脂肪を燃焼させたり、体重を減らしたりするダイエット効果はありません。
しかし、ダイエットをサポートする間接的な効果は期待できます。
例えば、筋膜リリースによって血行が促進されると、基礎代謝の向上に繋がる可能性があります。
また、体の歪みが整うことでボディラインが綺麗に見えたり、関節可動域が広がることでトレーニングの効率が上がり、消費カロリーが増加したりすることも考えられます。
あくまで運動や食事管理と組み合わせる補助的な手段として捉えるのが適切です。
筋膜ローラーでも痛みや不調がよくならない人へ
手軽に自分で筋膜リリースができる一方で、痛みや不調がすでに出ている方については、筋膜ローラー(フォームローラー)を活用した筋膜リリースは手軽な一方で、本来の効果はやや得られにくいのが事実です。
筋膜リリース専門店の整体では、実は筋膜リリースは手を使って行われる事が多いです。
というのも、本来の筋膜リリースの効果は、実は約1トンの重さをかけないと得られないことが科学的に明らかになっています。
しかし、これを可能にするのが、ポイントを押さえて手で行う手法です。
この本来の筋膜リリースはイタリアで開発されたもので、実は医師と理学療法士しか学ぶことができない手法になります。
そのため、ニセモノがかなり多く、質が低い筋膜リリースが多く世の中で出回っているのも事実です。
この筋膜調整を日本でできる人はかなり少ないですが、当院のスタッフは全員が行う事ができるため、筋膜リリース専門店として展開してています。
もし、セルフケアでも体の痛みや不調がよくならない人は、ぜひ当院へ一度ご相談ください。
筋膜リリースのタイミング:まとめ
筋膜リリースは、行うタイミングを目的によって使い分けることで、その効果を最大限に高めることができます。
筋トレ前にはパフォーマンス向上のためのウォーミングアップとして、筋トレ後には疲労回復を促すクールダウンとして、そして就寝前には睡眠の質を高めるリラクゼーションとして取り入れるのが効果的です。
実施する際は、1部位30〜90秒を目安に、呼吸を止めず「痛気持ちいい」と感じる強さで行うことが重要です。
骨や関節に直接ローラーを当てないよう注意し、正しい方法で継続することが、体のコンディションを良好に保つ鍵となります。
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投稿者プロフィール

- 【青山筋膜整体 理学BODY WEB編集長】理学療法士歴10年以上 総合病院⇨介護・予防分野⇨様々な経験を経て独立。臨床で得た知識をもとに、書籍の執筆・WEB発信・セミナー講師など分野問わず活動中。
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