腕を上げると肩が痛いときの原因には四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)や腱板損傷、インピンジメント症候群などが考えられます。
いずれも、症状や発症からの時期によって対処法が異なるため、まずは正しく見極めることが重要です。
この記事では理学療法士の視点から、腕を上げると肩が痛む主な原因と見分け方について、セルフチェックともに解説します。
また、症状を和らげるセルフケア方法、専門的な治療やリハビリの流れまでわかりやすく紹介します。ぜひ、参考にしてみてください。
- 腕を上げるときの痛みの主な原因と見分け方
- 症状の段階に合わせたセルフケアの方法
- 整形外科を受診すべき危険な症状のサイン
腕を上げるときの肩の痛み|3つの主な原因
腕を上げるときに肩が痛む場合、主に「四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)」「腱板損傷・断裂」「インピンジメント症候群」の3つが原因として考えられます。
これらの疾患は、肩関節を構成する骨や筋肉、それをつなぐ腱に何らかの異常が生じることで発症します。
加齢による組織の変化や、スポーツ・仕事による肩の使いすぎが引き金となることが多いです。
痛みの出方や腕の上がりにくさなど、症状にはそれぞれ違いがあるため、ただしく見極めることが大切になります。
簡単セルフチェック|肩の不調の見分け方
腕を上げたときに肩が痛む症状は、いくつかの代表的な疾患が原因として考えられます。
- 痛みの種類
- どの角度で痛むか
- 腕がどの程度上がるか
といった症状の特徴から、ご自身の状態に近いものをチェックしてみましょう。
(※ただし、自己判断は禁物であり、正確な診断のためには専門医の診察が必要です。)
ここでは、考えられる3つの主な疾患について、それぞれの特徴的な症状を解説します。
四十肩・五十肩(肩関節周囲炎):肩が上がらず夜間にズキズキ痛む
四十肩・五十肩は、正式には「肩関節周囲炎」と呼ばれる疾患です。その名の通り40代や50代に多く発症し、肩関節の周りにある組織が炎症を起こすことで痛みが生じます。
主な症状は、腕を上げたり回したりする動作での強い痛みと可動域の制限です。特に、夜間に寝ているときに痛みが強みがでたり、ズキズキとした痛みで眠れなくなることも特徴の一つです。
着替えや髪を洗うといった日常動作にも支障をきたすことが少なくありません。
※ 肩関節周囲炎の場合、暮らしの中で注意すべきポイントがあります。その具体的な内容については「五十肩でやってはいけないこと」で詳しく紹介しています。
腱板損傷・断裂:腕を動かす途中で痛む、力が入らない
腱板損傷・断裂は、肩関節を安定させ、腕を動かす役割を持つ「腱板」というインナーマッスルが傷ついたり、切れたりする状態を指します。
腕を上げる特定の角度で痛みや異音が生じることがあります。 加齢によって腱がもろくなることや、転倒、スポーツでの酷使が原因となります。
また、「腕に力が入らない」「重いものが持てない」といった筋力低下の症状を伴うこともあります。
腕や肘を支えてもらうと上がる場合がありますが、自力では上げられないのが五十肩との違いです。
インピンジメント症候群:腕を上げる特定の角度で痛みが走る
聞き慣れない言葉ですが、「インピンジメント」とは「衝突」を意味します。
インピンジメント症候群は、腕を上げる際に、肩甲骨の一部である「肩峰」と、腕の骨である「上腕骨」の間で、腱板や滑液包といった組織が挟み込まれて炎症を起こす疾患です。

腕を前や横に60度から120度の間で上げ下げする時に、ズキッとした鋭い痛みが走るのが典型的な症状です。
野球の投球動作や水泳のクロールなど、腕を繰り返し上げる動作を行うスポーツ選手や、仕事で腕をよく使う人に見られます。
四十肩・五十肩の場合:症状別の3段階の変化
一般的に四十肩・五十肩と呼ばれる肩関節周囲炎の症状は、時間の経過とともに3つの段階を経て変化していくのが特徴です。
