なかなか改善しない、腰椎椎間板ヘルニアの痛みでお困りの方へ。
腰椎椎間板ヘルニアには
- やってはいけない動作
- やってはいけないストレッチ
がそれぞれあるのをご存知でしょうか?
腰痛を抱えていながらも、これらの注意事項を知らずに過ごしてしまう人が大半で、慢性化や悪化につながっています。
その理由の一つに、これらの知識は私たち理学療法士が治療としてリハビリを受ける患者さんに伝える内容であるという点があります。
診断や応急処置のために病院にかかった人は、まずここまで話をされないことが多いのが現実です。
重要な注意事項を守って適切なストレッチや対処法をすることで、椎間板ヘルニアの症状が改善する人は大勢います。
この記事では、腰椎椎間板ヘルニアの人がやってはいけないことや、やってはいけないストレッチを伝えた上で、正しいストレッチ方や対処法をお伝えしていきます。
目次
腰椎椎間板ヘルニアとは?
腰椎椎間板ヘルニアは、腰の骨の間にあるクッションである椎間板が飛び出て腰の神経を圧迫してしまう症状です。
椎間板は線維輪と髄核でできていて、背骨をつなぎ、クッションの役目をしています。その一部が出てきて神経を圧迫して症状が出ます。椎間板が加齢などにより変性し断裂して起こります。
悪い姿勢での動作や作業、喫煙などでヘルニアが起こりやすくなることが知られています。
腰椎椎間板ヘルニアの原因
腰椎椎間板ヘルニアの原因は、腰に負担がかかる作業や姿勢を繰り返す事と言われています。
悪い姿勢での動作や作業、喫煙などでヘルニアが起こりやすくなることが知られています。
特に、以下のような姿勢や動作は腰に負担がかかりやすいため、腰椎椎間板ヘルニアになる可能性を高くします。
- 重い物を持ち上げる
- 長時間の運転
- 前屈みの姿勢での動作
※腰椎椎間板ヘルニアの痛みの原因や対処法、痛みを増悪させないための注意点なども記事にもわかりやすく解説しています。ぜひご覧ください。
腰椎椎間板ヘルニアの症状
そして、腰椎椎間板ヘルニアになると以下のような症状が出ます。
- おしりの痛み
- 足のしびれ
ここで注意なのは、腰椎椎間板ヘルニアで腰痛は出ないという事です。
勘違いされている人が多いですが、ヘルニアはあくまで腰の神経に負担がかかっている状態です。
この腰の神経は足に繋がっている神経なので、神経が圧迫されたら下半身にしびれや痛みが出るだけで、腰痛は起こりません。
なので、腰痛の原因が腰椎椎間板ヘルニアと断定していしまうのは、実は間違っているんです。
つまり、腰痛がある人は実は腰椎椎間板ヘルニアが原因ではなく、硬くなった筋肉や筋膜が痛みを出している可能性が高いと言えます。
腰椎椎間板ヘルニアでやってはいけないこと5選!
