「生理前になると腰痛がひどくて、仰向けで寝ているだけで痛いんです…なんとかなりませんか?」
そんな相談を受けることがあります。
私自身は男性で、生理に伴う痛みを体験することはできませんが、セラピストとして日々、女性特有の不調と向き合っています。
今回は、「生理前に腰痛が必ずひどくなる」と悩んでいた女性の方に施術を行い、症状が改善された事例を紹介します。
ご本人からブログ掲載の許可もいただいたので、整体ではどんなアプローチを行ったのか、詳しくお伝えしていきます。
生理前に腰痛がひどくなる原因とは?
施術事例をご紹介する前に、まずは「生理前に腰痛がひどくなる原因」について、一般的に知られているものを簡単にご紹介します。
ホルモンバランスが乱れる
生理前になると、『プロゲステロン(黄体ホルモン)』と『エストロゲン(卵胞ホルモン)』という2つの女性ホルモンの分泌バランスが大きく変化します。
この変化によりホルモンバランスが乱れやすくなり、体調にも影響を及ぼすとされています。
その結果、月経前症候群(PMS)が引き起こされ、症状の1つとして腰痛が出るケースがあります。
血液循環が不足する
生理前は子宮に血液が集中しやすくなるため、体全体、特に骨盤まわりの血行が悪くなりやすいと言われています。
それにより、腰まわりの筋肉(腹筋や背筋など)への血流も低下し、筋緊張が変化します。
この変化によって腰への負担が増え、痛みを引き起こす可能性があります。
プロスタグランジンの分泌
生理前になると、『プロスタグランジン』と呼ばれる物質が徐々に分泌されていきます。
プロスタグランジンには、生理中に経血を排出するために子宮を収縮させる働きがあり、この子宮収縮に伴う痛みを感じることがあります。
通常は下腹部の痛みとして現れることが多いですが、まれに腰痛として出る場合もあります。
リラキシンの分泌
リラキシンは、関節のあいだにある靭帯をゆるめる働きがあります。
生理前にリラキシンが分泌されることで、骨盤の関節(仙腸関節)がゆるみ、それが痛みの原因になることがあります。
また、関節が不安定になることで、周囲の筋肉にかかる負担が増え、腰痛につながる場合もあります。
私の筋膜の施術
私が行っている施術では、前述したホルモンバランスやリラキシン・プロスタグランジンの働きが原因であっても、これらに直接アプローチすることはありません。
ただし、筋膜を介することで、それらの影響を間接的に改善できると考えています。
この仕組みについて詳しく解説すると長くなってしまうためここでは省略しますが、私が用いている『筋膜マニピュレーション』という治療手技には、生殖器系の障害や、内分泌系(ホルモンなど)の障害に対して効果があったという公式での報告があります。
また、それらに関する医学的な根拠や施術方法も確立されています。
筋膜の施術に関しては以下のページで詳しく紹介していますので、そちらをご覧ください。
また、『生理』は女性であれば誰でも起こる自然な生理現象です。
そのため、ホルモン分泌や血流の変化といった影響は、多くの女性に共通して見られるものと考えられます。
それでも『生理前の腰痛』は出る人と出ない人がいます。
これは、筋肉や筋膜、関節にもともと何らかの問題があって、生理前の体内環境の変化をきっかけに痛みを引き起こしているケースが多いと私は考えています。
だからこそ、筋肉や筋膜、関節の状態を整えてあげることが、『生理前の腰痛』は改善につながるのではないかと思います。
Kさんの基本情報
長野県にお住いの理学療法士のKさん。28歳。
Kさんとは学生時代の病院実習が一緒で、今でもたまに連絡を取り合う仲です。
そんなKさんの悩みが
『生理前になると必ず腰痛がひどくなること』
でした。
薬を飲んでも効かないし
周りの理学療法士に何度か治療をしてもらったけど、ほとんど変化がない
とのことでした。
今回は東京に用事があるため、ついでに一度体を診てくれないかと連絡があり、私が施術をすることになりました。
痛みについて伺うと
寝返りで痛くて、生理前になるとうつ伏せで寝ているだけで痛い
腰の力が抜けない
腰を後ろに反る方向に動かすと痛い
と言っていました。

▲が実際に腰を後ろに反ってもらった時の様子になります。
ここで腰が痛いらしいのですが、全然後ろに反れていないのがわかります。
これがどの程度改善したかについては、この記事の最後に動画を載せていますので、詳しくはそちらをご覧ください。
Kさんの筋膜の状態
Kさんの筋膜の状態をみていくと、Kさんはお腹周りに筋肉の硬い所が集中していました。

硬くなっているところの量が結構多かったで、今回一度では取り切ることができませんでしたが、
お腹と骨盤中心に7箇所ほど治療をさせていただきました。
結果
まずは▼の動画をご覧ください。
その場ではほとんど痛みはなくなり、後ろにもかなり反れるようになりました。
後日連絡して調子を聞くと、後ろに反ったときの痛みはまだ少しあるけど、仰向けで寝れるようになった。
とのこと。
感じとしては、まだ硬くなっている筋膜が残っていたので、この後何度か施術を行っていけば完治にもっていけそうです。
ただ長野に住んでいるため、続けて施術ができないのが残念なところです。
年に何度かは東京に来るようなので、その都度治療して改善できればと思います。
終わりに
生理前だから仕方ない
我慢するしかない
そう思っていませんか?
生理前にひどくなる腰痛は筋膜の治療で改善できる可能性があります。
1度気軽にご相談ください。
投稿者プロフィール

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理学療法士の国家資格を取得後、都内のスポーツ整形外科クリニックで医師と連携しつつプロスポーツ選手や箱根駅伝選手などを担当し、技術を磨いてきました。
その過程でイタリアの医師が考案した国際コースである『Fascial manipulation(筋膜マニピュレーション)』のコースを修了しています。
筋膜を通じて痛みに悩まされている人を救いたいです。