絶対にやってはいけない腰痛ストレッチは、疾患や症状ごとに異なりますが、まとめると
- 腰を曲げる(前屈)ストレッチ:ヘルニアなど
- 腰を反るストレッチ:腰部脊柱管狭窄症など
- 神経を圧迫・過度に伸ばすストレッチ:坐骨神経痛など
の3つです。
腰痛の多くは「筋肉の過度の緊張」が原因で生じると考えられています。
そのため、ストレッチによって筋肉をほぐすことが、腰痛の軽減に役立つとして知られています。
しかし、痛みを引き起こしている原因や腰痛の症状によっては、避けるべきストレッチや動作が存在するので注意が必要です。
間違った方法で行うと、ぎっくり腰などを併発する・痛みが強くなるなどの危険性もあるため、慎重に対処することが大切です。
本記事では、腰痛の際に絶対に避けるべきストレッチについて、身体の専門家である理学療法士がわかりやすく解説します。
さらに、痛みを和らげるための具体的な対策も紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
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腰痛で絶対にやってはいけないストレッチ【症状別】
腰痛で絶対にやってはいけない腰痛ストレッチや運動は、結論「腰に負担が強くかかるストレッチ」です。
その腰にかかる負担は「腰を曲げると痛い」「腰を反ると痛い」「痺れや感覚障害がある」など腰痛の症状によって変わります。
つまり、症状や疾患によって、絶対にやってはいけないストレッチも異なります。
具体的にどのストレッチがやってはいけないのか、症状と照らし合わせて確認していきましょう。
1.腰を曲げる(前屈)ストレッチ(ヘルニアなど)
腰を曲げる(前屈)で痛む場合、曲げる動きを伴うストレッチは絶対にやってはいけません。
よくある腹筋運動のような動作も要注意です。
腰を曲げることで痛みがある場合腰椎椎間板ヘルニアの危険性が考えられます。
腰椎椎間板ヘルニアでは、腰を曲げることで椎間板に過度のストレスがかかり、症状が悪化することがあります。

過去に腰椎椎間板ヘルニアと診断されたことのある場合や、腰を曲げると痛みが出る場合は、腰を曲げて行うストレッチはやめましょう。
解剖学的な構造上、腰は曲げると関節が不安定になります。
腰は反らすと関節が安定し、曲げると不安定になるという特徴があるんです。
なので、腰の筋肉が硬い場合は、腰を曲げてストレッチするのは有効です。
ですが、腰の筋肉ではなく、裏ももやおしりの筋肉が硬い場合は、腰のストレッチをすると逆に不安定になり、痛みを起こしやすくなります。
その場合は、腰ではなく、裏ももやおしりのストレッチを行いましょう。
要は、痛いからストレッチしておけば良いわけではなく、「筋肉が原因で関節の動きが悪い場合、ストレッチをしましょう」ということです。
2.腰を反るストレッチ(腰部脊柱管狭窄症など)
腰を反ると痛い方の場合、腰を反る動きを伴うストレッチは絶対にやってはいけません。
この場合、腰を反ると痛みや痺れが生じる腰部脊柱管狭窄症を併発している危険性があります。
たとえば、腰部脊柱管狭窄症では、安静にしている時にはほとんど症状はありませんが、背筋を伸ばして立ったり歩いたりすると、ふとももや膝から下にしびれや痛みが出て歩きづらくなります。
参照元:公益社団法人 日本整形外科学会
腰部脊柱管狭窄症は、腰を伸ばしたり反った時に痛みが出ます。(他にも腰椎すべり症も反ると痛みがでます。)
過去に腰部脊柱管狭窄症と診断されたことのある場合や腰を反ると痛い場合は、腰を反らして行うストレッチはやめましょう。
たとえば、
- うつ伏せで背中を持ち上げてお腹を伸ばすようなストレッチ
- ブリッジのような背中を大きく反る姿勢のストレッチ

これらは腰を反らすので、痛みを強くしてしまう恐れがあります。
(※腰部脊柱管狭窄症の方がやってはいけないストレッチを解説したページで、具体的な方法を解説しています。)
3.神経を圧迫・過度に伸ばすストレッチ(坐骨神経痛など)
腰やおしり、太もも、ふくらはぎなどにしびれがある場合、神経を過度に圧迫したり伸ばしたりするストレッチは絶対にやってはいけません。