腰椎椎間板ヘルニアの人が普段の生活上でやってはいけないこと、つまり症状を悪化させてしまう可能性がある5つを解説していきます。
腰椎椎間板ヘルニアと診断されると
「あまり腰に負担を掛けないように」
とざっくりとした注意を促されますが、具体的にどんなことに注意するべきかまで教えてもらったという人は少ないのではないのでしょうか?。
ただ、この腰椎椎間板ヘルニアの人がやってはいけないこと5つを理解して注意することが、実は何よりも重要です。
そもそも腰椎椎間板ヘルニアは、壊れた椎間板が周りの神経を圧迫することで痛みなどの症状がでます。
そのため、あなたの腰椎椎間板ヘルニアによる神経の圧迫がどこで起きているかで注意すべき動作は変わってきます。(※これは病院で診断されたとき、画像検査の結果で伝えられる内容です。)
また、ヘルニアの多くは左右どちらか斜め後ろ方向へ突出します。
よってあなたのヘルニアによる神経の圧迫が起こっている部位に「椎間板が前方や左右どちらかに負荷のかかる動き」が加わると症状が悪化してしまのです。
では具体的には一体、どんな動きかを見てみると、以下の5つが挙げられます。
- 無理に曲げる・反らす・捻る
- 重たいものを持ち上げる
- 激しいスポーツ
- 長時間同じ姿勢でいる
- 猫背などの不良姿勢
ではそれぞれについて、生活の場面まで掘り下げて解説していきます。
やってはいけないこと①:無理に曲げる・反らす・捻る
背骨を無理に曲げたり(前屈)左右に捻ったり、うつ伏せの状態から大きく反らすような動きは、椎間板の前方・側方に負荷がかかります。
- 床の物を取る
- 座ったまま後ろに置いてあるものを取る
- 座って靴を履く
- うつ伏せ寝から無理に起き上がる
などの動きが挙げられます。
椎間板ヘルニアの症状が出ているときは、これらの動きはやってはいけない動きとなります。
このような動きが必要となる場合は、以下の点に注意しましょう。
- 体の向きを変える時は、首や腰ではなく体全体の向きを変える
- 床の物を取る時はしゃがむようにする
- 前にかがむ時は、何かに捕まり腰に掛かる圧を逃す
- 目上のものを取る時は、背中を反らさず足台を使う
このように、痛みが出るような動きは避けるようにしましょう。
やってはいけないこと②:重たいものを持ち上げる
重いものを持ち上げることは、特に腰椎に負荷をかけます。
普段の生活でも重たい洗濯かごや荷物運び、子供を持ち上げるときに注意が必要です。
さらに、重たいものを持ち上げる時にものを体から離して持ち上げようとすると、椎間板にかなりの圧力をかけてしまいます。
そのような場合は以下の点を工夫してみましょう。
- 洗濯はこまめに行い1回の量を減らす
- 物を持つ時は体になるべく近づけて持つ
- やむを得ず重たいもの持ち上げるときは、腰を落としてかがむようにする
基本的には症状が出ている場合は家族の方にお願いし、協力してもらいましょう。
やってはいけないこと③:激しいスポーツ
バスケやサッカー、ラグビーなどの激しいコンタクトスポーツは時に腰椎椎間板ヘルニアの原因となります。
症状が強く出ている場合はできるだけ安静にし、その間は後述する腰椎椎間板ヘルニアの人がやってもいいストレッチを中心に行うようにしましょう。
また、安全にスポーツを楽しむために、防具やサポーターの着用は必須です。
加えて、首や腰に負担の少ない体の使い方を覚えたり、必要な筋力をつけるトレーニングも大切です。
やってはいけないこと④:長時間同じ姿勢でいる
仕事や家事で長時間同じ姿勢でいることは、腰椎椎間板ヘルニアには大敵です。
特に、座ってのデスクワークは注意が必要です。
座り姿勢より立ち姿勢の方が椎間板に掛かる圧を減らすことができます。
在宅ワークの方はスタンディングテーブルを取り入れてみるのも効果的です。
やむを得ず、デスクワークをする際は、以下のことに注意してみましょう。
- モニターを目線より40~45°下にして、50㎝以上離れる
- 腕は肘置きやデスクの上に置く。
- 肘の角度は、90°以上にする。
- 椅子に深く座る
