ぎっくり腰になってしまったけど、仕事を休めない。
ぎっくり腰を正しく即効で治したい。
突然のぎっくり腰で、このように悩んでいませんか。
ぎっくり腰は「急性腰痛症」と呼ばれ、何かのきっかけで突然腰に激しい痛みが走る状態を指します。
痛みの程度は人によって異なり、軽度であれば歩けることもありますが、重度になると全く動けなくなることもあります。
適切な対処をしないと症状が悪化したり、慢性化したりする可能性もあります。
本記事では、医療系国家資格者である理学療法士の視点から、ぎっくり腰を少しでも早く治すための正しい知識と方法を解説しています。ぜひ最後までご覧ください。
- ぎっくり腰の症状レベルを見極める方法
- 発症直後〜症状の経過に合わせた適切な対処法
- くらしで実践するべき、ぎっくり腰の再発予防策
ぎっくり腰を即効で治す方法はある?
結論、ぎっくり腰を即効で治す方法はありません。
ぎっくり腰は、正式には急性腰痛症といいます。これは、腰痛が発症してから4週間以内のものを指します。(参考:Medical Note)
身体の筋肉や靭帯、関節に何らかのストレスが生じて炎症が起きているサインです。
炎症が治まるまでには、通常数日から1週間程度の期間が必要となるため、即効で完治することは難しいです。
しかし適切な応急処置を行い、症状や経過によって必要な対処がとれるかどうかが大切となります。
ぎっくり腰が起こる原因や痛みの状態に合わせて適切に対処しましょう。
ぎっくり腰(急性腰痛症)の原因は?
ぎっくり腰による痛みの原因は様々ですが、なんらかの理由で腰に負担がかかり、関節や椎間板、筋肉が耐え切れずに損傷することが考えられます。
その結果、急性的な腰痛が起こります。
一般的にぎっくり腰が起きやすいタイミングは以下の通りです。
- 重い物を持ち上げたとき
- 咳やくしゃみをしたとき
- 寝具から身体を起こそうとしたとき
ぎっくり腰の症状【軽度〜重度】
ぎっくり腰の症状は、軽度〜重度と程度の差があります。
症状の度合いによって取るべき対処法や、なかには危険が病気が隠れているケースもあるため見極めには注意が必要です。
特に痛み以外にも症状がある方は、注意が必要です。
ぎっくり腰のレベル|①軽度の場合
少し痛みがあるが歩ける方は、軽度な腰痛である可能性が高いでしょう。
生活を送るには支障がない程度の痛みですが、前かがみになったり、腰を反らしたりする動作は痛みが出やすいと言えます。
軽度の痛みは、安静にすることで自然に痛みや炎症が回復する可能性が高く、痛みが落ち着いてきたら少しずつ軽いストレッチを行っていきましょう。
痛みが気になる方は、迷わず整形外科にを受診しましょう。
ぎっくり腰のレベル|②中等度の場合
安静にしていても痛みを感じたり、痛み以外に腫れや熱感などの症状があったりする場合、中等度の腰痛の可能性が高いでしょう。
その場合、氷嚢やビニール袋に氷水を入れて患部を冷やすのが効果的です。
早く治したいからと保冷剤でアイシングをするのは避けましょう。
温度がマイナス以下になっているため、凍傷を起こす危険性があります。
炎症が落ち着いたら少しずつ身体を動かしましょう。
ぎっくり腰のレベル|③重度の場合
痛みが強くて動けない方は、重度の腰痛と考えられます。
痛みが強いまたは痺れがある場合には、すぐに医療機関を受診しましょう。
重度の場合、以下の病気の可能性も考慮する必要があります。
- 椎間板ヘルニア
- 腰部脊柱管狭窄症
- 骨折やがん
- 椎間板の感染症
最短で症状を和らげる!ぎっくり腰の正しい治し方5選
ぎっくり腰を発症してしまったら、まずは整形外科を受診して正しく診断してもらうのが大切です。
どの程度の症状なのかを医師に診てもらった後に、症状の程度に合わせた対処法を行いましょう。
整形外科の受診後のぎっくり腰への対処法として、安静にすることや、痛みに応じてコルセットを利用することなどが考えられます。
ここでは代表的な治療法をお伝えしていきます。
安静に過ごす
痛みが強い時期は炎症が起きているため、無理に身体を動かさずしっかりと休めましょう。
ぎっくり腰が起きたときと同じような姿勢や前に身体をかがむ、腰を反らす、捻るといった動作はやめましょう。
安静にする場合は、以下のような姿勢が効果的です。
- 仰向けの場合、膝を立てるか足が高くなるようクッションを入れる
- 横向きの場合、背中を軽く丸めて足の間にクッションを入れる
患部を冷やす(アイシング)
