絶対にやってはいけない腰痛ストレッチ・運動とは?症状別の対処法まで

絶対にやってはいけない腰痛ストレッチ

この記事を監修している人:木城 拓也(理学療法士免許所有)

理学療法士の国家資格を取得後、都内のスポーツ整形外科クリニックで医師と連携しつつプロスポーツ選手や箱根駅伝選手などを担当し、技術を磨いてきました。その過程でイタリアの医師が考案した国際コースである『Fascial manipulation(筋膜マニピュレーション)』のコースを修了しています。筋膜を通じて痛みに悩まされている人を救いたいです。

木城先生

腰痛ストレッチや運動を続けても、全然よくならない・・・。

腰痛でやってはいけない体操やストレッチはある

そんな不安や疑問を抱えている方へ。

実は、腰痛ストレッチ・予防運動の中で絶対にやってはいけないストレッチがあるのをご存知ですか?

 

そもそも、腰痛に効果的なストレッチは、万人に通ずるものではありません。

本当に効果的なストレッチを見分けるために、以下の3要素を考慮する必要があります。

本当に効果的なストレッチを見分ける3要素
  • 腰痛の原因は何か
  • 腰痛の出る動きは何か(曲げるか反るか)
  • 痺れはあるのか

何も知らずにやってはいけないストレッチをしてしまった場合、ぎっくり腰を併発する・痛みが強くなるなどの危険性があります。

本記事では、身体の専門家である理学療法士の知識から、『絶対にやってはいけない腰痛ストレッチ3パターン』と腰痛改善ができる正しいストレッチ解説します。

 

絶対にやってはいけない腰痛ストレッチ・運動【3パターン】

ストレッチのやり方が間違っている人もいる

絶対にやってはいけない腰痛ストレッチ・運動の3パターンは

  1. 勢いをつけたストレッチ・運動
  2. 時間が短すぎるストレッチ・運動
  3. 息を止めたままのストレッチ・運動

です。

他にも、ストレッチ・運動のやり方が間違っている=やってはいけないストレッチにつながっている可能性があります

それぞれの理由と具体的な内容を解説します。

 

①勢いをつけたストレッチ・運動

腰が痛い方がやってはいけないストレッチ・運動の一つ目は、勢いをつけたストレッチ・運動です。

腰痛ストレッチには、

  • ゆっくりとじわじわ伸ばすスタティックストレッチ
  • 反動をつけて伸ばすバリスティックストレッチ

の2種類があります。

 

スタティックストレッチはゆっくりと筋肉を伸ばすので、安全に筋肉の柔軟性を高めることができます。

一方、バリスティックストレッチは反動をつけて筋肉を伸ばすので、ゆっくりと伸ばすスタティックストレッチより効果が高いというメリットもあります。

 

しかし、急激に筋肉や腱が伸ばされるので、筋肉や腱の損傷や炎症が起こる可能性があり、それによって余計に腰を痛くする恐れがあります。

 

②時間が短すぎるストレッチ・運動

腰が痛い方がやってはいけないストレッチ・運動は、極端に時間が短すぎるストレッチです。

ストレッチには、効果が出やすい時間がありますが、あまりにもストレッチする時間が短すぎると、効果は得られないため要注意です。

 

目的によっても最適なストレッチの時間は異なるため、以下を参考に実施しましょう。

  • 筋肉の柔軟性・関節の動きの向上:2~3分程度
  • ウォーミングアップ・運動パフォーマンス向上:30~40秒程度

腰痛持ちの方の場合は、前者の筋肉の柔軟性を改善するという目的の方が適しています。

※2分間伸ばしたままだとつらい人は、20~30秒、数回に分けて伸ばす方法で無理なくじっくり行うのがおすすめです。

 

③息を止めたままのストレッチ・運動

腰が痛い方がやってはいけないストレッチ・運動として、息を止めた状態でのストレッチも要注意です。

ストレッチ・運動をする時、無意識に息を止めている方がいますが、これも良くありません。

息を止めると、筋肉には力が入りやすく、力を出したい時には良いですが、ストレッチは筋肉を伸ばしたいので逆効果です。

ストレッチするのであれば、無理のない範囲で呼吸を続けながらするのが良いでしょう。

 

続いて、腰の痛みの誘発原因や症状からやってはいけない腰痛ストレッチ・やるべき腰痛ストレッチを判断する方法をお伝えしていきます。

 

【症状別】腰痛でやってはいけないストレッチ・運動

そもそも、絶対にやってはいけない腰痛ストレッチ・運動とは、結論「腰に負担が強くかかるストレッチ」です。

人によって「腰を曲げると痛い」「腰を反ると痛い」「痺れがある」など腰痛の症状は様々ですが、この症状によって絶対にやってはいけないストレッチは変わってきます

それぞれについて、具体的に解説していきます。無理なストレッチで痛みが悪化しないよう症状と照らし合わせて確認していきましょう。

 

1.腰を曲げると痛い場合

腰を曲げる痛い方の場合、曲げる動きを伴うストレッチは絶対にやってはいけません。

また、よくある腹筋運動のような動作も要注意です。

 