しびれがある場合、神経の圧迫や無理な伸長、炎症を起こしていることで生じる坐骨神経痛などの疾患を併発している可能性があります。
ストレッチで余計に神経を伸ばしてしまうと、より負担がかかり、しびれを強くしてしまう恐れがあるので注意しましょう。
たとえば、膝を伸ばし、手をつま先に向かって伸ばすようなストレッチ(※下記画像参照)では、坐骨神経が最も伸びる姿勢なので、しびれを強くしてしまう可能性があります。

坐骨神経は腰から出ていますが、元をたどると腰から出ている神経は頭から降りています。
そのため、首を曲げたり、背中を丸めても坐骨神経が伸ばされ、負担がかかるので、しびれがある時にこのようなストレッチはやめましょう。
【要注意】ストレッチ以外でやってはいけないこと
腰痛を抱えている方は、ストレッチ以外にも避けるべき行動があります。
特に、前屈みやひねるといった動き、重たいものを持ち上げる重労働、そして長時間同じ姿勢を続けることは、腰痛を悪化させる原因となるため注意が必要です。
これらの行動を避けることで、症状の改善を促すことができます。
前屈み・ひねるなどの動き
腰痛を持つ方が避けるべき動作の一つが、前屈みやひねる動きです。
これらの動きは、特に腰に負担をかけるため、症状を悪化させるリスクがあります。
ものを拾う際などは、前屈みになるのではなく、片足を立てた立て膝の状態での動作を心がけましょう。
また、振り返る際や体の向きを変える際は、腰をひねるのではなく、体ごと向きを変えるようにすると痛みを回避できます。
日常生活の中で意識的に避けることが大切です。
重たいものを持つなどの重労働
重たいものを持つことは、腰に大きな負担をかけるため、腰痛を悪化させる原因となります。
特に前屈みの姿勢を取りながら重い物を持ち上げる行為は、腰部へのストレスを増加させるため、注意が必要です。
必要であれば、腰痛持ちであることを正直に伝え、他の人に手伝ってもらうことが重要です。
やむを得ない場合は、無理をせずに小分けにして重さを分散させるようにしましょう。
また、前屈みの姿勢は避け、前述したような立膝の状態でものを持ち上げ、なるべく自分の体にものを寄せて運ぶようにしましょう。
長時間同じ姿勢でいる
長時間同じ姿勢でいることは、腰に負担をかける大きな要因となります。
血行が悪化し、筋肉が過剰に緊張することで、腰痛が悪化することがあります。
特にデスクワークや立ちっぱなしの作業を行う方は、定期的に姿勢を変えたり、軽いストレッチを挟んだりすることを心掛けましょう。
なるべく、1時間に一度は休憩をとるようにしましょう。
【腰痛でもやってもいい】ストレッチ・運動 3選
腰痛持ちの人でもやってもいいストレッチ・運動は、「腰を曲げると痛い」「腰を反ると痛い」「しびれがある」などの症状別に、方法が異なります。
本当に効果的な方法を探るには、どこに原因があるかを実際にチェックしてみないとわかりません。
痛みの原因の具体的なチェック方法から、実際のストレッチ・運動まで、症状別にわかりやすく解説していきます。
1.腰を曲げると痛い人がやるべきストレッチ
腰を曲げると痛い方は、体の前側より後ろ側の筋肉の硬さが原因で関節の動きが悪くなっていることが多いです。
後ろ側の筋肉が硬いと腰を曲げる動きが制限され、それによって痛みが出ます。
この原因は大きく2つあり、腰の筋肉か、あるいは裏ももやおしりの筋肉が硬いのかが考えられます。
どっちが原因か、以下の方法でチェックしてみましょう。
- 足を伸ばして座り、手をつま先に伸ばす
- 膝を少し曲げて座り、手をつま先に伸ばす
裏ももやおしりの筋肉が硬い人では後者の方が体を倒しやすくなります。
それは、膝を曲げると裏ももの筋肉が緩んで、腰を曲げやすくなるからです。
このように、裏ももの硬さが腰の曲げやすさに関係するので、裏ももが硬い場合は腰ではなく、裏もものストレッチを優先しましょう。
(※動画で裏もものストレッチを解説しています。)
2.腰を反ると痛い人がやるべきストレッチ
腰を反ると痛い場合、実は腰ではなく背中の硬さが原因で痛くなっているというケースが圧倒的に多いです。
