「特に痛めた覚えもないのに、歩くと土踏まずに痛みを感じる」
その足の裏の痛みは、実は体からの重要なサインかもしれません。
土踏まずの痛みの原因は、おもに足底腱膜炎(足底筋膜炎)や扁平足などが考えられますが、それ以外にも、立ち方や歩き方、日常生活の習慣や使い方のクセなど、さまざまな要因が考えられます。
この記事では、理学療法士の視点から、歩き始めや歩行中に土踏まずが痛む原因を詳しく解説し、ご自身でできるセルフケア方法や専門家への相談の目安について紹介します。
目次
歩き始めの土踏まずの痛み、放置していませんか?
「そのうち治るだろう」と、歩き始めに感じる土踏まずの痛みを我慢してしまう人は少なくありません。
じっとしていれば痛くないのに、体重をかけたり、歩き始めで痛くなるという場合、足の裏に何らかの問題が起きている証拠です。
最初は軽い痛みでも、放置することで症状が悪化し、歩行が困難になったり、痛みをかばうことで膝や腰など他の部位にまで不調が広がったりする可能性があります。
早めに原因を把握し、適切な対処を始めることが重要です。
歩くと土踏まずが痛む原因は、足底腱膜炎?症状と特徴
歩行時の土踏まずの痛みの原因として、最も一般的に考えられるのが「足底腱膜炎」です。
足底腱膜とは、かかとの骨から足の指の付け根まで、足の裏を覆っている強靭な繊維状の組織で、土踏まずのアーチを支え、歩行時の衝撃を吸収するクッションの役割を担っています。
この足底腱膜に過度な負担がかかり続けることで、細かい断裂や炎症が起きて痛みが生じるのが足底腱膜炎です。
長時間の立ち仕事やランニングなどが原因で発症することがあります。
※足底筋膜炎と足底腱膜炎は同じ疾患を指しますが、細かなちがいについては、こちらの記事に記載しています。
「歩き始め」に痛む場合(起床後、デスクワーク後)
足底腱膜炎の典型的な症状として、「朝起きて最初の一歩が特に痛い」という点が挙げられます。
これは、就寝中に足首が伸びた状態になることで足底腱膜が縮こまり、起床後の歩き始めに急激に引き伸ばされることで強い痛みが生じるためです。
同様に、デスクワークなどで長時間座った後、立ち上がって歩き出す際にも同じような痛みを感じることがあります。
しばらく歩いているうちに痛みが少し和らぐことも特徴の一つです。
かかとや足裏全体に痛みが広がる場合
足底腱膜炎の痛みは、土踏まずの中心部分だけでなく、特にかかとの骨の近くで感じられることが多くあります。
炎症が起こっている場所によって、痛む箇所は異なります。
症状が進行すると、土踏まずやかかとだけでなく、足の裏全体に痛みが広がることもあります。
痛み方は「ズキズキする」「ジンジンする」「鋭い痛みが走る」など、人によってさまざまです。
足底腱膜炎だけじゃない!土踏まずの痛みの原因
歩くと土踏まずが痛む原因は、足底腱膜炎だけではありません。
他にもいくつかの要因が考えられ、場合によっては複数の原因が重なっていることもあります。
足の痛みを見過ごさず、他にどのような原因が考えられるかを知っておくことで、適切な対処法を見つける手助けになります。
足のアーチ構造の崩れ(扁平足・ハイアーチ)
土踏まずを形成する足のアーチ構造が崩れることも、痛みの大きな原因となります。
アーチが潰れて低くなった状態の「扁平足」では、地面からの衝撃をうまく吸収できず、足底腱膜や周囲の筋肉に直接的な負担がかかります。
逆に、アーチが高すぎる「ハイアーチ」の場合も、足裏の接地面積が減ることで、かかとと足指の付け根に圧力が集中し、土踏まずの緊張が強くなるため、痛みが出やすくなります。
足が疲れやすいと感じる方は、アーチ構造に問題があるかもしれません。
長時間の立ち仕事や急な運動による、使いすぎ
足裏の筋肉や腱膜に許容量を超える負荷がかかり続けることが、痛みの直接的な原因となります。
例えば、日常的に長時間の立ち仕事をしている方や、普段運動習慣がないのに急にランニングや長距離のウォーキングを始めた場合など、足への負担が急増することで筋肉が疲労し、炎症を引き起こすことがあります。
このような「オーバーユース(使いすぎ)」が原因で、足底腱膜炎などを発症するケースは少なくありません。
体重の増加による足裏への過度な負担
体重の増加も、足の裏にかかる負担を増大させる無視できない原因の一つです。