具体的には「炎症期(急性期)」「拘縮期(慢性期)」「回復期」と呼ばれ、発症からの時期や、痛みの質、肩の動かしやすさが異なります。
治し方を考える前に、自分がどの段階かを知ることが大切になります。症状のステージを理解し、焦らずに対応してきましょう。
炎症期(急性期):安静でも激しい痛みがある時期
炎症期(急性期)は、発症初期から1ヶ月から半年程度続くことがあり、症状の中で最も痛みが強い時期です。
肩関節の周辺で炎症が強く起きているため、じっとしていてもズキズキと痛むほか、夜間に痛みが悪化して眠れないことも少なくありません。
この時期は、無理に肩を動かそうとすると炎症を悪化させてしまう可能性があります。
まずは安静を第一に考え、痛みを出さないように注意しながら生活することが重要です。
拘縮期(慢性期):痛みは和ぐが、肩の動きが硬くなる時期
拘縮期は、炎症期の激しい痛みが少しずつ和らいでくる時期で、発症から約2ヶ月~半年程度続きます。
しかし、痛みは軽くなる一方で、炎症の影響で肩関節の組織が硬くなり、動きが悪くなる拘縮が進行します。
腕が上がらない、背中に手が回らないなど、特定の方向への可動域制限がはっきりしてくるのが特徴です。
この時期は、温めて血行を良くしたり、無理のない範囲で少しずつ肩を動かしたりすることが、拘縮の予防・改善につながります。
回復期:徐々に肩の動きが改善していく時期
回復期は、発症から半年~1年以上にわたる期間で、痛みも落ち着き、硬くなった肩の可動域が徐々に改善していく時期です。
この段階では、日常生活での支障も少なくなってきます。
ただし、ここでケアを怠ると可動域制限が残ってしまう可能性もあるため、根気強いセルフケアが重要になります。
痛みのない範囲で、積極的にリハビリやストレッチを行い、少しずつ動かせる範囲を広げていくことで、スムーズな回復を目指します。
腕を上げると肩が痛いときの対処法【専門家おすすめセルフケア】
腕を上げたときの肩の痛みを改善するためには、専門家による治療と並行して、自宅でできるセルフケアも非常に重要です。
痛みや動かしにくさがあるからと安静にしすぎると、肩の関節が固まり動かなくなってしまうこともあります。
症状の段階に合わせた対処法や、肩まわりの柔軟性を取り戻すためのストレッチを行えるかどうかは、回復のカギとなります。
ここでは、理学療法士の視点で、具体的なセルフケア方法を紹介します。
冷やす?温める?症状に合わせた対処法
肩が痛い時に、冷やすべきか・温めるべきかは、症状の時期によって異なります。
・発症直後の炎症期(急性期):ズキズキとした強い痛みや熱っぽさがある場合は、炎症を抑えるために冷やす(アイシング)のが効果的です。
・拘縮期(慢性期)以降:痛みが和らぎ、肩の動きが硬くなっている時期は、温めて血行を促進することで筋肉の緊張がほぐれ、動かしやすくなります。
入浴でしっかり温めたり、ホットパックを活用したりするのがおすすめです。
肩の動きを無理なく広げる体操のやり方
肩の可動域を広げるためには、関節に負担をかけすぎない範囲で動かすことが大切です。
ここでは、肩の力を抜いて関節の隙間を広げるコッドマン体操を紹介します。
この運動は、実際のリハビリ現場でも行われています。腕の重みを利用して固まった関節を緩め、痛みを和らげる効果があります。
ただし、四十肩や五十肩の炎症期など、激しい痛みがある時期に無理をするのは危険です。主治医の許可を得たうえで取り組んでください。
・痛くない方の手で机や椅子を支え、上半身を少し前に倒します。
・痛い方の腕をだらりと下に垂らし、完全に力を抜いてください。
・体全体をゆっくり揺らし、その反動で腕を前後、左右、円を描くように優しく振ります。
・それぞれの動きを各10回ずつ行いましょう。
理学療法士おすすめ!3つのストレッチ
肩の動きをスムーズにするためには、胸の筋肉だけでなく、肩甲骨周りの柔軟性を高めることも重要です。
肩甲骨周りの動きが引き出されることで、腕を上げる際の引っかかりが軽減していきます。