腰を曲げることで痛みがある場合腰椎椎間板ようついついかんばんヘルニアの危険性が考えられます。

腰椎椎間板ヘルニアでは、腰を曲げることで椎間板に過度のストレスがかかり、症状が悪化することがあります。

椎間板ヘルニア

過去に腰椎椎間板ヘルニアと診断されたことのある場合や、腰を曲げると痛みが出る場合は、腰を曲げて行うストレッチはやめましょう。

 

また、腰は曲げると関節が不安定になります。

腰は反らすと関節が安定し、曲げると不安定になるという特徴があります。

なので、腰の筋肉が硬い場合は、腰を曲げてストレッチするのは有効です。

ですが、腰の筋肉ではなく、裏ももやおしりの筋肉が硬い場合は、腰のストレッチをすると逆に不安定になり、痛みを起こしやすくなります。

その場合は、腰ではなく、裏ももやおしりのストレッチを行いましょう。

要は、痛いからストレッチしておけば良いわけではなく、「筋肉が原因で関節の動きが悪い場合、ストレッチをしましょう」ということです。

 

2.腰を反ると痛い場合

腰を反ると痛い方の場合、腰を反る動きを伴うストレッチは絶対にやってはいけません

この場合、腰を反ると痛みや痺れが生じる腰部脊柱管狭窄症を併発している危険性があります。

たとえば、腰部脊柱管狭窄症ようぶせきちゅうかんきょうさくしょうでは、安静にしている時にはほとんど症状はありませんが、背筋を伸ばして立ったり歩いたりすると、ふとももや膝から下にしびれや痛みが出て歩きづらくなります。

参照元:公益社団法人 日本整形外科学会

腰部脊柱管狭窄症は、腰を伸ばしたり反った時に痛みが出ます。(他にも腰椎すべり症も反ると痛みがでます。)

過去に腰部脊柱管狭窄症と診断されたことのある場合や腰を反ると痛い場合は、腰を反らして行うストレッチはやめましょう。

たとえば、

  • うつ伏せで背中を持ち上げてお腹を伸ばすようなストレッチ
  • ブリッジのような背中を大きく反る姿勢のストレッチ
腰痛でやってはいけないストレッチ

これらは腰を反らすので、痛みを強くしてしまう恐れがあります。

(※腰部脊柱管狭窄症の方がやってはいけないストレッチを解説したページで、具体的な方法を解説しています。)

3.腰にしびれがある場合

腰やおしり、太もも、ふくらはぎなどにしびれがある場合、神経を過度に圧迫したり伸ばしたりするストレッチは絶対にやってはいけません。

というのも、しびれがある場合では坐骨神経痛など、神経が圧迫されていたり、伸ばされたり、炎症を起こしていることで生じる疾患を併発している可能性があります。

ストレッチで余計に神経を伸ばしてしまうと、それにより負担がかかり、しびれを強くしてしまう恐れがあるので注意しましょう。

 

たとえば、膝を伸ばし、手をつま先に向かって伸ばすようなストレッチでは、坐骨神経が最も伸びる姿勢なので、しびれを強くしてしまう可能性があります。

腰痛でやってはいけないストレッチ

坐骨神経は腰から出ていますが、元をたどると腰から出ている神経は頭から降りています。

そのため、首を曲げたり、背中を丸めても坐骨神経が伸ばされ、負担がかかるので、しびれがある時にこのようなストレッチはやめましょう。

【5分で簡単】腰痛の症状チェックと予防ストレッチ・運動方法

「腰を曲げると痛い」「腰を反ると痛い」「しびれがある」の症状別に、やるべきストレッチ方法は変わります。

また、本当に効果的な方法を探るには、どこに原因があるかを実際にチェックしてみないとわかりません

痛みの原因の具体的なチェック方法から、実際のストレッチ・運動まで、症状別にわかりやすく解説していきます。

1.腰を曲げると痛い場合

腰を曲げると痛い方は、体の前側より後ろ側の筋肉の硬さが原因で関節の動きが悪くなっていることが多いです。

後ろ側の筋肉が硬いと腰を曲げる動きが制限され、それによって痛みが出ます。

この原因は大きく2つあり、腰の筋肉か、あるいは裏ももやおしりの筋肉が硬いのかが考えられます。

どっちが原因か、以下の方法でチェックしてみましょう。

  • 足を伸ばして座り、手をつま先に伸ばす
  • 膝を少し曲げて座り、手をつま先に伸ばす

裏ももやおしりの筋肉が硬い人では後者の方が体を倒しやすくなります

それは、膝を曲げると裏ももの筋肉が緩んで、腰を曲げやすくなるからです。

このように、裏ももの硬さが腰の曲げやすさに関係するので、裏ももが硬い場合は腰ではなく、裏もものストレッチを優先しましょう

(※動画で裏もものストレッチを解説しています。)

 