立っているだけでも全体重を支えている足裏には、歩行時には体重の約1.2倍、走行時には約2〜3倍もの負荷がかかるといわれています。
そのため、体重が数キログラム増えるだけでも、足裏のクッション機能への要求は大きく高まり、足底腱膜や筋肉を傷める原因となり得ます。
立ち方や歩き方の問題
土踏まずの痛みの多くは、足裏のアーチを潰すような立ち方や歩き方が影響しているケースもあります。
痛みを抱えている人に多いのが、つま先が外側を向き、体重が内側にかかって土踏まずを潰してしまう立ち方です。
また、歩く際に足指や足首がうまく使えず、つま先を外に向けたガニ股の形でペタペタと歩く癖も、アーチが機能しない原因となります。
クッション性の低い靴や足に合わない靴の着用
日常的に履いている靴も、足の痛みに大きく影響します。
底が薄くて硬い靴や、かかと部分のクッション性が低い靴は、地面からの衝撃を十分に吸収できず、その衝撃が直接足裏に伝わってしまいます。
また、サイズが合っていない靴や、足の形にフィットしない靴を履き続けることも、足に不自然な力がかかり続ける原因となり、痛みを引き起こすことがあります。
新しい靴に替えてから痛みが出始めた場合は、靴が原因である可能性が考えられます。
歩くと痛む土踏まずの痛みは、正しい靴の選び方を知ることも重要です。
今すぐ始められる!土踏まずの痛みを和らげるセルフケア5選
土踏まずの痛みを改善するためには、硬くなった足の裏の筋肉をほぐし、足への負担を減らすことが効果的です。
ここでは、自宅で簡単に取り組めるセルフケアを5つ紹介します。無理のない範囲で、日々の生活に取り入れてみてください。
硬くなった足裏の筋肉をほぐす:簡単ストレッチ
硬くなった足の裏の筋肉や足底腱膜を直接ほぐすストレッチです。
- 椅子に座り、片方の足首を反対側の膝の上に乗せます。
- 足の指全体を掴み、甲の方へゆっくりと反らせます。
- 足の裏が心地よく伸びているのを感じながら、20〜30秒間キープします。
- これを3〜5セット、左右の足で同様に行います。
また、床に置いたゴルフボールやテニスボールを足裏でゆっくりと転がすのも、手軽で効果的なマッサージになります。
ほかにも、足底筋膜炎におすすめのストレッチは、こちらの記事で紹介しています。
ふくらはぎをほぐす:アキレス腱のストレッチ
ふくらはぎの筋肉が硬くなると、アキレス腱を介して足底腱膜が引っ張られ、痛みの原因になります。
アキレス腱を伸ばすことで、足首周りの柔軟性を高めておくことは大切です。
- 壁の前に立ち、両手を壁につきます。
- 片方の足を大きく後ろに引き、かかとを床につけたままにします。
- 前の足の膝をゆっくり曲げ、後ろ足のふくらはぎからアキレス腱が伸びるのを感じます。
- 20〜30秒間キープし、これを3〜5セット、左右の足で交互に行います。
足指を鍛えてアーチを支える:タオルギャザー運動
足の指を動かす筋肉を鍛えることで、土踏まずのアーチを内側から支える力を高めます。
タオル一つで手軽に行えるタオルギャザーは、扁平足の改善にもつながります。
- 椅子に座り、床にタオルを広げます。
- かかとを床につけたまま、足の指だけを使ってタオルをゆっくりと手前にたぐり寄せます。
- タオルをすべてたぐり寄せたら、今度は逆方向に広げていきます。
- この動作を5〜10回繰り返します。
タオルを握る動きも重要ですが、同じように握った指を広げる動きも重要です。1回ずつ丁寧に行うようにすると効果アップにつながります。
衝撃吸収を助けるインソールの選び方と活用法
靴の中にインソール(中敷き)を入れることで、足への負担の軽減も期待できます。
インソールを選ぶ際は、土踏まずのアーチをしっかりと支える形状のものや、かかと部分に衝撃吸収素材が使われているものを選びましょう。
スポーツ用品店や靴専門店では、個人の足の形に合わせて作製できるオーダーメイドのインソールもあります。
最初、何を選べばいいかわからない場合は、一度、専門家に相談するのがおすすめです。
普段履く靴に入れるだけで、歩行時の衝撃が和らぎ、痛みの予防・改善につながります。
立ち方や歩き方の見直し方
ストレッチや筋トレ以上に、日常の立ち方と歩き方の見直しは重要です。