この場合、動いている部位(腰)ではなく、動いていない部位(背中)へのストレッチが効果的です。
具体的には以下のようなストレッチです。
- 椅子に腰かけ、へそお腹の奥に引き込むように軽く腰を丸める
- そのまま両手を頭の後で組んで開く
- 10~20秒キープする
背筋を伸ばす時に、背中が硬くて伸びにくい場合、その分を腰でかばって反らしてしまう人がいますが、この場合、腰は動かない背中の分まで必要以上に反っていることになります。
これでは腰の骨や関節、筋肉に負担がかかって痛みにつながってしまいます。
そのため、それ以上腰を反らすようなストレッチではなく、背中を伸ばすようなストレッチをする必要があるということになります。
3.腰にしびれがある人がやるべきストレッチ
腰にしびれがある場合は、硬くなって神経を圧迫しているお尻の筋肉を伸ばすストレッチが効果的です。
しびれなどの症状が出る坐骨神経痛では、坐骨神経の周囲にあるお尻や下半身の筋肉が硬くなっていることが原因となっています。
その場合、以下のようなお尻周りのストレッチや下半身のストレッチで神経の圧迫を改善するのが効果的です。
※坐骨神経痛は、動きや姿勢のクセが症状の悪化につながるケースが非常に多いです。
坐骨神経痛でやってはいけないことを具体的に説明したページで一度確認してみましょう。
頭や腰をなるべく丸めないように、下半身だけを伸ばすことで、神経に負担をかけずに筋肉を伸ばすことができます。
腰痛持ちがストレッチ・運動をする際の【注意点】

腰痛の人がストレッチや運動をする場合、絶対にやってはいけないストレッチをする以外にも以下の3つの注意点があります。
- 勢いをつけない
- 適切な時間で行う
- 息を止めずに行う
ストレッチ・運動のやり方が間違っている=やってはいけないストレッチにつながっている可能性もあるので、注意しましょう。
腰痛ストレッチの注意点①:勢いをつけない
腰痛の方がストレッチをする際の注意点の一つ目は、過度の勢いをつけないで行うという事です。
腰痛ストレッチには、
- ゆっくりとじわじわ伸ばす:スタティックストレッチ
- 反動をつけて伸ばす:バリスティックストレッチ
の2種類があります。
スタティックストレッチはゆっくりと筋肉を伸ばすので、安全に筋肉の柔軟性を高めることができます。
一方、バリスティックストレッチは反動をつけて筋肉を伸ばすので、ゆっくりと伸ばすスタティックストレッチより効果が高いというメリットもあります。
しかし、急激に筋肉や腱が伸ばされるので、筋肉や腱の損傷や炎症が起こる可能性があり、それによって余計に腰を痛くする恐れがあります。
腰痛ストレッチの注意点②:適切な時間で行う
腰痛の方がストレッチをする際の注意点の二つ目は、極端に時間が短すぎるストレッチに注意することです。
ストレッチには、効果が出やすい時間がありますが、あまりにもストレッチする時間が短すぎると、効果は得られません。
目的によっても最適なストレッチの時間は異なるため、以下を参考に実施しましょう。
- 筋肉の柔軟性・関節の動きの向上:2~3分程度
- ウォーミングアップ・運動パフォーマンス向上:30~40秒程度
腰痛持ちの方の場合は、前者の筋肉の柔軟性を改善するという目的の方が適しています。
※2分間伸ばしたままだとつらい人は、20~30秒、数回に分けて伸ばす方法で無理なくじっくり行うのがおすすめです。
腰痛ストレッチの注意点③:息を止めずに行う
腰痛の方がストレッチをする際の注意点の三つ目は、息を止めずに行うことです。
ストレッチ・運動をする時、無意識に息を止めている方がいますが、これも良くありません。
息を止めると、筋肉には力が入りやすくなります。力を出したい時には良いですが、ストレッチは筋肉を伸ばしたいので逆効果です。
腰痛持ちの人は特に、痛みや体の硬さから無意識に息が止まってしまう人が少なくありません。
ストレッチをする際は、無理のない範囲で呼吸を続けながら行うようにしましょう。
腰痛ストレッチでも良くならない人へ
ここまで紹介してきた方法で腰痛が良くなる人もいれば、いまいち効果が出ないと悩む人もいるのではないでしょうか?