ここでは理学療法士が推奨する、自宅で簡単にできる3つのストレッチを順に紹介します。
まずは、大胸筋(胸の前側の筋肉)を伸ばす、壁を使ったストレッチです。
・壁に向かって横向きに立ち、痛い方の腕を肩の高さで横に伸ばして手のひらを壁につけます。
・足の位置は固定したまま、ゆっくりと体を壁から遠ざけるようにひねります。
・胸から肩の前側が心地よく伸びる位置で20秒間キープしてください。
次に、肩甲骨を寄せる動きを引き出すストレッチです。
・背すじを伸ばして座り、両肘を曲げて肩の高さまで上げます。
・手のひらを外側に向けたまま、両方の肩甲骨を背中の中心に寄せるように肘を後ろへ引きます。
・胸が開くのを感じながら5秒間キープし、これを10回繰り返してください。
最後は、肩甲骨の外側の筋肉をほぐすストレッチです。
・片方の腕を胸の前で水平に伸ばし、反対の手で肘を抱え込むように体に引き寄せます。
・肩の付け根から背中側が伸びるのを感じる位置で20秒間キープしてください。
ストレッチはお風呂上がりなど、体が温まっているタイミングで行うと筋肉がより伸びやすくなります。
こんな時は整形外科へ!専門的な治療の流れ
自宅でのセルフケアを続けても痛みが改善しない、あるいは悪化する場合には、自己判断で放置せず、必ず整形外科を受診しましょう。
問診や肩の動きの確認、MRIやレントゲンなどの画像検査などで原因を特定し、その結果に基づいて薬物療法や注射、リハビリといった治療をおこないます。
早期に適切な介入を行うことが、症状の悪化を防ぎ、スムーズな回復につながります。
受診を判断する3つのサイン
以下のような症状が見られる場合は、早めに整形外科を受診することをおすすめします。
・安静にしていても痛む、夜間の痛みで目が覚める
強い炎症が起きている可能性があります。放置すると症状が悪化し、回復が遅れることがあります。
・2週間以上セルフケアを続けても痛みが改善しない
症状が慢性化しているか、腱板断裂などセルフケアだけでは治らない疾患の可能性があります。
・腕が全く上がらない、急に力が入らなくなった
重度の腱板断裂や神経の問題も考えられます。正確な原因を特定するため、専門医の診察が必要です。
保存療法:薬や注射、リハビリテーションで痛みをコントロール
肩の痛みの治療は、手術を行わない「保存療法」が基本となります。
まず、炎症を抑え痛みを和らげるために、非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)の内服薬や湿布などの外用薬が処方されます。
痛みが強い場合には、関節内にヒアルロン酸やステロイドの注射を行うこともあります。
そして、保存療法の中心となるのがリハビリテーションです。
理学療法士の指導のもと、温熱療法や運動療法(ストレッチや筋力強化)を行い、肩の可動域と機能の回復を目指します。
手術療法:手術が必要となるケース
保存療法を3ヶ月〜半年ほど続けても症状の改善が見られない場合や、腱板が完全に断裂してしまっている場合には、手術療法が検討されることがあります。
特に、活動性の高い若年者や、スポーツへの復帰を強く希望する場合には、早期に手術を選択することもあります。
現在の肩の手術は、関節鏡という内視鏡を用いた、体への負担が少ない低侵襲な方法が主流です。
この治療法により、数センチの小さな切開で損傷した腱板を修復することが可能になっています。
肩の今すぐ痛みをどうにかしたい人へ
肩の痛みがなかなか良くならない場合、専門家に一度みてもらうことで改善に向かうケースが非常に多いです。
当整体院「理学ボディ」でも、「なかなか治らなかった痛みが、たった2回で軽減した..!」など、
多くのケースでは「1〜3回以内の施術で痛みが改善」しています。
当院の施術の特徴や3回以内で痛みの改善ができる秘訣は、
「下記の記事(↓)」でわかりやすく解説しています。
関連記事:肩の痛みが改善した事例多数!3回以内の改善にこだわる整体院『理学ボディ』とは?