どんなに他のセルフケアを頑張っても、土踏まずを潰してしまうような立ち方や、足首・足指をうまく使えない歩き方がクセ付いていると痛みの改善はむずかしいものです。
正しい立ち方としては、まずつま先と膝を正面に向け、親指の付け根、小指の付け根、かかとの3点に均等に体重を乗せることを意識します。

歩く際は、かかとから着地し、足裏全体に体重が移動し、最後に親指の付け根でしっかりと地面を蹴り出す一連の流れを意識することが、アーチ機能を活かした効率的な歩き方です。
痛みが続くなら専門家へ!受診を検討すべき症状のサイン
セルフケアを試しても痛みが改善しない、あるいは悪化する場合には、自己判断で放置せず専門家へ相談することが重要です。
以下のような症状が見られる場合は、整形外科などの医療機関の受診を検討してください。痛みの背景に、別の疾患が隠れている可能性もあります。
安静にしていても痛みが引かない場合
歩いているときだけでなく、座ったり横になったりして安静にしている状態でも痛みが続く場合は、注意が必要です。
特に、セルフケアを1〜2週間続けても症状にまったく改善が見られない、もしくは痛みが徐々に強くなっていると感じるなら、専門家による正確な診断と治療を受けることを推奨します。
炎症が強い状態や、別の原因が考えられます。
歩くのが難しいほどの激しい痛みがある場合
「痛くて足がつけない」「数メートル歩くだけで激痛が走る」など、日常生活に大きな支障をきたすほどの強い痛みがある場合は、速やかに医療機関を受診してください。
我慢して歩き続けると、症状を悪化させるだけでなく、痛みをかばうことで体のバランスが崩れ、膝や股関節、腰などに二次的な問題を引き起こすことにもなりかねません。
歩き方を工夫しても痛みが強い場合は、無理をしないことが肝心です。
足にしびれや熱感、明らかな腫れが見られる場合
土踏まずの痛みに加えて、足の指や足裏にしびれを感じる、触ってみて明らかに熱を持っている、左右の足が違うほど腫れているといった症状がある場合は、単なる筋肉や腱膜の炎症ではない可能性があります。
神経系の問題や、感染症、痛風などの他の疾患も考えられるため、自己判断はせずに必ず医師の診察を受けてください。
特に足が腫れて熱を持つような状態は、早急な対応が求められます。
土踏まずの痛みは何科を受診すればいい?
いざ病院へ行こうと思っても、何科を受診すれば良いか迷うかもしれません。
土踏まずの痛みで医療機関にかかる場合、症状や目的によって選択肢が異なります。
それぞれの特徴を理解し、ご自身の状況に合わせて選びましょう。
まずは正確な診断のために整形外科へ
土踏まずの痛みの原因を正確に特定するためには、まず整形外科を受診するのが第一選択です。
整形外科は骨、関節、筋肉、靭帯、神経といった運動器全般を専門としています。
レントゲンや超音波(エコー)、MRIなどの画像検査を用いて、骨に異常がないか、腱膜の状態はどうなっているかなどを客観的に評価し、痛みの原因を診断できます。
これにより、足底腱膜炎なのか、あるいは別の疾患なのかをはっきりとさせることが可能です。
痛みの緩和やリハビリは整骨院・接骨院も選択肢に
整形外科で診断が確定した後の、痛みの緩和やリハビリテーション、再発予防といった目的であれば、整骨院や接骨院を利用するのも一つの選択肢です。
整骨院や接骨院では、手技をつかった施術で筋肉の緊張をほぐしたり、物理療法(電気治療や温熱療法など)や運動療法を通じて、症状の改善を目指します。
ただし、正確な診断を下すのは医師の役割であるため、まずは整形外科で原因を特定してから相談するのが望ましい順序です。
痛みの再発を防ぐために日常生活で見直したいポイント
一度痛みが和らいでも、根本的な原因となる生活習慣を見直さなければ、再発を繰り返す可能性があります。
治療と並行して、日々の暮らしの中で足への負担を減らす工夫を取り入れ、痛みのない快適な状態を維持しましょう。
急に激しい運動をせずウォーミングアップを徹底する
健康のために運動を始めることは良いことですが、急に負荷の高いトレーニングを行うと足を痛める原因になります。
特にウォーキングやランニングを始める際は、短い距離からスタートし、徐々に時間や距離を伸ばしていくように心がけてください。