実は、腰痛をストレッチでケアするには限界があります。
というのも、筋肉や関節の動きが原因で起こる腰痛であればストレッチである程度改善できますが、原因がそうではない場合は難しくなってしまいます。
また、腰痛は反り腰や猫背といった普段の姿勢の崩れや、動きのクセなどとも深く関わっています。
いくらストレッチで伸ばしても、普段から腰に負担のかかる姿勢や歩き方をしていると効果は得られません。
そんな時は、一度専門家に相談するのがおすすめです。
あなたの腰痛の本当の原因を見極められる体のプロに実際にみてもらうことが、改善の近道となります。
「もっと効果的な方法が知りたい」
「自分の体を専門家に見てもらいたい」
「もっと早く効果の出る方法で腰痛をどうにかしたい」
こんな悩みをお持ちの方は、医学的な知識を持つ理学療法士がいる当店へぜひ一度ご相談ください。
あなたの腰痛の問題が早期に解決できるよう、全力でサポートさせていただきます。
絶対にやってはいけない腰痛ストレッチ【まとめ】
一口に腰痛といってもその原因や痛みの出方は人それぞれです。
腰痛ストレッチもその人に合った方法でやらなければ効果は得られません。
それどころか、知らずにやってはいけないストレッチをしてしまっていた場合は腰痛をかえって悪化させてしまう危険性すらあります。
本記事でお伝えした内容を参考に、
- どんな動きで腰が痛いのか
- どんなストレッチはやってはいけないのか
- どんなストレッチをするべきなのか
を考えて、今日から正しくストレッチを実践していきましょう。
それでも、
「痛みがなかなか取れない」
「今すぐ痛みをどうにかしたい」
という人は、僕たち専門家にぜひ一度ご相談ください。
腰痛が治らないケースこそ、当整体院の施術が有効だったお客様は非常に多く、実際に1回の施術で改善したケースも多数あります。
私たちも一人でも多くの方に「痛みから解放される感動」を届けたいと、スタッフ一同、全力で「施術」をさせて頂いています。
最近、当院は、ありがたいことに来院される方が増え、毎月予約が取りづらい状態です。
店舗によっては、来月の予約もいっぱいの状況です…!
そのため、当院にて早めに「施術」を検討される方は、ぜひ、お近くの店舗を覗いていただき、予約があるかを確認頂けると幸いです。
よくある質問
腰が痛い時、ストレッチ・運動をしてもいいですか?
痛みで動けない、生活に支障が出ている場合は、無理なストレッチが悪化の原因となってしまう可能性もあります。
このような場合は、早めに整形外科などの医療機関に受診し、ストレッチなどの可否を確認すると安心です。
慢性的な痛みや軽度の痛みであれば、本記事で紹介したストレッチを参考に無理のない範囲で実践してみましょう。
絶対にやってはいけないストレッチ・運動はありますか?
腰痛の人が絶対にやってはいけないストレッチ・運動は腰に無理な負担がかかるものです。
その代表例が本文で紹介した「勢いをつけたストレッチ」「時間が短すぎるストレッチ」「息を止めたままのストレッチ」の3つです。
そして、この他にも症状別で「曲げる動作」「反らす動作」がNGとなる場合があります。
腰痛はどこの筋肉を伸ばすとよいですか?
痛みの原因がどこにあるかにもよりますが、慢性腰痛の場合はお尻にある梨状筋や、太もも裏のハムストリングスが硬くなり腰の負担になっているケースが多いです。
上記のストレッチに関しては、本文で具体的な方法を紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
他にも、脊柱起立筋や広背筋、腰方形筋などの背中の筋肉のストレッチも有効です。
投稿者プロフィール

- 【青山筋膜整体 理学BODY WEB編集長】理学療法士歴10年以上 総合病院⇨介護・予防分野⇨様々な経験を経て独立。臨床で得た知識をもとに、書籍の執筆・WEB発信・セミナー講師など分野問わず活動中。