グロインペイン症候群(鼠径部痛)を早く治す方法は?理学療法士が徹底解説!

グロインペイン症候群 早く治す

この記事を監修している人:木城 拓也(理学療法士免許所有)

プロ選手や箱根駅伝のケアを担当、痛みの原因に向き合う世界レベルの筋膜施術『Fascial manipulation(筋膜マニピュレーション)』を修得。整体院は全国90店舗超、「通わせない整体」として3回以内の最短で改善するアプローチを目指すプロフィール詳細→

木城先生

サッカーやバスケなど、切り返し動作の多いスポーツを頑張る中高生やアスリートに多く見られる股関節の付け根の痛み(鼠径部痛)。

  • 朝起き上がろうとすると足の付け根が痛い
  • 走ったり歩く時に股関節が痛い
  • 椅子に座っていて立ち上がる時に鼠径部が痛い

この痛みはグロインペイン症候群や鼠径部痛症候群そけいぶつうしょうこうぐんと呼ばれます。

一度なると治りにくいという特徴がありますが、中々治らない方は股関節以外の関節や筋肉の問題が関係している可能性もあります。

股関節のストレッチやマッサージを頑張っても良くならない人は特に要注意です。

本記事では医療系国家資格者である理学療法士が、グロインペイン症候群が治らない理由や、早く治すためにやるべきことについてわかりやすく解説します。

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グロインペイン症候群の症状と、治るまでの期間

そもそもグロインペイン症候群とは何なのか、一般的にはどれくらいで良くなるのかを解説します。

 

グロインペイン症候群の症状

症状としては、ランニングや起き上がり、キック動作など腹部に力を入れたときに鼠径部やその周辺に痛みが生じます。

参照元:公益社団法人 日本整形外科学会

鼠径部と言うのは、股関節の付け根のビキニラインの真ん中辺りの位置を指します。

鼠径部以外には、下腹部や内もも、坐骨ざこつ睾丸こうがんの後ろなども痛くなることがあります。

サッカー選手に多く見られ、一度なると治りにくいのが特徴です。

何らかの原因で可動性、安定性、協調性に問題が生じたまま、無理にプレーを続けると、体幹から股関節周辺の機能障害が生じやすくなります。

参照元:公益社団法人 日本整形外科学会

ですが、サッカーをしていなくても痛くなる時は痛くなります。

サッカーをしていなくても、股関節や骨盤、腰の動きが悪い、あるいは筋力が弱いと、歩いたり走ったり、立ち座りや起き上がったりする時に股関節に負担がかかり、グロインペイン症候群になる場合があります。

 

グロインペイン症候群が治るまでの期間

一般的には2ヵ月程度で治るとされていますが、2ヵ月で治る方もいれば、半年かかる方もおられます。

治る人は2ヵ月くらいで治りますが、実際には2ヵ月経っても半年経っても治らず、悩んでいる方も多いです。

ただ、2ヵ月で治った方も何もせず自然に治ったわけではなく、多くは適切なリハビリを受けた結果です。

ですが、リハビリを受けたとしてもあまり良くならない場合もあり、そんな場合に股関節以外の問題を考える必要があります。

 

グロインペイン症候群(鼠径部痛)の原因

中々治らないグロインペイン症候群の原因の1つは、股関節以外の問題が関係しているから。

股関節の痛みなので、股関節が痛みに関係しているのは間違いありません。

ですが、股関節自体の問題と股関節以外の問題に分けて考える必要があります。

ここでは、股関節自体の問題と股関節以外の問題に分け、以下の3つの原因を挙げました。

  • 股関節へ負担が多くかかっている
  • 股関節の筋肉が硬い
  • 体幹が硬い

それぞれ解説します。

 

1.股関節へ負担が多くかかっている

当然ですが、股関節へ負担が多くかかると、股関節に痛みを起こします。

日常的に歩くあるいは走る機会が多い方、スポーツをしている方は股関節に負担がかかりやすいです。

特にサッカーでシュートを打つ際は、足を後ろへ大きく振り上げ、思いっきりボールを蹴りますよね。

この時、股関節には前後に大きく、かつ、素早い動きが強く加わります。

そういった動きを繰り返すと、筋肉に小さな傷がついたり、炎症を起こしたりします。

サッカーでは、そのような動きが多いため、股関節にとっては負担になるのです。

 