また、コンクリートの地面では足に負担がかかりやすいです。痛みが不安な場合は、運動場や土などなるべく地面が柔らかい場所を選びましょう。
運動前には、アキレス腱や足裏、ふくらはぎなどを中心としたウォーミングアップを必ず行い、筋肉や腱を温めて柔軟性を高めておくことが怪我の予防につながります。
適正体重を維持して、足への負担を軽減する
足への負担を根本的に減らすためには、適正体重を維持することも重要です。
体重が増加すると、歩行時や運動時に足裏にかかる衝撃もそれだけ大きくなります。
バランスの取れた食事を心がけるとともに、ウォーキングや水泳など、足への負担が少ない有酸素運動を継続的に行うことで、体重をコントロールし、足の健康を守ることにつながります。
土踏まずの痛みを、今すぐどうにかしたい人へ
「土踏まずの痛みを、今すぐどうにかしたい」「ストレッチを試してみたけどうまくいかない」
そんな方は、ぜひ体と痛みのプロである理学ボディにご相談ください。
土踏まずの痛みは、実は立ち方や歩き方が影響している事例が多く奥が深く難しいのも事実です。
人によって、どこを改善すべきかというポイントは、理学療法士などのプロの視点だからこそ見抜ける部分です。
症状は朝起きた時や歩く時に、かかとの土踏まず側に痛みがあり、それが何年も続いていて最近酷くなりました。 施術は合計3回で、回を重ねるごとに痛みが引きました。 今では痛みもほとんどなくなり、最初の痛みを10とすると今の痛みだと2以下ぐらいです。 技術的な側面からだと思いますが、費用はそれなりにかかるのであまり回数を重ねられませんでしたが、1ヶ月ほどここまで痛みがなくなったことには、納得もできるしとてもありがたいです。
当院は、医療系国家資格を持った理学療法士が、あなたの痛みや不調に全力でサポートします。ぜひ、理学ボディにご相談ください。
土踏まず 痛い 歩くとに関するよくある質問
ここでは、歩くと土踏まずが痛いという悩みに関して、多くの方が疑問に思う点についてお答えします。
適切な対処法を知り、足の痛みに関する不安を解消しましょう。
土踏まずが痛いときは温めるのと冷やすの、どちらが効果的ですか?
痛みが強く熱を持っている急性期は冷やし、慢性的な痛みには温めるのが基本です。
運動直後などでズキズキと痛む場合は、炎症を抑えるためにアイシングが有効です。
一方、長引く鈍い痛みや、朝起きたときのこわばりに対しては、温めて血行を促進することで筋肉や腱膜がほぐれやすくなります。
扁平足だと必ず土踏まずが痛くなるのでしょうか?
必ずしも痛くなるわけではありません。扁平足であっても、周囲の筋肉がアーチ機能を十分に補っている場合は、痛みを感じずに生活している方も多くいます。
しかし、加齢による筋力低下や体重増加、長時間の立ち仕事などが加わると、アーチを支えきれなくなり、痛みのリスクは高まる傾向にあります。
多少の痛みなら我慢して運動や仕事を続けても問題ないですか?
痛みを我慢して運動や仕事を続けることは推奨できません。
痛みは体からの危険信号であり、無視して負担をかけ続けると、症状が悪化したり、回復が長引いたりする可能性があります。
痛みが軽いうちに原因を見つけ、適切なケアや休息を取り入れることが、早期改善への近道です。
まとめ
歩くと土踏まずが痛い場合、その原因は足底腱膜炎や足のアーチ構造の崩れ、生活習慣など多岐にわたります。
まずは足の裏やふくらはぎのストレッチ、インソールの活用といったセルフケアを試してみてください。
しかし、痛みが長期間続く、歩行が困難である、しびれや腫れを伴うといった場合は、自己判断せず整形外科などの専門機関を受診し、正確な原因を特定することが重要です。
すこしでも、不安を感じる方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。
投稿者プロフィール

- 理学療法士/WEBメディア編集長
- 10年以上の医療・介護の現場経験を経て独立。著書に6刷を達成した『高齢者のからだ図鑑』など(Gakken出版)。現在は、東京都の高齢福祉事業にも従事。さまざまな現場経験をもとに、執筆・WEB発信・大学での講師業など分野問わず活動中。
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