2.腰を反ると痛い場合

腰を反ると痛い場合、実は腰ではなく背中の硬さが原因で痛くなっているというケースが圧倒的に多いです。

この場合、動いている部位(腰)ではなく、動いていない部位(背中)へのストレッチが効果的です。

具体的には以下のようなストレッチです。

  1. 椅子に腰かけ、へそお腹の奥に引き込むように軽く腰を丸める
  2. そのまま両手を頭の後で組んで開く
  3. 10~20秒キープする

背筋を伸ばす時に、背中が硬くて伸びにくい場合、その分を腰でかばって反らしてしまう人がいますが、この場合、腰は動かない背中の分まで必要以上に反っていることになります

これでは腰の骨や関節、筋肉に負担がかかって痛みにつながってしまいます。

そのため、それ以上腰を反らすようなストレッチではなく、背中を伸ばすようなストレッチをする必要があるということになります。

 

3.腰にしびれがある場合

腰にしびれがある場合は、硬くなって神経を圧迫しているお尻の筋肉を伸ばすストレッチが効果的です。

しびれなどの症状が出る坐骨神経痛では、坐骨神経の周囲にあるお尻や下半身の筋肉が硬くなっていることが原因となっています。

その場合、以下のようなお尻周りのストレッチや下半身のストレッチで神経の圧迫を改善するのが効果的です。

坐骨神経痛は、動きや姿勢のクセが症状の悪化につながるケースが非常に多いです。

坐骨神経痛でやってはいけないことを具体的に説明したページで一度確認してみましょう。

頭や腰をなるべく丸めないように、下半身だけを伸ばすことで、神経に負担をかけずに筋肉を伸ばすことができます。

 

腰痛ストレッチでも良くならない人へ

ここまで紹介してきた方法で腰痛が良くなる人もいれば、いまいち効果が出ないと悩む人もいるのではないでしょうか?

 

実は、腰痛をストレッチでよくするには限界があります。

というのも、筋肉や関節の動きが原因で起こる腰痛であればストレッチである程度改善できますが、原因がそうではない場合は難しくなってしまいます。

 

また、腰痛は普段の姿勢や動きのクセなどとも深く関わっています。

いくらストレッチで伸ばしても、普段から腰に負担のかかる姿勢や歩き方をしていると効果は得られません。

 

そんな時は、一度専門家に相談するのがおすすめです。

あなたの腰痛の本当の原因を見極められる体のプロに実際にみてもらうことが、改善の近道となります。

 

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絶対にやってはいけない腰痛ストレッチ【まとめ】

一口に腰痛といってもその原因や痛みの出方は人それぞれです。

腰痛ストレッチもその人に合った方法でやらなければ効果は得られません。

それどころか、知らずにやってはいけないストレッチをしてしまっていた場合は腰痛をかえって悪化させてしまう危険性すらあります。

本記事でお伝えした内容を参考に、

  • どんな動きで腰が痛いのか
  • どんなストレッチはやってはいけないのか
  • どんなストレッチをするべきなのか

を考えて、今日から正しくストレッチを実践していきましょう。

 

それでも、

「痛みがなかなか取れない」

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という人は、僕たち専門家にぜひ一度ご相談ください。

 

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最近、当院は、ありがたいことに来院される方が増え、毎月予約が取りづらい状態です。

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そのため、当院にて早めに「施術」を検討される方は、ぜひ、お近くの店舗を覗いていただき、予約があるかを確認頂けると幸いです。

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よくある質問

腰が痛い時、ストレッチ・運動をしてもいいですか?

痛みで動けない、生活に支障が出ている場合は、無理なストレッチが悪化の原因となってしまう可能性もあります。

このような場合は、早めに整形外科などの医療機関に受診し、ストレッチなどの可否を確認すると安心です。

慢性的な痛みや軽度の痛みであれば、本記事で紹介したストレッチを参考に無理のない範囲で実践してみましょう。

 

絶対にやってはいけないストレッチ・運動はありますか?

腰痛の人が絶対にやってはいけないストレッチ・運動は腰に無理な負担がかかるものです。

その代表例が本文で紹介した「勢いをつけたストレッチ」「時間が短すぎるストレッチ」「息を止めたままのストレッチ」の3つです。

そして、この他にも症状別で「曲げる動作」「反らす動作」がNGとなる場合があります。

 

腰痛はどこの筋肉を伸ばすとよいですか?

痛みの原因がどこにあるかにもよりますが、慢性腰痛の場合はお尻にある梨状筋や、太もも裏のハムストリングスが硬くなり腰の負担になっているケースが多いです。

上記のストレッチに関しては、本文で具体的な方法を紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

他にも、脊柱起立筋や広背筋、腰方形筋などの背中の筋肉のストレッチも有効です。

 

投稿者プロフィール

ナガシマカホ
ナガシマカホ
【青山筋膜整体 理学BODY WEB編集長】理学療法士歴10年以上 総合病院⇨介護・予防分野⇨様々な経験を経て独立。臨床で得た知識をもとに、書籍の執筆・WEB発信・セミナー講師など分野問わず活動中。

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