- 背中は背もたれに当て浅く座らない
- 足の裏は全体を床につける
- 足を組まない
また、30分に一度は休憩をしましょう。
椅子から立ち、トイレや飲み物を取りに行くと良いでしょう。
後術するやってもいいストレッチをして気分転換をするのもオススメです。
やってはいけないこと⑤:猫背などの不良姿勢
姿勢の悪さも椎間板への負荷を高め、ヘルニアの症状を引き起こしやすくします。
繰り返しになりますが、悪い姿勢には以下のようなものがあります。
- 猫背
- 脚を組んで座る
- 頭を前に突き出した姿勢
- どちらかの肩が下がっている
- 体や首を長時間ねじったままにする
普段から姿勢が悪くてヘルニアの症状が出てしまう人は以下の5つのポイントをチェックしてみましょう。
- 骨盤を立て、背筋を伸ばす
- 脚を組まないようにする
- 顎を引く
- 目線が上向きにならないようにする
- パソコンやテレビを観る時は、体を画面の正面に置く
腰椎椎間板ヘルニアのセルフケア・悪化予防【ストレッチ】
腰椎椎間板ヘルニアの症状を和らげるのにおすすめなのは、腰部・モモ裏・ふくらはぎの3つの部位に対するストレッチです。
なぜなら、腰椎に関連する腰〜ふくらはぎの柔軟性が低下すると、腰椎に負担がかかり症状が悪化してしまう人がとても多いからです。
ここでは
- 臀部のストレッチ
- モモ裏のストレッチ
- ふくらはぎのストレッチ
の具体的な方法をご紹介します。
朝・晩の1日2回を目安に、上記のストレッチを習慣にしていきましょう。
(※症状が悪化している場合、ストレッチの実施について医師の許可が必要なことがあります。)
椎間板ヘルニアのストレッチ①:お尻(臀部)
臀部の筋肉や筋膜は腰と繋がっているため、臀部をストレッチすることによって腰椎椎間板ヘルニアの症状が軽減する人が多くいます。
椎間板ヘルニアのストレッチ②:太もも裏
太ももの裏にあるハムストリングスという筋肉も筋膜を介して腰まで繋がっているため、ストレッチをする事によって腰椎椎間板ヘルニアの症状が軽減する人がいます。
椎間板ヘルニアのストレッチ③:ふくらはぎ
ふくらはぎにある下腿三頭筋という筋肉も筋膜を介して腰に繋がっているため、ストレッチをする事によって腰椎椎間板ヘルニアの症状が軽減する人がいます。
ここまでは、腰椎椎間板ヘルニアの人に効果的な事が多いストレッチを紹介しました。
しかし、もちろん人によって症状や状態が違うため、全ての人がこのストレッチをやれば言い訳ではありません。
実際に腰椎椎間板ヘルニアの人がやってはいけないストレッチがあります。
腰椎椎間板ヘルニアでやってはいけないストレッチはこれ!
腰椎椎間板ヘルニアの人がやってはいけないストレッチは、ストレッチをする事によって症状が悪化するストレッチです。
ですので、人によってやってはいけないストレッチは異なります。
実際に先ほど紹介した4つのストレッチも、ストレッチをする事によって腰椎椎間板ヘルニアの症状が減る人はやってもいいのですが、腰椎椎間板ヘルニアの症状が悪化する人はやってはいけません。
実際にストレッチをやってみて「自分はこれをやった方がいいのか?」「やってはいけないのか?」を判断するかたちになります。
よくある間違いとしては、「お医者さんや整体の先生に言われたから」「テレビでやっていたから」という理由でやってはいけないストレッチをやってしまう事があります。
当たり前ですが、あなたがやった方がいいストレッチとやってはいけないストレッチがあるため、実際にやってみて「症状が軽減するか?」「悪化するか?」などでしっかりと判断する事が大切です。
やってはいけないストレッチ:腰を大きく丸めるストレッチ
腰を大きく丸めたりするストレッチはやってはいけない人が多いです。
というのも、そもそもヘルニアは腰を丸めるようする姿勢で後方に飛び出やすくなりますし、腰を大きく丸める事で腰の筋肉にも負担がかかります。
ですので、下半身のストレッチをするときも、なるべく腰が丸まらないように背筋を真っ直ぐするようにしてストレッチをしましょう!