痛みのある部位に腫れや熱感がある場合、冷やすと炎症を抑えられます。
痛みが強い時期にアイシングで使用するものとしては、以下のものがおすすめです。
- 冷湿布
- 氷嚢
- 氷水をいれたビニール袋
アイシングはあくまで炎症を抑える手段のため、患部が冷えたらアイシングをやめましょう。
コルセットを利用する
「痛みがまだ残っているけれど、仕事や家事をしなければならない」など、動かなければならない時に頼りになるのがコルセットです。
コルセットで局所的に固定すると、炎症を起こしている筋肉に変わって腰をサポートしてくれます。
これにより一時的に痛みが和らいだり、動かすのが楽になることがあります。
また、無理な動きを抑制することにつながり、痛みや症状のさらなる悪化を防ぐこともできます。
コルセットは形状や材質によってその効果は異なります。必ず医師の相談のもと、自分の症状にあったものを選んで着用することが重要です。
適切に着用することで日常生活の支えにもなりますが、着用のしすぎは過度の安静により筋力の弱化につながってしまうため注意が必要です。
整形外科や整体院を利用する
一度診断してもらった後で、なかなか痛みが改善しない場合や、増悪により生活に支障が出ている場合、整形外科を再度受診するのが重要です。
また増悪はないけれど、なかなか重だるさが改善しない場合は、整体院で体の状態を専門家に見てもらうこともおすすめです。
自分の症状にあったストレッチや対処法などを正しく指導してもらうことで回復を早めることができます。
このとき、特におすすめなのが理学療法士など、体や動きの専門家がいる整体を選ぶことです。
ぎっくり腰の施術経験が豊富な整体を選ぶことが、なによりも重要です。
※ 当院でのぎっくり腰の施術については「ぎっくり腰の対処法」で詳しく紹介しています。
痛み止めの薬や湿布を活用する
痛みを少しでも早く和らげる手段として、痛み止めの薬や湿布の活用も一つの選択肢となります。
市販のロキソプロフェンやイブプロフェンなどの非ステロイド性消炎鎮痛薬は、炎症を鎮め痛みを軽減する効果が期待できます。
湿布には冷感タイプと温感タイプが存在し、発症直後の患部に熱感がある時期は冷感タイプを選ぶとよいです。
ただしこれらは一時的な対症療法であり、根本的な原因を解決するものではない点に注意が必要です。
※ 痛みが続く場合は、まずは受診をおすすめします。
ぎっくり腰を早く治すには?経過別の対処法
ぎっくり腰を少しでも早く治すには、経過時期に適切な対処法が必要です。以下で確認しましょう。
痛みが強い急性期(目安:発症〜2日目)
痛みが強い急性期の時期には、痛みを悪化させない範囲で日常生活を送り、患部に負担をかけないようにしましょう。
- 腫れや熱感がある方は、アイシングを行なう
- 市販または病院から処方されたコルセットで患部を固定する
痛みが強くまったく動けなかったり、痺れがあったりする方は、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。
動き出せる亜急性期(目安:3日目〜6日目)
急性期を脱し、病状が安定に向かう時期が亜急性期です。
痛みが落ち着いてある程度動けるようになったら、前かがみや腰を反らさない動きから少しずつ体を慣らしていきましょう。
上記で痛みの増悪がない場合は、下記で紹介するストレッチなどを行いましょう。
違和感がなくなる慢性期(目安:7日目以降)
7日目以降で痛みや違和感がなくなったら、ぎっくり腰の再発予防のためしっかりと運動を行いましょう。
コルセットを使用している場合は、少しずつ外す時間を増やしましょう。
この時期にコルセットに慣れてしまうと、筋肉が十分に鍛えられず身体も硬くなってしまう可能性があります。
理学療法士おすすめのセルフストレッチ
ぎっくり腰の場合、症状の経過によって必要となるストレッチが変わります。
最も重要なのは、その時期を間違えないことです。腰痛の場合痛みの具合によってやってはいけないストレッチもあるので、注意しましょう。
痛みが強い時期急性期から慢性期にかけて、それぞれに効果的なストレッチを紹介します。
是非、参考にしてみてください。
痛みが強い急性期(目安:発症〜2日目)
急性期のぎっくり腰では、発症直後の1~2日程度の安静が必要となるケースがあります。
ただし、長期間安静にしすぎてしまうと回復を遅らせる可能性があるため、痛みに合わせて無理のない範囲で活動を続けることが推奨されています。
