立ち上がろうとすると腰が痛い!原因と痛みを和らげる3つの対処法を専門家が解説!

立ちあがろうとすると腰が痛い

この記事を監修している人:木城 拓也(理学療法士免許所有)

世界レベルの筋膜施術『Fascial manipulation(筋膜マニピュレーション)』を修得。全国100店舗超の「通わせない整体」として3回以内の最短で改善するアプローチを目指すプロフィール詳細→

木城先生

デスクワークなどで長時間座った後、立ち上がろうとした瞬間に腰に痛みが走ることはありませんか。

実は、デスクワーカーの多くの人が経験する悩みで、その主な原因は筋肉の硬さ体幹のインナーマッスルのはたらきにくさにある場合がほとんどです。

その場合、デスクワーク中にちょっとしたストレッチや、座り方の見直しをすることで痛みを軽減することも可能です。

しかし中には、痺れや歩行障害を伴うような危険なケースが含まれていることもあるので注意が必要です。

この記事では、理学療法士の視点から、立ち上がる時に腰が痛くなる原因を解説し、すぐに実践できる対処法や根本的な改善を目指すストレッチを紹介します。

自分の腰痛の原因を理解し、適切な対策を取りましょう。

この記事でわかること
  1. 立ち上がると腰が痛む主な原因
  2. デスクワークの合間にできる対策と、セルフケア
  3. 病院を受診すべき症状の見分け方と受診先

目次

立ち上がろうとすると腰が痛む【3つの原因】

座っている状態から立ち上がる際にだけ腰が痛むのには、いくつかの原因が考えられます。

そもそも腰痛は、厚生労働省の「2022年 国民生活基礎調査」で自覚症状の有訴者率が男女ともに第1位(男性113.3、女性111.9/人口千対)となるほど、多くの人が抱える身近な症状です(出典:厚生労働省「2022年 国民生活基礎調査の概況 Ⅲ 世帯員の健康状況」)。

多くは長時間同じ姿勢でいることによる筋肉の問題ですが、中にはぎっくり腰の前兆であったり、椎間板ヘルニアのような病気が隠れていたりする可能性も否定できません。

なぜ痛みが生じるのか、代表的な3つの原因について詳しく見ていきましょう。

原因①:長時間の同じ姿勢で股関節周りの筋肉が硬くなっている

立ち上がる時の腰痛の最も一般的な原因は、長時間座り続けることによる股関節周りの筋肉、特に「腸腰筋」の硬直です。

腸腰筋の硬さ

腸腰筋は背骨と太ももの骨をつなぐインナーマッスルで、座っている姿勢では常に縮んだ状態にあります。

この状態が長く続くと筋肉が柔軟性を失って硬くなり、立ち上がろうとして急に伸ばされる際に、付着している腰の骨を強く引っ張ってしまうため、痛みとして現れます。

この背景には、日本人の座位時間の長さもあります。

スポーツ庁によると、日本人の成人が平日に座っている時間は世界20カ国中もっとも長い1日7時間と報告されており、長時間の座位そのものが健康リスクを高めることが指摘されています
(出典:スポーツ庁Web広報マガジンDEPORTARE「日本人の座位時間は世界最長「7」時間!」)。