もちろん、全員が1〜3回の施術で必ず改善するとは断言できません。
しかし、肩の痛みが治らないケースこそ、当整体院の筋膜リリースが有効だったお客様は非常に多くみられています。
私たちも一人でも多くの方に「痛みから解放される感動」を届けたいと、スタッフ一同、全力で「施術」をさせて頂いています。
最近、当院は、ありがたいことに来院される方が増え、毎月予約が取りづらい状態です。
店舗によっては、来月の予約もいっぱいの状況です…!
そのため、当院にて早めに「施術」を検討される方は、ぜひ、お近くの店舗を覗いていただき、予約があるかを確認頂けると幸いです。
腕を上げるときの肩の痛みに関する【よくある質問】
ここでは、腕を上げるときの肩の痛みに関して、患者様からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
ご自身の症状と照らし合わせながら、参考にしてください。
腕を上げる角度で痛みが違うとき、原因も異なりますか?
はい、痛む角度によって原因が異なる可能性があります。
例えば、腕を上げ始める時ではなく、水平近くの60〜120度の範囲で特に痛む場合は「インピンジメント症候群」が疑われます。
これは、腕を上げる際に肩の腱と骨が衝突することで起こる特有の症状です。
一方、どの角度でも痛みが強く、腕が上がらない場合は「四十肩・五十肩」の急性期などが考えられます。
痛むときでも、動かした方が良いのでしょうか?
いいえ、痛みが強い急性期に無理に動かすのは逆効果です。炎症が悪化し、回復が遅れる原因となります。
まずは安静を心がけ、痛みがおさまってきたら、無理のない範囲でゆっくりとストレッチを始めるのが基本です。
ただし、長期間動かさないと肩が固まってしまうため、専門家の指導のもとで適切なタイミングで動かし始めることが重要です。
腕を上げて肩が痛い場合、何科を受診すればよいですか?
整形外科の受診をおすすめします。整形外科は、骨や関節、筋肉、腱といった運動器の疾患を専門とする診療科です。
レントゲンやMRIなどの画像検査を用いて痛みの原因を正確に診断し、投薬、注射、リハビリテーションといった専門的な治療を受けることができます。
痛みが続く場合は、自己判断せず、まずは専門医に相談しましょう。
まとめ
腕を上げるときの肩の痛みは、四十肩・五十肩や腱板損傷、インピンジメント症候群など、様々な原因によって引き起こされます。
症状の段階に応じて、急性期には安静にして冷やし、慢性期には温めて無理のない範囲で動かすといったセルフケアが有効です。
しかし、痛みが長引く、夜も眠れないほど痛い、腕に力が入らないといった症状がある場合は、自己判断せずに整形外科を受診してください。
専門医による正確な診断と適切な治療を受けることが、早期回復への鍵となります。
すでに病院での治療が終わったのに痛みが残っている
いろんな整体や接骨院に通ってみたけど痛みが治らない
そういった場合は、全国に100箇所以上の整体院を展開をしている当院で、ぜひ一度あなたの痛みをご相談ください。
どこよりも早期に悩みが解消できるよう、理学療法士ならではの確かな知識と技術でサポートさせていただきます。
投稿者プロフィール

- 理学療法士/WEBメディア編集長
- 10年以上の医療・介護の現場経験を経て独立。著書に6刷を達成した『高齢者のからだ図鑑』など(Gakken出版)。現在は、東京都の高齢福祉事業にも従事。さまざまな現場経験をもとに、執筆・WEB発信・大学での講師業など分野問わず活動中。


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