痛みの状態に合わせて無理のない範囲で、以下のストレッチや腹式呼吸などを行いましょう。
ポイントは、痛みのある腰ではなく、股関節やお腹周りを動かすことです。
※ 急性期に自己判断でストレッチを行うと、症状が悪化する可能性もあります。痛みがでたら直ちに中止しましょう。
腹式呼吸
ぎっくり腰のときは背筋に強い負担がかかっています。
腹式呼吸で体幹を安定させ、背中の負担を減らしましょう。
腹式呼吸をすることで胸筋膜を通して、インナーマッスルを活性化できます。
それによって腰の筋肉の負担軽減が期待できます。
開始姿勢:仰向けで膝を立てる
- お腹を触り腹筋を感じる
- 息をゆっくりと吐き、腹筋を意識する
股関節周りのストレッチ
股関節の後面にある大殿筋(だいでんきん)のストレッチを紹介します。
大殿筋の柔軟性を確保することで腰の負担を減らし、痛みを軽減する効果があります。
開始姿勢:仰向け
- 片足を抱える
- 反対の肩に向かってひねる
- そのまま姿勢が崩れないよう意識する
動き出せる亜急性期(目安:3日目〜6日目)
痛みが落ち着いてきたら、身体の柔軟性を取り戻すためにストレッチを行います。
少しずつ腰のストレッチを行う
極度なストレスで硬くなっている背中の筋肉を柔らかくしていきます。
恐怖心を徐々に減らしていく訓練にもなるため、運動を開始する際に最もおすすめです。
開始姿勢:仰向け
- 両足を抱える
- 足を身体に引き寄せ丸くなる
- 背中をしっかりと丸めるように意識する
おしりの筋肉を使って安定性を強化
おしりの筋肉を強化し、腰痛の再発予防を図ります。
背中の筋肉とつながりのある臀部を強化することで、骨盤の安定性を高める効果が期待できます。
開始姿勢:仰向けで膝を立てる
- 両足を使ってゆっくりとおしりを持ち上げる
- 腰を使わないように意識しゆっくりと下ろす
違和感がなくなる慢性期(目安:7日目以降)
痛みや炎症を感じなくなったら、再発予防のためにしっかりと運動を行いましょう。
普段の生活でもゆっくりと腰を動かす意識を持つことが重要です。
腰の運動で不安を取り除く
腰痛が再発することへの不安や恐怖心で全身の緊張が高まってしまい、腰の痛みが再発する場合があります。
そのため、恐怖心を取り除くためにゆっくりと腰の運動を行いましょう。
開始姿勢:椅子に座った姿勢
- 身体をかがめ足の甲を触る
- ゆっくりと身体を後方へ傾ける
- 元の姿勢にゆっくりと戻る
股関節の使い方の見直し
腰の負担を減らすためには、股関節の使い方を見直すのがおすすめです。
実際、腰痛で悩むお客さんの中でも、股関節が硬く、またうまく使えていないことで、その負担を腰でカバーしているケースが多くみられます。
股関節を正しく使うことで、腰の負担を軽減する効果が期待できます。
立った姿勢で簡単に股関節の動きを見直す方法を紹介します。
開始姿勢:立った姿勢
- 両足を開き、手を足の付け根におく
- 足の付け根を引き込むように、股関節を曲げる
- ゆっくりと戻る
スクワットのような動きですが、立つ時・座る時にこの動作を確認することで、股関節の使い方を見直すことができます。
他にも、仕事や家事の合間にできる「立ったまま腰痛ストレッチ|1分で簡単!理学療法士おすすめ「ながらケア」」もおすすめです。
ぎっくり腰の再発予防の注意点5つ
つらいぎっくり腰を再発させないために、5つの注意点を紹介します。
その注意点は、以下のとおりです。
- 普段の姿勢を見直す(特にデスクワーク)
- 適度な運動で筋肉を落とさない
- 重い物の持ち方に気をつける
- 寝るときの姿勢を見直す
- ストレスをため込まない
普段の姿勢を見直す(特にデスクワーク)
普段の姿勢を見直す際に特に重要となるのが「座り姿勢」です。
日本人は平均7時間も座っていると言われています。デスクワークがメインの人は、それ以上の時間を座って過ごしていることになります。
姿勢による腰の負担は、座っている時が一番大きく、普段の座り姿勢を見直すことはとくに重要です。
- 床に足をつける
- 骨盤を起こして座り、背もたれに寄りかからない
- デスクワークでは、モニター画面を視線の位置に合わせる
といった小さな工夫から、腰への負担を減らしていきましょう。
正しい座り方、デスクワークの合間におすすめのストレッチは「座ると腰が痛い原因|理学療法士が姿勢改善ストレッチと対処法、正しい座り方を解説!」で詳しく紹介しています。
適度な運動(ウォーキングとランニング)
