デスクワークや車の運転中、ふとした瞬間に「尾てい骨が座ると痛い」と感じたことはありませんか。
尾てい骨の痛みは、多くの人が経験する症状の一つです。日々の暮らしの中での何気ない習慣や、からだの使い方のクセが原因となっていることが少なくありません。
長時間の座り姿勢や、女性ならではの原因、過去の転倒などが関係していることも考えられます。
この記事では、理学療法士の視点から、座ったときに尾てい骨が痛いと感じる主な原因を解説し、今すぐできる対処法や、医療機関を受診するべき症状の目安について整理していきます。
- 痛みの主な原因は、長時間の不適切な座り姿勢による圧迫や過去の転倒の可能性が高い
- クッションの活用や骨盤を立てる座り方の意識により、尾てい骨への負担を軽減できる
- しびれや激痛を伴う場合やセルフケアで改善しない場合は、整形外科の受診を
目次
座ると尾てい骨が痛む 主な原因5つ
座ったときに尾てい骨が痛くなる原因は、多くの場合が、姿勢のクセや過去のケガ、身体的な変化など、複数の要因が関連しています。
具体的には、
- 座りっぱなしによる長時間の圧迫
- 尻もちなどの外傷
- 妊娠・出産の影響
- 筋肉の緊張
- 骨盤の歪み
が挙げられます。
それぞれの原因がどのようにして痛みを引き起こすのかを詳しく見ていきましょう。
悪い座り方による、尾てい骨への継続的な圧迫
椅子に浅く腰かけて背もたれに寄りかかるような座り方や、背中を丸めた姿勢を続けると、尾てい骨に体重が集中しやすくなります。
本来、座るときは坐骨という骨で体重を支えるのが理想ですが、骨盤が後ろに倒れた姿勢では、尾てい骨が座面に強く押し付けられてしまうのです。
特に硬い椅子や床に座る習慣がある場合、この圧迫はさらに強まります。
このような継続的な圧力が、座る時の痛みの直接的な原因となることがあります。
座っていると痛みが増す場合は、まず座り方を見直すことが重要です。
尻もちなどの転倒による打撲や骨折
転倒して尻もちをつくなど、尾てい骨に直接的な衝撃が加わることも痛みの大きな原因です。
強い衝撃によって、尾てい骨の打撲や、場合によってはヒビや骨折が生じることがあります。過去の尻もちが原因で、後から痛みが出てくるケースも少なくありません。
外傷の有無は、痛みの原因を考える上で重要な要素となります。もし転倒などの心当たりがある場合は、一度、整形外科の診察を受けることが望ましいです。
妊娠・出産にともなう骨盤の開きや緩み
妊娠中や産後の女性が尾てい骨の痛みを訴えることは珍しくありません。実は、尾骨の痛みを訴える女性は男性の5倍であるという研究もあります(参照1)。
これは、出産をスムーズにするために分泌されるホルモンの影響で、骨盤周りの靭帯が緩むことが一因とされています。
骨盤が緩むと、尾てい骨を支える構造が不安定になり、座ったときなどに痛みを感じやすくなるのです。
特に産後は、骨盤が元の状態に戻る過程でバランスが崩れやすく、尾てい骨周辺に負担がかかり続けることがあります。
長時間デスクワークでのお尻周りの筋肉の緊張
長時間座りっぱなしのデスクワークは、尾てい骨周辺の痛みを引き起こす一因です。
尾てい骨周辺には、多くの筋肉がありお尻周りを支えてくれています。
同じ姿勢で座り続けることで、お尻や骨盤周りの筋肉が緊張し、硬くなってしまいます。
筋肉が硬くなると血行が悪くなり、痛みを引き起こす物質が溜まりやすくなります。
中でもおしりの筋肉で最も痛みに関連しているケースが多いのが、梨状筋症候群です。これは坐骨神経痛などにも関連します。
それだけでなく、硬くなった筋肉は尾てい骨の動きを妨げ、座ったときの圧力をうまく分散できなくさせることがあります。
日常生活の癖が引き起こす骨盤の歪み
足を組む、いつも同じ側の肩に鞄をかける、片足に体重をかけて立つといった日常生活の無意識なクセは、骨盤の歪みを引き起こす可能性があります。
骨盤が歪むと、左右の坐骨に均等に体重がかからなくなり、片方の坐骨や尾てい骨に負担が偏ります。
例えば、左の骨盤が下がっていると、座ったときに左側のお尻や尾てい骨に圧力が集中しやすくなります。
このようなアンバランスな状態が続くと、身体が動くたびに尾てい骨周辺の組織にストレスがかかり、痛みの原因となることが考えられます。
代表的な3つの癖(足を組む、片足重心、横座り)を見直すことが大切です。