腰椎椎間板ヘルニアに効果的なマッサージ
腰椎椎間板ヘルニアでやってはいけないストレッチがある人は、以下のマッサージがお勧めです。
臀部や太ももの外側など、腰椎椎間板ヘルニアの方が特に硬くなりやすい部分のマッサージです。
臀部や太ももの外側は筋膜を介して腰に繋がっているため、これらの部位をしっかりとほぐすことで腰椎椎間板ヘルニアの症状の軽減が期待できます。
実際、ストレッチよりもマッサージの方が効果的な人が多く、私たちも腰椎椎間板ヘルニアの症状がある人に対しては、ストレッチよりもマッサージで問題の場所をほぐす事が多いです。
実際に腰椎椎間板ヘルニアで長年不調に悩まされていた人の改善例を1つ紹介させていただきます。
腰椎椎間板ヘルニアの腰痛がマッサージで和らいだ【改善例】
今回紹介するのは大学のアルティメット部に所属するA選手の話です。
1ヵ月ぐらい前から走ると腰が痛くなりはじめました。
それからどんどん痛くなってきて、最近は走ると腰が痛くて練習に参加できていません。
病院では『椎間板ヘルニア』と言われました。
足が痺れたりはしていませんが、とにかく腰が痛いです。
とのことでした。
椎間板ヘルニア:走ると腰が痛いA選手の状態
早速、A選手の腰の状態を見させてもらいました。
すると、
腰を曲げるとこの辺りの角度で痛くて、これ以上曲げられないとのこと。
反る方は曲げる方ほどではないようですが、ここまで反ると痛いとのこと。
椎間板ヘルニア:A選手の筋膜の状態
次にA選手の筋膜をチェックしていきました。
すると、痛いのは腰ですが、以下の場所に筋膜が硬い場所が見つかりました。
- 足首
- モモ
- 臀部
- 背中
- 腹筋
- 肩甲骨周り
ですので、いくら腰だけにアプローチしても治らない理由がわかりますよね。
椎間板ヘルニア:走ると腰が痛かったA選手はどうなった?
次は上の図で示した、A選手の硬い筋膜を調整していきました。
まずはこの動画をご覧ください。
A選手の場合、筋膜の硬い部分が多くあったので、施術の回数が3回かかってしまいましたが、腰痛は改善しました!
ちなみに、A選手の場合は足首の付け根の筋膜が特に硬くなっており、そこの筋膜をほぐした後が、痛み可動域ともに1番効果がありました。
このように、走ると腰が痛いケースでは、1〜3回以内の施術で改善するケースが多いです。
ですので、ストレッチを無理してやるよりも、硬い場所を直接ほぐした方が腰椎椎間板ヘルニアの人は改善しやすい印象です。
当院で行っている筋膜の施術に関して、まとめた記事がありますので是非ともご覧ください。
腰椎椎間板ヘルニアの痛みを今すぐ和らげる方法はある?
今回話したように、腰椎椎間板ヘルニアの人がやってはいけないことややってはいけないストレッチを理解し、自分にあったストレッチやマッサージを行う事で、腰椎椎間板ヘルニアの症状が改善する可能性が高くなります。
しかし、もちろん自分でやるのは限界があり、思うように症状が改善しない人もいると思います。
実際に当店にも
- 腰椎椎間板ヘルニアと診断された人
- 自分でストレッチをしても治らない人
が多く来られますが、多くの人が1〜3回程度の施術で改善していきます。
※当院の施術の特徴や3回以内で痛みの改善ができる秘訣も公開しています。
もちろんあなたも1〜3回以内に100%改善するとは言えません。
しかし、病院や整体に通ったり、自分でストレッチするよりは早く改善できる自信があります。
ですので、少しでも気になる事があれば、気軽にお問い合わせください。
投稿者プロフィール
- 【青山筋膜整体 理学BODY WEB編集長】理学療法士歴10年以上 総合病院⇨介護・予防分野⇨様々な経験を経て独立。臨床で得た知識をもとに、書籍の執筆・WEB発信・セミナー講師など分野問わず活動中。
最新の投稿
- 首・肩の痛み、こり2024年11月18日むちうち症(頸椎捻挫) | 首の痛みの原因・治療法を専門家が解説
- 筋膜2024年11月7日ふくらはぎの筋膜リリースのやり方|張り・むくみ解消の方法を専門家が解説!
- 整体について2024年11月6日【リピートさせない整体】3回以内の改善にこだわる『理学ボディ』
- すね・ふくらはぎ・足部の痛み2024年11月5日シンスプリント|サポーターをしない方がいい理由を理学療法士が解説!