普段運動をしない方も、ぎっくり腰を起こした後は運動の習慣化が大切です。
運動療法は、腰痛症に対してしっかりとした効果が判明しています。
腰痛診療ガイドライン2019では慢性的な腰痛に運動療法を推奨しており、本記事で紹介した運動やウォーキングなどの全身運動も効果的です。
また、運動習慣としてランニングを始めたら腰を痛めてしまったという人もいます。
その場合はランニングのフォームや、やり方が問題となっているケースも少なくありません。
ランニングによる腰痛でお悩みの方は、「ランニングで腰痛になる原因と対策」を読んで対策していきましょう。
物を持ち上げるときの注意点
前かがみの姿勢は、腰の椎間板にかかる負担が立っているときの約2.2倍に高まると言われています[1]。
物を持つときは、前かがみを避け、持つものを体に引き寄せることが大切です。
同じ重さでも、体に近づけて持つだけで、離して持つ場合の約6割に負担を抑えられるといわれています[1][2]。
床から持ち上げるときは、片足を少し前に出して膝を曲げ、腰を十分に下ろして荷物を抱え、膝を伸ばしながら立ち上がりましょう[2]。
幅の広い荷物なら、片膝をついて荷物に近づく方法もおすすめです。
どの方法でも、「荷物と腰の距離を縮めること」が負担を減らすいちばんのポイントです[3]。
寝るときの姿勢に注意する
寝る時の姿勢でなるべく避けたいのは、仰向けの姿勢で寝ることです。仰向けの状態では、腰を反らす方向へストレスがかかりやすくなります。
そのため、なるべく横向きの状態で寝るのがおすすめです。横向きで、抱き枕などを使用するのもおすすめです。
どうしても仰向けでないと眠れないという人は、膝下にクッションを入れると適度に腰の負担を軽減できます。可能な範囲で工夫してみましょう。
ストレスを軽減する
実は心理的ストレスも、腰に対して負担がかかります。ある一定のストレスがたまると、身体化という症状が起こります。
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引用:厚生労働省
身体化の症状のなかに腰痛や背中の張り感があり、おもに血行不良が影響しているとされています。
心理ストレスを減らすために、身体と心を休める工夫も大切です。
まとめ
ぎっくり腰は、主に筋肉や靭帯、関節へのストレスが原因となって起こります。
急性期には、痛みの程度に合わせて無理のない範囲で体を動かすことが推奨されており、過度な安静は回復を遅らせる可能性があります。
痛みが強く動けない場合は、すぐに医療機関へ相談しましょう。
もし病院や治療院へ通ってもなかなか症状が改善しない場合は、筋膜施術のプロである私たちに一度ご相談ください。
参照情報
[1]Wilke HJ, Neef P, Caimi M, Hoogland T, Claes LE. New in vivo measurements of pressures in the intervertebral disc in daily life. Spine. 1999;24(8):755-762.
https://www.fonar.com/pdf/spine_vol_24.No.8.pdf
[2]中央労働災害防止協会(監修)「腰痛予防対策講習 ~予防は治療に勝る~」(厚生労働省掲載資料)
https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/000564051.pdf
[3]Kingma I, Faber GS, Bakker AJM, van Dieën JH. Can low back loading during lifting be reduced by placing one leg beside the object to be lifted? Physical Therapy. 2006;86(8):1091-1105.
https://research.vu.nl/ws/files/43522568/Kingma_PhysTher_2006.pdf
投稿者プロフィール

- 理学療法士/WEBメディア編集長
- 10年以上の医療・介護の現場経験を経て独立。著書に6刷を達成した『高齢者のからだ図鑑』など(Gakken出版)。現在は、東京都の高齢福祉事業にも従事。さまざまな現場経験をもとに、執筆・WEB発信・大学での講師業など分野問わず活動中。


木城先生



