尾てい骨の痛みを和らげる【対処法4選】
尾てい骨の痛みは、日常生活の工夫によって負担を軽減できる場合があります。ここでは、すぐに取り組めるセルフケアの方法を4つ紹介します。
大切なのは、自分の身体の状態に合わせて無理なく試してみることです。
※これらの対処法を試しても痛みが続く、あるいは悪化するようであれば、専門医への相談を検討してください。
硬くなったお尻周りの筋肉をほぐすストレッチ
長時間のデスクワークなどで硬くなったお尻周りの筋肉をストレッチでほぐすことは、尾てい骨の痛みを緩和するために役立ちます。
特にお尻の大きな筋肉である大殿筋や、その深層にある梨状筋の柔軟性を取り戻すと、周辺の血行が促進され、尾てい骨にかかる負担が軽減されやすくなります。自宅やオフィスで無理なく実践できるストレッチやエクササイズを2つ紹介します。
- 仰向けに寝て、片方の膝を両手で抱え込む
- 息を吐きながら、膝をゆっくりと胸に近づけて20秒間キープ
- お尻の筋肉が心地よく伸びているのを感じたら、反対側も同様に行う
- 椅子に浅く座り、片方の足首を反対側の膝の上に乗せる
- 背筋を伸ばしたまま、股関節から折り曲げるイメージで上半身をゆっくり前に倒す
- お尻の外側が伸びた状態で20秒間保持し、左右交互に繰り返す
痛みが強いときに無理に行うのは逆効果です。あくまで気持ち良いと感じる範囲で、呼吸を止めずにゆっくりと行うことが大切です。
座ると尾てい骨が痛い人に効く筋膜マッサージ
座ると尾てい骨が痛い時におすすめの筋膜マッサージです。
私たちの経験上、座ると尾てい骨が痛い人は、尾てい骨と繋がっている臀部周辺の筋膜が硬くなっているケースが多いです。
マッサージは、ストレッチよりもピンポイントで確実に固くなった部分をほぐすことができます。
以下の動画を参考に、お尻の筋膜と坐骨周辺の筋膜をほぐしてみましょう。
尾てい骨に負担をかけない「座り方」
正しい座り方を意識するだけでも、尾てい骨への負担は大きく変わります。
その最大のポイントは「骨盤を立てる」ことです。
まず、椅子の奥深くまで腰かけ、背筋を軽く伸ばします。このとき、お尻の下にある硬い骨(坐骨)に均等に体重が乗るのを感じるのが理想です。
坐骨で座面を押すことができると、自然と骨盤は立つようになります。(わかりにくい場合は両手を左右のお尻の下に入れ硬い骨が当たる場所を探してみましょう。)
足の裏は両方とも床にしっかりとつけ、膝の角度が90度になるように椅子の高さを調整します。
この姿勢を保つことで、尾てい骨への圧力を最小限に抑えることができます。
尾てい骨への圧力を分散させるクッションの活用法
座るときの痛みを和らげる簡単な方法の一つが、クッションの活用です。硬い椅子や地面に長時間座る場合は、クッションを用いてお尻にかかる圧を和らげるのがおすすめです。
すでに坐骨周囲の痛みでつらい場合は、尾てい骨部分に穴が開いているU字型やV字型のクッションを選ぶと、痛みの原因となる直接的な圧迫を避けることができます。
尾てい骨は、もともと皮膚や脂肪が薄く圧力を受けやすい部位であるため、こうした工夫が有効なケースもあります。
素材は、低反発ウレタンやゲル素材など、体圧を均等に分散しやすいものが選ばれることが多いです。
ただ、あまりふかふかすぎるクッションや、あまりにも骨盤の固定力が高いものだと、かえって座り姿勢をとりにくくなることもあります。
何度か試して、自分にあうクッションを見つけましょう。
要注意!危険なケースと受診先、注意すべき症状
セルフケアを試しても痛みが改善しない、あるいは日常生活に支障が出るほどの痛みが続く場合は、医療機関の受診を検討すべきサインです。
どのような症状があれば病院に行くべきか、そして何科を受診すればよいのか、具体的な目安を知っておくことが大切です。
まずは整形外科の受診を検討しよう
尾てい骨の痛みで病院を受診する場合、最初の選択肢となるのは整形外科です。
整形外科は、骨や関節、筋肉、神経といった運動器の専門家であり、痛みの原因を正確に診断するための設備が整っています。
レントゲンやMRIなどの画像検査を通じて、骨折の有無や関節の状態、周辺組織の異常などを詳しく調べることができます。
問診と合わせてこれらの検査を行うことで、痛みの原因を特定し、適切な治療方針を立てることが可能になります。
しびれや激痛など、放置してはいけない危険な症状