2.股関節の筋肉が硬い

股関節は骨盤のくぼみに、大腿骨頭だいたいこっとうと呼ばれる球状に近い骨がかみ合ってできています。

球状なので、自由に動きやすい関節である反面、不安定で上手くコントロールできないと痛みを起こしやすいとも言えます。

股関節は後ろ側は筋肉が分厚く安定しているのですが、前側は筋肉が後ろに比べると少なく不安定という特徴があります。

その特徴から、股関節後ろ側のおしりの筋肉が硬くなると、骨頭を前側に押し出してしまい、股関節が上手くかみ合わなくなってしまう場合があります。

それが原因で、股関節の前側で骨と骨がぶつかり合って痛みが起こる可能性があります。

 

3.体幹が硬い

股関節の動きは、何も股関節だけで動くわけではありません。

たとえば、サッカーでボールを蹴る際に足を大きく後ろへ振り上げる時。

股関節を支点に太ももが後ろへ動くわけですが、この時、股関節の動きと一緒に骨盤は前側へ傾き、腰は反り返っています。

つまり、股関節の動きは、股関節、骨盤、腰の動きが組み合わさってできているわけです。

そうすることで、股関節だけに負担が集中することなく、負担を他の関節に分散することができます。

ですが、この時、体幹、つまり、腰の動きが硬い場合、股関節を同じ角度動かそうと思うと、腰の動きの悪さの分を股関節で補わないといけません。

なので、腰が硬いと股関節や骨盤が大きく動く必要があり、その分股関節にとって負担が大きくなってしまうのです。

 

グロインペイン症候群が治らない理由

グロインペイン症候群がなかなか治らない、と悩んでいる方には大きく2つの共通点があります。

それは、「安静を守れていない」「股関節だけにアプローチしている」です。

安静にするべき理由と、股関節意外に着目すべき部分について詳しく解説してきます。

1.安静にできないことが多い

どんな怪我でも当たり前のことなのですが、安静を守れていない場合が多いです。

痛みがあるということは、少なからず痛い場所には何らかの負担がかかっているということ。

その結果、体が悲鳴を上げて痛みという形で警告しているのです。

スポーツをしている場合、休んでいて他の仲間に遅れをとってしまうとか下手になってしまうといった焦りがあるかもしれません。

仕事をしている場合、忙しくて休めないから、いつもと変わらず動いてしまうということもあるかもしれません。

ですが、まずは安静にしないと良くなるものも良くなりません。

今安静にしたら良くなるのに、安静にしないがために数週間、数ヵ月、1年以上経っても痛みがあるという方もおられます。

それで、結局スポーツができなくなったり、仕事を満足にできなくなっては本末転倒です。

まずは、何よりも自分の体を優先し、安静にすることを考えましょう。

 

2.股関節だけにアプローチしているから

グロインペイン症候群は、股関節の痛みなので、上述したようにおしりの筋肉の硬さ、あるいは太ももの筋肉の硬さに対してストレッチやマッサージをすると、痛みが和らいで良くなっていく場合もあります。

ですが、その場合はたまたま股関節だけの問題だったというだけで、これも上述したように腰の硬さが股関節に負担をかけているのなら、腰の硬さを何とかすることを考えないと、いつまでも股関節は痛いままでしょう。

股関節のストレッチやマッサージをしていても中々治らない方は、腰や膝など股関節以外の部分にも着目してみましょう。

 

グロインペイン症候群を早く治す|おすすめストレッチ

ここでは、グロインペイン症候群への対策として以下の3つを挙げました。

  • 股関節のストレッチ
  • 腰のストレッチ
  • 膝のストレッチ

それぞれ解説します。

 

1.股関節のストレッチ

内転筋ストレッチ(内ももを伸ばす)

内もも(内転筋群)の柔軟性を高めることで、鼠蹊部(そけいぶ)や股関節の引きつれを軽減します。

方法:

  1. あぐらの姿勢で床に座り、足の裏同士を合わせる。
  2. 背筋を伸ばしたまま、上体をゆっくり前に倒す。
  3. 太ももの内側が心地よく伸びたところで20〜30秒キープ。これを、2〜3セット繰り返します。

ポイント:
膝を無理に床へ押し付けないように。呼吸を止めず、リラックスして行いましょう。

腸腰筋ストレッチ(股関節の前を伸ばす)

股関節前面の腸腰筋が硬くなると、骨盤が前に傾きやすくなり、腰や鼠蹊部の痛みにつながります。

方法:

  1. 片膝立ちになり、後ろ脚の太もも前側を伸ばすように骨盤を前へ押し出す。
  2. 背中を反らさず、腰をまっすぐに保つ。
  3. 股関節の前が伸びたら20〜30秒キープ。左右2〜3回ずつ。