原因②:腰の骨(椎間板)に継続的な負担がかかっている

立っている時よりも座っている時の方が、腰の骨と骨の間でクッションの役割を果たす椎間板への負担が大きくなります。

椎間板ヘルニア

特に、背中を丸めた悪い姿勢で長時間座っていると、椎間板の特定の部分に圧力がかかり続けます。

この負担が蓄積した状態で立ち上がると、椎間板にさらに圧力が加わり、痛みを引き起こす原因となります。

この状態が進行すると、椎間板の中身が飛び出して神経を圧迫する椎間板ヘルニアにつながる危険性もあります。

原因③:体を支えるインナーマッスルがうまく働いていない

体を安定させる役割を持つ腹横筋や多裂筋といったインナーマッスルがうまく働いていないことも、立ち上がる時の腰痛の原因となります。

これらの筋肉が適切に機能していないと、姿勢を正しく保つことが難しくなり、腰への負担が増加します。

立ち上がる際は、本来であればインナーマッスルが先に収縮して体幹を安定させるのが理想的です。

しかし、これらがうまく働かないと、その代わりに腰の関節や周囲の筋肉に過剰な負荷がかかり、痛みを引き起こしてしまうのです。

立ち上がる時の腰の痛み【3つの対処法】

立ち上がる瞬間のつらい痛みを、今すぐどうにかしたいと感じる場合も多いはずです。

ここでは、

  • 腰への負担を減らす立ち上がり方のコツ
  • 硬くなった筋肉をほぐすための簡単なストレッチ

など、すぐに実践できる緊急対処法を3つ紹介します。

動作の前にひと工夫加えるだけで、痛みを大幅に軽減できる可能性があります。

※腰が痛い時に、「絶対にやってはいけないストレッチ」もあるので、すでに腰痛がある場合は一度確認しておきましょう。

対処法①:骨盤を意識して腰への負担を減らす立ち上がり方

痛みを避けるためには、腰を丸めずに股関節から動く「骨盤を立てる」立ち上がり方を意識することが重要です。

  • 椅子に浅く座り直し、両足を肩幅に開いて少し後ろに引きます。
  • 机や太ももに手をついて支えを作り、お辞儀をするように上半身を前に倒します。(この時、背中が丸まらないように骨盤から体を傾けるのがポイントです。)
  • 足の裏全体で床を押すようにゆっくりと立ち上がります。

この方法により、腰への負担を最小限に抑えられます。

実際に、健常者の立ち上がり動作を分析した研究では、お尻が座面から離れる局面で骨盤の前傾が増加することが報告されており、骨盤から体を傾ける動きが立ち上がりの土台になっていることがわかります(出典:井上ほか「立ち上がり動作の殿部離床相における体幹と骨盤に関係する運動の分析」理学療法科学, 2023)。

対処法②:椅子に座ったままでOK!立ち上がる前のストレッチ

長時間座った後は、立ち上がる直前に簡単なストレッチを取り入れ、筋肉の緊張をほぐすのが効果的です。

特に座りっぱなしで硬くなりやすい腰〜骨盤周りをほぐすのがおすすめです。

骨盤まわりのストレッチ
  • 椅子に座ったまま、両足を肩幅に開き、骨盤を起こします。
  • その状態で、骨盤を前に起こしたり、後ろに倒したりを数回繰り返します。

※急に動かさず、ゆっくり呼吸としながら行うのが効果的です。

立ち上がる前に骨盤を動かす準備をしておくことで、スムーズな立ち上がりをサポートします。

他にも「立ったままできる腰痛ストレッチ」もご紹介しています。立ち姿勢が多い方はこちらを参考にしてみてください。

対処法③:デスクワーク中におすすめ!腰痛予防の座り方

痛みの根本的な原因である座り方を見直すことも、大切な予防策です。

正しい座り方
  • デスクモニターはなるべく目線の高さに合わせる。
  • 椅子には深く腰掛け、骨盤を立てて背もたれにしっかりと体重を預ける。
  • 足の裏全体が床に着くように椅子の高さを調整し、膝が股関節と同じか少し低くなるように調整する。

椅子のサイズが合わず背中と背もたれの間に隙間ができる場合は、クッションやタオルを挟んで腰のカーブをサポートすると、腰への負担が軽減され、正しい姿勢を保ちやすくなります。

こんなときは要注意!病院に行くべきケース

立ち上がる時の腰痛の多くはセルフケアで改善が期待できますが、中にはぎっくり腰椎間板ヘルニアといった専門的な治療が必要なケースも潜んでいます。

セルフケアを試しても痛みが改善しない場合や、以下に挙げるようなサインが見られる場合は、自己判断で放置せず、早めに整形外科などの医療機関を受診することを検討してください。

サイン①:足に力が入らない、または痺れを感じる

腰の痛みに加えて、お尻から太ももの裏、ふくらはぎ、足先にかけて痺れや痛みを感じる場合は注意が必要です。

また、足に力が入りにくく、つま先立ちができない、スリッパが脱げやすいといった症状も危険なサインです。

これらの症状は、腰の神経が圧迫されている可能性を示しており、椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症といった病気が疑われるため、専門医による正確な診断が求められます。