以下のような症状が見られる場合は、単なる姿勢の崩れや筋肉の緊張以上の問題のサインである可能性があります。なるべく早めに、一度、医療機関を受診してください。
- 尾てい骨周辺の激しい痛み
- 足のしびれや、力が入らない感じ
- 排尿や排便のコントロールが難しい
- 安静にしていても痛みが続く、または夜間に痛みが強くなる
上記の症状がある状態では、神経の圧迫や感染症、腫瘍などが隠れているサインである可能性が考えられます。
自己判断で放置せず、必ず専門医の診察を受けてください。
尾てい骨の痛みの裏に隠れている可能性のある病気
多くの場合、尾てい骨の痛みは姿勢や外傷に起因しますが、ごくまれに他の病気が原因となっていることがあります。
例えば、尾てい骨周辺の感染症や膿瘍、脊椎の腫瘍などが痛みを引き起こすこともあります。これらの病気は、一般的な尾骨痛とは異なる症状を伴うこともあります。
痛みが長期間続く場合や、徐々に悪化する場合、先に挙げたような危険な症状が見られる場合は、これらの病気の可能性も視野に入れて、精密な検査を受けることが重要です。
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尾てい骨の痛みに関する【よくある質問】
ここでは、尾てい骨の痛みに関して多くの方が疑問に思う点について、わかりやすくお答えします。
尾てい骨が痛いとき、どんなクッションを選べば良いですか?
尾てい骨が座面に直接当たらない、中央にU字やV字のスリットが入ったクッションが適しています。
これにより、痛みの原因となる直接的な圧力を避け、お尻全体で体重を支えることができます。
素材は硬すぎず柔らかすぎないものを選び、自分の体格や使用する椅子に合ったサイズのものを見つけることが重要です。
痛みが和らいだら、普通のクッションを使用し、正しい座り方に繋げていきましょう。
座っているときだけでなく、寝るときも痛むのはなぜですか?
炎症が強い場合や、寝ている姿勢でも尾てい骨周辺に圧力がかかっている場合に痛むことがあります。
特に、硬めのマットレスで仰向けに寝ることや、極端に寝返りがすくない場合、痩せていてお尻周りの脂肪が少ない場合では、尾てい骨が圧迫されやすくなります。
痛みが強い場合は、横向きで寝る、膝の間にクッションを挟むなどの工夫で、負担が和らぐ可能性があります。
痛みを和らげるストレッチは、いつ行うのが効果的ですか?
基本的にストレッチはいつ行っても問題ありません。
しかし、痛みがある場合や体の硬さが気になる場合は、体が温まり筋肉がほぐれやすい入浴後や、長時間のデスクワークの合間に行うのがおすすめです。
筋肉が温まっていると、無理なく柔軟性を高めることができます。
ただし、痛みを感じる場合は無理をせず、ストレッチの強度を調整するか、中止することが大切です。あくまで心地よい範囲で行いましょう。
座ると尾てい骨が痛い【まとめ】
座るときの尾てい骨の痛みは、悪い座り方による継続的な圧迫、過去の転倒による外傷、筋肉の緊張、骨盤の歪みなど、様々な原因によって引き起こされます。
日常生活においては、尾てい骨への圧力を分散させるクッションの活用や、骨盤を立てる正しい座り方を意識することが負担の軽減につながります。
また、硬くなったお尻周りの筋肉をほぐすストレッチやマッサージも有効な場合があります。
しかし、セルフケアを続けても痛みが改善しない場合や、しびれなどの症状を伴う場合は、自己判断で放置せずに整形外科を受診し、専門医による正確な診断を受けることが重要です。
参照情報
・参照1:Coccydynia: An Overview of the Anatomy, Etiology, and Treatment of Coccyx Pain、PubMed Central、https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3963058/
投稿者プロフィール

- 理学療法士/WEBメディア編集長
- 10年以上の医療・介護の現場経験を経て独立。著書に6刷を達成した『高齢者のからだ図鑑』など(Gakken出版)。現在は、東京都の高齢福祉事業にも従事。さまざまな現場経験をもとに、執筆・WEB発信・大学での講師業など分野問わず活動中。


木城先生

