ポイント:
腰を反らすと効果が半減します。骨盤を前後に“動かす”意識で。

股関節外旋ストレッチ(ねじれを整える)

股関節の「ねじれ」(内旋制限)を改善し、代償動作や膝の負担を減らします。

方法:

  1. 仰向けで膝を90°に曲げ、片脚をもう一方の太ももに乗せる。
  2. 両手で下の脚を胸に引き寄せる。
  3. お尻の奥や外ももが伸びたら20〜30秒キープ。

ポイント:
腰を浮かせずに、伸びを感じる位置で止めること。

2.腰のストレッチ

腰のストレッチ(腰と骨盤をゆるめる)

腰を反らせるクセをリセットし、腸腰筋や腰部筋膜の緊張をやわらげます。

方法:

  1. 仰向けで膝を立て、足裏を床につける。
  2. 息を吐きながら、骨盤を「後ろに倒す」ように動かし、腰の隙間を床に押しつける。
  3. そのまま10秒キープ → ゆるめる → 10回繰り返す。

ポイント:
「腰を反る・丸める」を繰り返すことで、骨盤と腰椎の動きが整います。

応用:
慣れてきたら、片脚をまっすぐ伸ばして腸腰筋を伸ばすと、より効果的です。

3.膝まわりのストレッチ

大腿四頭筋ストレッチ(太もも前側)

膝前面の張りや、太もも前の硬さをやわらげて動きをスムーズにします。

方法:

  1. 立位または横向きで、片手で同側の足首をつかむ。
  2. かかとをお尻に近づけながら、太ももの前を伸ばす。
  3. 胸を張って20〜30秒キープ。左右2回ずつ。

ポイント:
膝が外側に開かないように注意。姿勢が崩れる場合は壁を支えに。

ハムストリングスストレッチ(太もも裏側)

ハムストリングス(もも裏の筋肉)の柔軟性を高め、骨盤の動きを助けます。

方法:

  1. 椅子に浅く座り、片脚を前に伸ばす。
  2. 背筋を伸ばしたまま、つま先の方向へ上体を倒す。
  3. 太もも裏が伸びたら20〜30秒キープ。

ポイント:
猫背にならず、「骨盤ごと前に倒す」イメージで。

いずれも、痛みがない範囲で無理せず行いましょう。

グロインペイン症候群の痛み【実際の改善例】

全国に100店舗近く展開する、筋膜の施術を専門とする整体「青山筋膜整体理学ボディ」にも、股関節の痛みを抱えて来院される方はたくさんいます。

痛みの原因は人それぞれ異なりますが、根本を紐解いていくと、筋膜に起因する例が意外と多いのが現実です。

下記の動画では、当院に股関節(鼠径部の痛み)が実際に改善したお客様の改善例を紹介しています。ぜひ、参考にしてみてください。

股関節の痛み(グロインペイン症候群)が半年ほど治らなくて諦めていましたが、当店での2回の施術により大幅に回復する事ができました。 再びスポーツができるようになったのでとても良かったです!

青山筋膜整体理学ボディ「お客様の声」より

セルフケアではどうにもならない痛みでお困りの方は、股関節部痛の改善が得意な当院に、ぜひ一度ご相談ください。全力でサポートさせていただきます。

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グロインペイン症候群【まとめ】

グロインペイン症候群は、股関節の痛みを起こす病気ですが、股関節だけが悪いわけではありません。

股関節が悪いからという固定概念に捉われて、股関節の問題だけを考えていると、中々良くならず痛みが長引いてしまうことも少なくありません。

股関節の動きには、骨盤や腰など股関節以外の部分の関わりも大きいです。

体は各関節や筋肉がそれぞれ連動して動いていており、一か所に負担が集中しないような上手い作りになっています。

グロインペイン症候群になってしまった場合、まずは安静を優先に考え、その上で股関節の問題とそれ以外の問題の両方に目を向けて痛みと向き合ってみましょう。

今すぐどうにかしたい、という痛みでお困りの方は、ぜひ私たちにご相談ください。

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投稿者プロフィール

ナガシマカホ
ナガシマカホ
【青山筋膜整体 理学BODY WEB編集長】理学療法士歴10年以上 総合病院⇨介護・予防分野⇨様々な経験を経て独立。臨床で得た知識をもとに、書籍の執筆・WEB発信・セミナー講師など分野問わず活動中。

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