サイン②:安静にしていても痛みが軽くならない、むしろ悪化する

体を動かしている時だけでなく、横になるなど安静にしている状態でも痛みが続く、あるいは夜中に痛みで目が覚めてしまうような場合は、単なる筋肉性の腰痛ではない可能性があります。

このような症状は、内臓の病気や感染症、場合によっては腫瘍などが原因で引き起こされていることも考えられます。

痛みが日に日に強くなる場合も同様で、速やかに医療機関を受診し、適切な検査と治療を受ける必要があります。

サイン③:排尿や排便にいつもと違う感覚がある

腰痛と同時に、尿が出にくい、頻尿になる、残尿感がある、逆に尿意や便意を感じにくいといった排尿・排便の異常が現れた場合は、極めて緊急性が高い状態です。

これは馬尾症候群と呼ばれ、腰の神経の束が重度に圧迫されていることを示します。

椎間板ヘルニアなどが重症化している可能性があり、放置すると後遺症が残る危険性もあるため、直ちに専門医による治療を開始しなければなりません。

理学療法士おすすめ!腰痛対策のセルフケア【3選】

その場しのぎの対処だけでなく、痛みを繰り返さない体を作るためには、日頃からのセルフケアが不可欠です。

特に、腰痛の原因となりやすい筋肉の硬さを解消し、柔軟性を保つためのストレッチは非常に効果的です。

ここでは、自宅で簡単に取り組める根本的なケア方法を紹介し、痛みの再発を防ぐための体づくりをサポートします。

ケア①:硬くなった「腸腰筋」を伸ばす簡単ストレッチ方法

立ち上がる時の腰痛の主な原因である腸腰筋の柔軟性を取り戻すためのストレッチです。

  • まず、床に右膝をつき、左膝を90度に曲げて立てます。この時、背筋はまっすぐに保ちます。
  • 次に、お腹に軽く力を入れながら、体重をゆっくりと前に移動させていき、右足の付け根が伸びているのを感じましょう。
  • 気持ちよく伸びる位置で30秒間キープし、呼吸は止めないようにします。
  • 反対側も同様に行います。

腸腰筋のストレッチングについては、方法の違いにかかわらず腰椎の可動域がある程度増加したとするランダム化クロスオーバー試験の報告もあり、続けることで腰まわりの動きやすさにつながることが期待できます(出典:HANほか「異なる腸腰筋ストレッチングが脊椎と骨盤に与える影響」理学療法科学, 2023)。

ケア②:「お尻の筋肉」の緊張をほぐして腰の負担を軽減する

お尻の筋肉(殿筋群)が硬くなると、骨盤の動きが悪くなり、結果として腰に負担がかかります。
この筋肉の緊張をほぐすストレッチも有効です。

お尻のストレッチ
  • 座った状態から、右足のくるぶしを左膝の上に乗せます。
  • 背筋をのばした状態で、ゆっくりとからだを前に倒していきます。
  • 右のお尻の筋肉が伸びているのを感じながら、30秒間キープします。
  • 呼吸を続けながら、反対側も同じように行いましょう。

ケア③:日常生活で腰痛を予防するために心がけたい3つの習慣

ストレッチと並行して、日々の生活習慣を見直すことも再発予防には重要です。

  1. デスクワーク中は少なくとも30分に1回は立ち上がり、少し歩いたり軽く体を動かしたりして、同じ姿勢が続くのを避ける。
  2. ウォーキングなどの適度な運動を習慣にし、体を支える筋力を鍛える。
  3. シャワーだけで済ませず湯船に浸かるなどして体を温め、血行を促進し筋肉の疲労を回復させることを心がける。

最初からすべてを実践するのは難しいですが、まずは①から取り入れてみましょう。それだけでも腰の負担は変わってきます。

Q&A:よくあるご質問

ここでは、立ち上がる時の腰痛に関して多くの方が抱く疑問について回答します。

立ち上がる時の腰痛は、温めるのと冷やすのではどちらが効果的ですか?

慢性的な筋肉の硬さが原因の痛みであれば、温めて血行を促進するのが効果的です。

一方、ぎっくり腰のような急性の炎症を伴う痛み(急性期)の場合は、冷やして炎症を抑えるのが基本です。

判断に迷う場合や痛みが強い場合は、自己判断せず専門家による診察や治療を受けてください。

デスクワーク中に、座ったままできる簡単な腰痛対策はありますか?

本記事で紹介しているような骨盤を前後に動かす(骨盤を立てる・寝かせる)といった軽い運動や、座ったまま腰をゆっくりと左右にひねる運動がおすすめです。

また、足首を回したり、かかとを上げ下げしたりするだけでも、下半身の血行が促進されます。

これらの簡単なストレッチをこまめに行い、筋肉が固まるのを防ぎましょう。

腰痛改善のためにコルセットを日常的に使うのは問題ないですか?

痛みが非常に強い時期に、動きをサポートするために一時的に使用するのは有効です。

しかし、長期間にわたって日常的に使用すると、体を支える腹筋や背筋が弱ってしまい、かえって腰痛を悪化させる可能性があります。

コルセットの使用は、医師や専門家の指導のもとで治療の一環として行いましょう。

いますぐ腰痛をどうにかしたい人へ

ここまで紹介してきた方法で腰痛が良くなる人もいれば、いまいち効果が出ないと悩む人もいるのではないでしょうか?

実は、腰痛をストレッチでケアするには限界があります。

というのも、筋肉や関節の動きが原因で起こる腰痛であればストレッチである程度改善できますが、原因がそうではない場合は難しくなってしまいます。

また、腰痛は反り腰や猫背といった普段の姿勢の崩れや、動きのクセなどとも深く関わっています。

いくらストレッチで伸ばしても、普段から腰に負担のかかる姿勢や歩き方をしていると効果は得られません。

そんな時は、一度専門家に相談するのがおすすめです。

あなたの腰痛の本当の原因を見極められる体のプロに実際にみてもらうことが、改善の近道となります。

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立ち上がる時の腰の痛み【まとめ】

立ち上がろうとすると腰が痛む主な原因は、長時間の座位による腸腰筋などの筋肉の硬直や、椎間板への継続的な負担にあります。

この痛みは、腰に負担をかけない立ち上がり方を意識したり、立ち上がる前に簡単なストレッチを行ったりすることで軽減できる場合があります。

日頃から正しい座り方を心がけ、腸腰筋やお尻の筋肉のストレッチを習慣化することが根本的な再発予防となります。

ただし、足のしびれや安静時痛など、危険なサインが見られる場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。

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参考・出典

  • 厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況 Ⅲ 世帯員の健康状況」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa22/dl/04.pdf
  • 厚生労働省「腰痛予防対策」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_31158.html
  • スポーツ庁Web広報マガジンDEPORTARE「日本人の座位時間は世界最長「7」時間!座りすぎが健康リスクを高める」 https://sports.go.jp/special/value-sports/7.html
  • 日本シグマックス株式会社「働く人を対象にした『腰痛の発生状況とその対策に関する実態調査』」2024年 https://www.sigmax.co.jp/news/6513/
  • HAN Yuzuo, 黒澤和生「異なる腸腰筋ストレッチングが脊椎と骨盤に与える影響─ランダム化クロスオーバー試験─」理学療法科学 38(2), 115-123, 2023 https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika/38/2/38_115/_article/-char/ja
  • 井上直人ほか「立ち上がり動作の殿部離床相における体幹と骨盤に関係する運動の分析」理学療法科学 38(3), 161-168, 2023 https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika/38/3/38_161/_article/-char/ja

投稿者プロフィール

kaho nagashima
kaho nagashima理学療法士/WEBメディア編集長
10年以上の医療・介護の現場経験を経て独立。著書に6刷を達成した『高齢者のからだ図鑑』など(Gakken出版)。現在は、東京都の高齢福祉事業にも従事。さまざまな現場経験をもとに、執筆・WEB発信・大学での講師業など分野問わず活動中。

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